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関連研究の変遷 日本バリュー都市 ④

  • 2025年12月29日
  • 読了時間: 3分

【内容】

第1章 国家ブランドとクールジャパンの萌芽(2000年代前半)

第2章 政策実装と事業化の進展(2010年代)

第3章 体験価値と定性的解像の時代(2020年代)

 

第1章 国家ブランドとクールジャパンの萌芽(2000年代前半)

2000年代前半、日本のブランド価値研究は「国家ブランド」という国際的な概念と連動して広まりました。

当時はグローバル競争が激化し、モノづくりだけでなく文化・イメージの重要性が認識されるようになりました。特に「クールジャパン」という表現が政策言説に登場し、日本のアニメ、マンガ、ファッション、食文化などが国の競争力を高めるソフトパワー資源として注目されました。首相官邸や経済産業省の知財戦略では、文化を知的財産として位置づけ、国家戦略の柱に据える試みが始まりました。

ここでの議論は、まだ「概念」や「方向性」の域を出ていませんでしたが、日本ブランドを文化と結びつけて語る基盤が整った時期といえます。

第2章 政策実装と事業化の進展(2010年代)

2010年代に入ると、「日本再興戦略」や2013年のクールジャパン機構(CJ Fund)設立を通じて、文化の事業化が具体的に進展しました。

この機構は、食、観光、メディア、ライフスタイルなどの分野で海外需要を開拓する企業やプロジェクトに投資し、日本の生活文化をビジネスとして国際市場に展開する役割を担いました。この時期の特徴は、単なる文化紹介や発信から一歩進み、「収益モデル化」「投資による成長促進」に重点が置かれた点です。

日本ブランドの研究や議論も、「何が魅力なのか」から「どう稼ぐか」にシフトし、文化資源をグローバル市場で競争力ある産業と位置づける動きが強まりました。

結果として、日本ブランドの枠組みは、文化政策と産業政策を横断するものとして実装されるようになりました。


第3章 体験価値と定性的解像の時代(2020年代)

2020年代に入ると、日本ブランド研究はさらに深化しました。

背景には、国際的なブランド評価指標である「Nation Brands Index(NBI)」において日本が順位を上げ、2023年には総合1位を獲得したという成果があります。

この結果は、長年の文化政策や生活文化発信の積み重ねが、世界的な信頼と好感に結びついたことを示しています。政策面でも「New Cool Japan Strategy 2024」が打ち出され、モノ消費から体験価値重視への明確な転換が提示されました。

富裕層や文化志向層をターゲットに、旅、食、工芸、アートなどを通じて高付加価値を実現する方向性が示されています。

さらに近年の調査研究では、単なる数値評価を超えた「定性的解像」が進められました。例えば2023-24年のデザインリサーチでは、日本ブランドの価値を「心が落ち着く体験」「遊び心ある多様な体験」「健康的な暮らし」「丁寧な暮らし」の四象限で整理し、そこに禅やアニミズムといった日本的精神性を基盤として見出しました。

また、マンガやアニメを入口とした関心が「共体験」を通じて恋に落ちる段階に至るという、エンゲージメントモデルも描き出されました。

このように研究は、質的な理解から定量的拡張の設計提案へと踏み込みつつあり、ブランド価値の測定と活用は次の段階へ移行しようとしています。


まとめ

以上のように、日本のブランド価値研究は、

①概念の萌芽(2000年代前半)、

②事業化と政策実装(2010年代)、

③体験価値と定性的解像(2020年代)

という三段階を経て進展してきました。

最初は文化資源を国家ブランドとして位置づける試みから始まり、続いて投資や産業化によって「稼ぐ力」として組み込まれ、そして現在は、世界が求める体験や共感の価値を精緻に描き出す段階にあります。

今後は、この定性的モデルを定量化し、都市開発や観光、産業振興の現場にどう実装するかが大きな課題となっていきます。

 
 
 

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