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第1章 AI時代、会社とオフィスはどう変わるのか:オフィスの行動OS ①
【内容】 1.工業社会から創造社会へ 2.オフィスの役割も変わってきた 3.企業文化が競争力になる時代 1.工業社会から創造社会へ 皆さんは、会社の強みとは何だと思いますか。 少し前までは、「品質が良い」「価格が安い」「仕事が早い」といったことが会社の強みでした。 工場で良い製品をたくさんつくり、効率よく届けることが企業の使命だったからです。そのため社員には、決められた仕事を正確にこなす力が求められました。 その後、パソコンやインターネットが普及すると、時代は情報社会へと変わります。 情報を早く集め、整理し、共有できる会社が強くなりました。 専門知識を持つ人材が企業の財産となり、知識や情報を活用することが競争力になったのです。 そして今、私たちはAI時代を迎えています。 AIは文章を書き、資料を作り、市場を分析し、企画案まで提案してくれます。これまで時間をかけていた仕事の多くを、短時間でこなせるようになりました。 これはとても便利なことですが、一方で大きな変化も生まれます。 それは、多くの会社が同じようなAIを使うことで、「誰でも一定レベ
11 分前読了時間: 3分
第10章 参加デザインが変える未来 参加デザイン ⑩
【内容】 1.集客ビジネスは、新しい時代へ向かう 2.参加デザインは、あらゆる分野へ広がる 3.人が集まる街から、人が育つ街へ 1.集客ビジネスは、新しい時代へ向かう 本シリーズでは、「参加デザイン」という新しい設計思想について考えてきました。 人口減少や価値観の多様化が進む現在、従来のように人を集めるだけでは、持続的な成長は難しくなっています。 もちろん、魅力的なイベントや施設はこれからも必要です。 しかし、それだけでは十分ではありません。 大切なのは、一度の来場を長い関係へ育て、その関係が新しい参加を生み出していくことです。 そのためには、「参加する・しない」という二元的な考え方から、「どのように参加が深まっていくか」というグラデーション型の発想へ転換する必要があります。 入口を増やす。 参加を育てる。 参加を広げる。 この三つの設計原則は、これからの集客ビジネスに共通する基本原則になるでしょう。 これまでの集客が「イベントを成功させる技術」だったとすれば、参加デザインは「人との関係を育てる技術」なのです。 2.参加デザインは、あ
2 日前読了時間: 3分
第9章 参加を広げる 参加デザイン ⑨
【内容】 1.最高の広告は「参加者」である 2.「伝えたくなる体験」を設計する 3.集客は「集める」から「育て、広げる」へ 1.最高の広告は「参加者」である これまでの集客ビジネスでは、広告や宣伝が新しいお客様を呼び込む主役でした。 新聞やテレビ、折込チラシ、インターネット広告などを通じて施設やイベントを知り、興味を持った人が来場する。この流れが一般的でした。 もちろん、広告はこれからも重要な役割を果たします。 しかし、現在では人が行動を起こすきっかけが大きく変わっています。 「友人がSNSで紹介していた。」 「家族に勧められた。」 「口コミで評判を聞いた。」 「参加した人がとても楽しそうだった。」 このように、人は広告よりも、実際に体験した人の言葉や行動に心を動かされるようになっています。 つまり、新しい参加者を連れてくるのは広告だけではありません。 参加者自身が、新しい参加の入口になっているのです。 2.「伝えたくなる体験」を設計する では、参加者はなぜ体験を誰かに伝えたくなるのでしょうか。 それは、心が動いたからです。 楽しかっ
10月9日読了時間: 3分
第8章 参加を育てる 参加デザイン ⑧
【内容】 1.一度の来場を、一度で終わらせない 2.「次の参加」を設計する 3.目指すのは「長い関係」である 1.一度の来場を、一度で終わらせない 集客ビジネスでは、「新しいお客様を集めること」に多くの労力と費用がかかります。 広告を出し、イベントを企画し、キャンペーンを実施して、ようやく一人のお客様に来場していただくことができます。 しかし、その方が二度と訪れなければ、また最初から同じ努力を繰り返さなければなりません。 一方、一度来場した方が再び訪れ、さらに何度も利用してくださるようになれば、施設との関係は大きく変わります。 一回の利用が二回になり、二回が五回になれば、その人が施設にもたらす価値は何倍にもなります。 参加デザインでは、この「一度の参加を継続的な参加へ育てること」を重視します。 集客とは、一度きりの出来事ではありません。 人との関係を育てるプロセスなのです。 2.「次の参加」を設計する 多くのイベントは、当日のプログラムを丁寧に設計しています。 しかし、イベントが終わった後、「次は何を楽しめばよいか」まで設計されている例は
10月7日読了時間: 3分
第7章 参加の入口を増やす 参加デザイン ⑦
【内容】 1.最初の一歩は、できるだけ小さくする 2.入口は一つではない 3.入口は「空間・プログラム・情報」でつくる 1.最初の一歩は、できるだけ小さくする 「もっと多くの人に参加してほしい。」 これは、あらゆる集客施設に共通する願いです。 しかし私たちは、興味を持ったからといって、すぐに本格的な参加をするわけではありません。 例えば、新しいレストランができたとします。 最初から特別なコース料理を予約する人は少ないでしょう。 まずは店の前を通り、雰囲気を眺める。 ランチを食べてみる。 気に入れば、家族や友人を連れてくる。 そして特別な日に利用するようになります。 人との関係は、このように少しずつ育っていきます。 文化施設やスポーツ施設も同じです。 最初からチケットを購入してもらうことだけを考えるのではなく、「少し立ち寄ってみよう」と思えるきっかけを数多く用意することが重要です。 参加デザインの第一歩は、人を集めることではありません。 最初の一歩を踏み出しやすくすることなのです。 2.入口は一つではない 従来の集客では、参加の入口は一つで
10月5日読了時間: 3分
第6章 二元型からグラデーション型参加デザインへ
【内容】 1.参加は「する・しない」ではない 2.グラデーション型参加デザインとは 3.グラデーション型参加デザインの三つの設計原則 1.参加は「する・しない」ではない これまで、多くの集客施設では参加を二元的に考えてきました。 イベントに参加した人。 参加しなかった人。 チケットを購入した人。 購入しなかった人。 施設を利用した人。 利用しなかった人。 このように、「参加する」「参加しない」という二つの状態で利用者を捉えてきたのです。 しかし実際には、人との関わり方はもっと多様です。 街を歩くだけの人もいます。 少し立ち寄る人もいます。 カフェだけ利用する人もいます。 展示を見る人もいます。 イベントへ参加する人もいます。 さらに、スタッフとして支える人や、一緒に企画を考える人もいます。 このように、人と場との関係は一気に変わるものではありません。 少しずつ深まりながら育っていくものです。 つまり、参加とは「ある・ない」ではなく、「深さ」のある連続した状態なのです。 だからこそ、これから求められるのは、「参加するかどうか」を考えることではな
10月2日読了時間: 3分
第5章 参加デザインとは何か 参加デザイン ⑤
【内容】 1.設計するのは「イベント」ではなく「関係性」である 2.参加には「深さ」がある 3.参加デザインは、あらゆる「場」に応用できる 1.設計するのは「イベント」ではなく「関係性」である 「参加デザイン」と聞くと、多くの人は参加型イベントやワークショップを思い浮かべるかもしれません。 しかし、本シリーズでいう参加デザインは、それらとは少し意味が異なります。 参加デザインとは、人と場との関係が、一度きりの利用で終わるのではなく、少しずつ深まり、やがて主体的な参加や共創へと発展していくプロセスを設計することです。 つまり、設計する対象はイベントそのものではありません。 人と場との「関係性」です。 従来の集客では、「イベントを成功させること」が目的でした。 魅力的なプログラムを企画し、多くの人を集め、満足して帰っていただくことが評価されてきました。 もちろん、それは今でも重要です。 しかし参加デザインでは、その先を考えます。 イベント終了後にも、「また来たい」「もっと関わってみたい」「誰かに紹介したい」という気持ちが生まれ、人と場との関係が少
9月30日読了時間: 3分
第4章 集客ビジネスは、どう進化してきたのか 参加デザイン ④
【内容】 1.「集める」ことが最大の目的だった時代 2.「満足」から「関係」へ 3.これからは「参加を育てる」時代へ 1.「集める」ことが最大の目的だった時代 集客ビジネスは、時代とともに少しずつ進化してきました。 かつて最も重要だったのは、「いかに多くの人を集めるか」でした。 新しい施設をつくる。 有名な出演者を招く。 大きなイベントを開催する。 広告を出して来場者を増やす。 こうした取り組みは、高度経済成長期から人口増加の時代にかけて、大きな成果を生み出しました。 評価指標も、とても分かりやすいものでした。 来場者数。 売上。 チケット販売枚数。 施設の稼働率。 つまり、「人を集めること」が、そのまま成功を意味していたのです。 もちろん、この考え方は現在でも重要です。 しかし、人口減少や市場成熟が進む中で、「集めること」だけでは事業の持続性を確保することが難しくなってきました。 集客は、ゴールではなく、関係づくりのスタートになったのです。 2.「満足」から「関係」へ 次に重視されるようになったのは、「また来てもらうこと」でした。...
9月28日読了時間: 3分
第3章 参加デザインは、すでに始まっている
【内容】 1.スポーツは「観戦する場所」から「参加する街」へ 2.劇場は「鑑賞する場所」から「世界観を楽しむ街」へ 3.成功の共通点は「参加デザイン」にある 1.スポーツは「観戦する場所」から「参加する街」へ 横浜スタジアムを本拠地とする横浜DeNAベイスターズは、近年、日本のプロスポーツ界でも特に注目される成長を遂げています。 その背景には、強いチームづくりだけではなく、「参加の仕方」を変えたことがあります。 かつてのスタジアムは、試合を観戦するためだけの場所でした。試合開始前に入場し、試合終了とともに帰宅する。それが一般的な利用スタイルでした。 しかし現在は、その体験が大きく変わっています。 試合前には横浜公園でイベントが開催され、キッチンカーやグッズショップを楽しむ人がいます。 試合を観戦しない人でも、公園の雰囲気を味わい、チームカラーに包まれた街を歩くだけで、ベイスターズとの接点を持つことができます。 試合後も、周辺の飲食店や商店街で余韻を楽しむ人が少なくありません。 つまり、試合は一日の体験の中心ではありますが、そのすべてではあ
9月25日読了時間: 3分
第2章 従来型集客ビジネスの限界 参加デザイン②
【内容】 1.イベントは成功した。しかし、その後が続かない 2.「来場者数」だけでは、本当の価値は測れない 3.施設を競う時代から、関係性を育てる時代へ 1.イベントは成功した。しかし、その後が続かない 「大勢のお客様に来場していただき、大盛況のうちに終了しました。」 イベント終了後、このような報告を耳にすることは少なくありません。 確かに、多くの来場者が集まり、会場が賑わえば、そのイベント自体は成功だったと言えるでしょう。しかし、その賑わいは翌日も続いているでしょうか。その施設を再び訪れたいと思う人はどれだけいるでしょうか。そして、その街との新しい関係は生まれたでしょうか。 従来の集客ビジネスは、「一度来てもらうこと」を目標として発展してきました。 広告を出し、魅力的なイベントを企画し、来場者数を増やすことが成果として評価されてきたのです。 この考え方は、高度経済成長期や人口が増加していた時代には、とても合理的でした。新しい施設やイベントが次々に生まれ、多くの人が「初めて体験すること」に価値を感じていたからです。 しかし現在では、イベン
9月18日読了時間: 4分
第1章 今なぜ「参加デザイン」が必要なのか:参加デザイン論①
【内容】 1.集客の時代が変わった 2.「集める」だけでは続かない 3.これからは「参加」を設計する時代へ 1.集客の時代が変わった 「どうすれば、もっと多くのお客様に来てもらえるだろうか。」 これは、商業施設や文化施設、スポーツ施設、観光地など、多くの集客施設が長年考え続けてきたテーマです。 これまでは、新しいイベントを開催したり、有名人を呼んだり、広告を増やしたりすることで集客を図ってきました。そして、多くのお客様が来場すれば、そのイベントは成功だと評価されてきました。 しかし、近年、この成功法則が少しずつ通用しなくなっています。 その理由は、人が減ったからだけではありません。 人口減少や少子高齢化に加え、動画配信サービスやSNS、ゲーム、推し活など、人々の楽しみ方が多様になりました。 私たちは以前よりも多くの選択肢を持つようになり、「今日はどこへ行こうか」だけでなく、「今日は何に時間を使おうか」を選ぶ時代になっています。 つまり、集客施設が競争している相手は、もはや隣の施設ではありません。 人々の限られた「時間」と「関心」を巡る競争
9月16日読了時間: 3分
第10章 Stayable TownからLovable Townへ
― 成熟社会が目指す新しい街づくり ― 【内容】 1.Walkableだけでは街の魅力は生まれません 2.Stayableが街への愛着を育てます 3.街づくりは「文化を育てる仕事」になります 1.Walkableだけでは街の魅力は生まれません 近年、日本でも「ウォーカブル(Walkable)」という言葉を耳にする機会が増えました。 歩きやすい歩道を整備し、自動車中心だった街を、人が安心して歩ける街へ変えていこうという考え方です。 もちろん、この方向性はとても重要です。 歩けない街では、人は街を楽しむことができません。 しかし、今回メルボルンを歩きながら感じたのは、歩きやすいことだけでは、人は街を好きにはならないということでした。 メルボルンには、歩きやすい道があります。 しかし、それ以上に魅力的だったのは、「思わず立ち止まりたくなる場所」が街中にあることです。 カフェの前で。 レーンウェイで。 広場の階段で。 図書館の前庭で。 ヤラ川の芝生で。 人々は目的地へ急ぐのではなく、その街で過ごす時間そのものを楽しんでいました。 歩けることは、街づくりの
9月14日読了時間: 4分
第9章 街の行動OSという発想
― 空間をつくる時代から、行動を育てる時代へ ― 【内容】 1.魅力的な街には「行動のきっかけ」があります 2.街の行動OSが日常を豊かにします 3.街づくりは「管理」から「誘発」へ 1.魅力的な街には「行動のきっかけ」があります メルボルンを歩いていて、もう一つ気づいたことがあります。 それは、人々が特別な理由もなく、自然に街で過ごしていることでした。 朝のカフェでコーヒーを飲む人。 ヤラ川沿いの芝生に座る人。 図書館前の階段で読書をする人。 レーンウェイで立ち話をする人。 どの行動も、誰かに指示されたものではありません。 イベントがあるからでもありません。 人々が、ごく自然にそうした行動を選んでいるのです。 では、なぜそのような行動が生まれるのでしょうか。 それは、街の中に「やってもよい」という雰囲気や、「こう過ごすと楽しい」という空気があるからです。 ベンチがある。 テラス席がある。 芝生へ座る人がいる。 コーヒーを片手に歩く人がいる。 そうした何気ない風景そのものが、「私もやってみよう」という気持ちを生み出しています。...
9月11日読了時間: 3分
第8章 文化はデザインできる
― コーヒー文化が教えてくれた街の育て方 ― 【内容】 1.文化は自然に生まれるものではありません 2.「楽しみ方」が文化を育てます 3.街づくりも文化を育てる時代になります 1.文化は自然に生まれるものではありません メルボルンを歩いていると、街の至るところにカフェがあります。 朝早くから営業する小さなカフェには、多くの人が立ち寄り、バリスタとの何気ない会話を楽しみながらコーヒーを受け取っていきます。 昼になると、テラス席では仕事の打ち合わせをする人、本を読む人、友人と語り合う人など、それぞれが思い思いの時間を過ごしています。 この光景を見ていると、「メルボルンにはコーヒー文化がある」と感じます。 文化とは単に美味しいコーヒーがあることではありません。 世界中には質の高いコーヒーを提供する店があります。 それだけでは文化にはならないのです。 メルボルンでは、人々がコーヒーを飲みながら街で過ごすことそのものが日常になっています。 待ち合わせをする。 仕事の合間に立ち寄る。 休日に読書をする。 近所の人と会話をする。 そうした日常の行動が積み重なり
9月9日読了時間: 3分
第7章 文化施設は街のリビングになる
― ビクトリア州立図書館に学ぶ文化サードプレイス ― 【内容】 1.図書館は「本を借りる場所」ではありませんでした 2.文化施設は人が過ごすための場所へ変わっています 3.街のリビングが都市の文化を育てます 1.図書館は「本を借りる場所」ではありませんでした メルボルンで最も驚いた施設の一つが、ビクトリア州立図書館でした。 もちろん、多くの蔵書を備えた歴史ある図書館ですが、実際に訪れて感じた印象は、日本の図書館とは大きく異なります。 館内には学生が勉強し、仕事をする人がノートパソコンを開き、観光客が館内を見学しています。親子連れが絵本を読み、高齢者が新聞を読み、カフェでは友人同士が会話を楽しんでいます。 さらに展示スペースやショップもあり、一日いても飽きることがありません。 図書館は「本を借りる施設」ではなく、「一日を過ごす場所」として機能しているのです。 外へ出ると、図書館前の広場には多くの人が座り、本を読んだり昼食を楽しんだりしています。 建物と広場が一体となり、街全体が一つのリビングのような空間をつくり出していました。 その姿を見ながら、私
9月7日読了時間: 3分
第6章 居心地の良い広場には作法がある
― 人は広場ではなく「居心地」に集まる ― 【内容】 1.広場は「イベント会場」ではありません 2.居心地は小さな工夫の積み重ねから生まれます 3.滞在したくなる広場が街を育てます 1.広場は「イベント会場」ではありません メルボルンには大小さまざまな広場があります。 なかでも印象的だったのは、ビクトリア州立図書館前の広場やフェデレーション・スクエアです。 訪れた日も、多くの人が階段に座り、本を読んだり、友人と話したり、昼食を楽しんだりしていました。 特別なイベントが開催されていたわけではありません。 それでも広場には自然と人が集まり、それぞれが思い思いの時間を過ごしています。 日本でも駅前広場や公開空地は数多く整備されています。 しかし、その多くは「イベントを開催する場所」として考えられています。 イベントがある日は賑わいますが、終わると人がいなくなる。 一方、メルボルンの広場は違います。 イベントがなくても、人が集まり、滞在し、日常を楽しむ場所になっています。 つまり、広場の役割はイベントを開催することではありません。 日常を豊かにすることな
9月4日読了時間: 4分
第5章 水辺は都市最大のサードプレイス
― ヤラ川が教えてくれた「滞在する街」のつくり方 ― 【内容】 1.ヤラ川は「眺める川」ではなく「過ごす川」でした 2.人が集まるのは、水辺ではなく「過ごし方」です 3.日本の水辺も、もっと暮らしに開くことができます 1.ヤラ川は「眺める川」ではなく「過ごす川」でした メルボルンを訪れて驚いたのは、ヤラ川が街の中心的な居場所になっていたことです。 休日になると、多くの人が川沿いを散歩し、芝生に座り、テラスで食事を楽しみ、ただ景色を眺めながらゆったりとした時間を過ごしています。 川沿いにはレストランやカフェが連なり、遊歩道にはランナーやサイクリスト、犬の散歩を楽しむ人々が行き交います。橋の下には(橋脚を活かした)水上カフェまであり、街全体が川と一体となって暮らしているように感じられました。 印象的だったのは、多くの人が「何かをするため」に来ているのではないことです。 本を読む人、友人と語り合う人、芝生で昼寝をする人、ただベンチに座って川を眺める人。それぞれが思い思いの時間を楽しんでいます。 都市の中に、このような「何もしなくても心地よい場所」がある
9月3日読了時間: 3分
第4章 街は余白から面白くなる
― レーンウェイが教えてくれた都市の可能性 ― 【内容】 1.レーンウェイは街の「裏側」ではありません 2.人は「近道」より「寄り道」を楽しみます 3.日本にも眠る「街の余白」を活かせます 1.レーンウェイは街の「裏側」ではありません メルボルンを歩いていて、最も印象に残った場所の一つが「レーンウェイ」です。 細い路地に小さなカフェや雑貨店、ギャラリーが並び、多くの人が思い思いの時間を過ごしています。観光客だけでなく、近くで働く人や地元の人も自然に立ち寄り、街の日常がそこにあります。 もともとレーンウェイは、建物の裏側に設けられたサービス動線でした。荷物の搬入やゴミの収集など、表通りを支えるための裏方の空間だったのです。 しかし、メルボルンではその空間を「街の余白」として捉え直しました。 車ではなく人が歩く場所へ変え、小さな店舗や壁面アートを誘導し、歩くだけで楽しい空間へと育てていったのです。 そこには大規模な再開発はありません。 既にある街の魅力を丁寧に磨き上げるという発想があります。 街の価値は、新しいものをつくることだけで生まれるのではあり
8月31日読了時間: 3分
第3章 街を育てる基本原則
― Mixed Use × Active Frontage が街を変える ― 【内容】 1.用途を混ぜることが街の活力を生みます 2.建物の一階が街の表情を決めます 3.街を設計する時代へ 1.用途を混ぜることが街の活力を生みます メルボルンの街を歩いて最初に感じたのは、「時間によって街の表情が変わる」ということでした。 朝は通勤する人がコーヒーを片手に歩き、昼には近くのオフィスワーカーや観光客がカフェや広場で思い思いの時間を過ごしています。夕方になると仕事帰りの人がレストランやバーへ立ち寄り、夜になっても街には適度な賑わいが続きます。 休日になると、今度は家族連れや学生、旅行者が街の主役になります。 つまり、一日の中で街を利用する人が自然に入れ替わっているのです。 この背景にあるのが、「Mixed Use(ミクストユース)」という考え方です。 住宅、オフィス、商業施設、ホテル、文化施設などを一つのエリアに適度に混在させることで、一日を通じて人の流れを生み出しています。 日本では、住宅地、商業地、業務地を明確に分ける都市計画が中心でした。そのため
8月28日読了時間: 4分
第2章 メルボルンはなぜ世界一住みやすい街になったのか
― 都市再生が生み出した「暮らしの質」― 【内容】 1.メルボルンは20年以上かけて街を育ててきました 2.目指したのは「24時間人が暮らす都心」でした 3.住みやすさは「都市の文化」から生まれました 1.メルボルンは20年以上かけて街を育ててきました オーストラリア第二の都市メルボルンは、現在、「世界で最も住みやすい都市」の一つとして広く知られています。 街を歩いていると、その理由はすぐに分かります。 朝は通勤する人とカフェでくつろぐ人が混ざり合い、昼には広場や公園で思い思いに過ごす人々の姿があります。夕方になるとレストランやバーが賑わい、休日にはヤラ川沿いで家族や友人とゆったりとした時間を楽しむ人々であふれます。 街全体に、人が自然に滞在し、思い思いの時間を楽しむ空気が流れているのです。 しかし、この街並みは最初から存在したわけではありません。 1990年代までのメルボルン中心部は、現在とは大きく異なる街でした。昼間はオフィスワーカーで賑わう一方、夜や休日になると人通りが少なくなる典型的な業務中心都市だったのです。 そこでメルボルン市は、「2
8月26日読了時間: 4分
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