近年の社会トピックとオフィス AI共創オフィス ③
- admin
- 12 分前
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【内容】
第1章:パンデミックが問い直した「オフィスの存在理由」
第2章:人手不足の構造的進行と“選ばれるオフィス”への転換
第3章:新時代のオフィス市場──縮小と高付加価値化の両立
前項で述べてようにオフィスは社会動向に連動して変化してきました。ここでは近年の社会トピックである「コロナと人手不足が変えるオフィス市場」、について整理したいと思います。
第1章:パンデミックが問い直した「オフィスの存在理由」
2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大は、従来の働き方に大きな揺さぶりをかけました。オフィスに出勤することが当然だった企業文化は、感染防止の観点から一気に変化し、在宅勤務やテレワークが急速に広がりました。
その結果、多くの企業が初めて「本当にオフィスでなければできない仕事とは何か?」という問いに直面しました。
定型的な事務作業や個人のタスクは在宅でも十分にこなせることが判明し、従来は当然のように与えられていた固定席や紙の書類が、再考される対象となったのです。
この変化は、単なる一時的な対応にとどまらず、オフィス空間の役割そのものを問い直す契機となりました。
企業は「集まる意味」を見つめ直し、今では“出社する価値のある空間”を再設計する流れが加速しています。
共有ラウンジ、プロジェクトルーム、対話促進スペースといった「共創の場」へのシフトは、その象徴といえるでしょう。
第2章:人手不足の構造的進行と“選ばれるオフィス”への転換
一方で、日本社会では、少子高齢化と人口減少により、慢性的な人手不足が進行しています。
生産年齢人口はすでに減少傾向にあり、採用難や離職リスクが企業経営の喫緊の課題となっています。
企業は“人材が来てくれる”ことを前提にした従来型の働き方や制度を見直し、「選ばれる職場」への変革を迫られています。
この潮流は、オフィス空間のあり方にも直結しています。
画一的で無機質なオフィスから、柔軟性や居心地、コミュニケーションのしやすさを重視した「人にやさしいオフィス」への転換が求められるようになったのです。
また、育児・介護と仕事を両立する層や、シニア・外国人・障がい者など、多様な人材が働きやすい空間設計が競争力の源泉となります。
これは単なる福利厚生ではなく、労働力確保という経営戦略の一環として、企業に浸透しつつあります。
第3章:新時代のオフィス市場──縮小と高付加価値化の両立
こうした変化を受けて、東京を中心としたオフィス市場では、「総面積の縮小」と「空間の高付加価値化」が同時に進行しています。
特に定型業務型の職域はRPAやクラウドツールに置き換わり、出社が前提でない業務は物理的な床を必要としなくなっています。
これにより、多くの企業がオフィスの一部解約や再構成を進めています。
しかし一方で、縮小した面積を、より質の高い空間へとリプレイスする動きも活発です。
ハイグレードビルや駅直結型の物件、設備が整ったコワーキングスペースなどは高稼働を維持しており、「市場は“二極化”の様相」を見せているといえます。
使われない中低グレード物件では空室率が上昇する一方、出社の価値が感じられる空間には集中的な投資が行われているのです。
今後のオフィス市場は、「人が集まることに意味のある空間」が選ばれ、「ただ作業をするだけの場所」は淘汰されていくと考えられます。
コロナによって一度リセットされた働き方と、人口減少という不可逆的な社会構造。この二つの圧力が交差する中で、オフィスは「集う価値をデザインするメディア」へと進化していくのではないでしょうか。
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