第2章 これからのオフィスに求められる創造性:オフィスの行動OS ②
【内容】
1.創造性とは「ひらめき」ではない
2.AI時代だからこそ人に求められること
3.オフィスが育てるべき創造性
1.創造性とは「ひらめき」ではない
「創造性」と聞くと、多くの人は芸術家や発明家を思い浮かべるかもしれません。
一瞬のひらめきで、今までにないものを生み出す力。それが創造性だと思われがちです。
もちろん、そのような創造性もあります。しかし、企業が毎日の仕事の中で必要としている創造性は、少し違います。
例えば、新しい商品を考えるときのことを想像してみてください。
一人だけで考えて完成することは、ほとんどありません。営業がお客様の声を伝え、技術者が実現方法を考え、デザイナーが形にし、製造部門が品質を確認します。
それぞれの知識や経験が少しずつ重なり合うことで、新しい商品が生まれます。
つまり、企業の創造性とは、一人の天才が生み出すものではなく、多くの人が力を持ち寄って育てていくものなのです。
これからの会社に必要なのは、「一人の才能」よりも、「みんなで新しい価値をつくる力」だと言えるのではないでしょうか。
2.AI時代だからこそ人に求められること
AIは、過去の膨大な情報をもとに、優れた答えを示してくれます。
企画書を作ることも、市場を分析することも、文章を書くことも得意です。
では、人はAIと同じことを目指せばよいのでしょうか。
私はそうではないと思います。
人にしかできないことがあります。
それは、異なる考え方を結び付けることです。
まったく違う分野の経験を組み合わせたり、お客様の気持ちを想像したり、「こんなことができたら面白い」という未来を思い描いたりすることです。
さらに、人は仲間と話し合うことで、自分一人では思いつかなかったアイデアに出会うことがあります。
「その考えは面白いですね。」
「それなら、こんな方法もあります。」
そんな何気ない会話から、新しい価値が生まれることは少なくありません。
AIは答えを示してくれます。
しかし、新しい意味や価値を一緒につくり上げるのは、人と人との対話です。
だからAI時代になるほど、人が集まり、話し合い、共に考える時間の価値は、これまで以上に高まっていくのだと考えます。
3.オフィスが育てるべき創造性
では、これからのオフィスは何を育てればよいのでしょうか。
私は、創造性とは「アイデアを出す能力」ではなく、「新しい価値をみんなで育てる力」だと考えています。
そのためには、五つの行動が欠かせません。
一つ目は、「出会うこと」です。
普段接点のない人と話すことで、新しい視点に出会えます。
二つ目は、「対話すること」です。
自由に意見を交わすことで、考えは少しずつ深まっていきます。
三つ目は、「問いを立てること」です。
正しい答えを探すだけでなく、「本当に解決すべきことは何だろう」と考えることが、新しい価値につながります。
四つ目は、「試してみること」です。
最初から完璧を目指すのではなく、小さく試しながら改善を重ねることが大切です。
そして五つ目は、「学び合うこと」です。
アイデアは、一人で完成させるものではありません。仲間の意見を取り入れながら磨き続けることで、初めて大きな価値になります。
これからのオフィスは、この五つの行動が自然に生まれる場所であるべきだと考えます。
社員が偶然に出会い、気軽に話し、小さく挑戦し、お互いのアイデアを育て合う。
そんな日常が積み重なることで、企業の創造性は高まり、やがて企業文化へと育っていきます。
本シリーズでは、この創造的な行動を自然に引き出す仕組みを「オフィスの行動OS」と考えています。
創造性は、一部の人だけが持つ特別な才能ではありません。
誰もが参加できる日常の行動から生まれます。
だからこそ、これからのオフィスには、人の能力を管理するのではなく、人の行動を育てる仕組みが求められているといえます。
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