第10章 参加デザインが変える未来 参加デザイン ⑩
【内容】
1.集客ビジネスは、新しい時代へ向かう
2.参加デザインは、あらゆる分野へ広がる
3.人が集まる街から、人が育つ街へ
1.集客ビジネスは、新しい時代へ向かう
本シリーズでは、「参加デザイン」という新しい設計思想について考えてきました。
人口減少や価値観の多様化が進む現在、従来のように人を集めるだけでは、持続的な成長は難しくなっています。
もちろん、魅力的なイベントや施設はこれからも必要です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
大切なのは、一度の来場を長い関係へ育て、その関係が新しい参加を生み出していくことです。
そのためには、「参加する・しない」という二元的な考え方から、「どのように参加が深まっていくか」というグラデーション型の発想へ転換する必要があります。
入口を増やす。
参加を育てる。
参加を広げる。
この三つの設計原則は、これからの集客ビジネスに共通する基本原則になるでしょう。
これまでの集客が「イベントを成功させる技術」だったとすれば、参加デザインは「人との関係を育てる技術」なのです。
2.参加デザインは、あらゆる分野へ広がる
本シリーズでは、横浜スタジアムや赤坂サカスなどを例に紹介してきました。
しかし、参加デザインはスポーツや文化施設だけの考え方ではありません。
商業施設では、買い物だけではなく、街で過ごす時間を豊かにすることが求められています。
ホテルでは、宿泊するだけではなく、その地域を楽しむ体験が重視されています。
美術館では、作品を鑑賞するだけではなく、街全体でアートを感じる仕掛けが増えています。
オフィスでは、働くだけではなく、人が出会い、新しい挑戦が生まれる場づくりが進んでいます。
そして街づくりでは、「どれだけ人を呼び込むか」ではなく、「どれだけ人との関係を育てられるか」が重要になっています。
対象となる施設やサービスは違っても、人との関係を少しずつ深めていくという基本原理は変わりません。
だからこそ、参加デザインは、これからの集客ビジネス全体を支える共通言語になっていく可能性を持っています。
3.人が集まる街から、人が育つ街へ
私は、参加デザインが目指す未来は、「人が集まる街」をつくることではないと考えています。
本当に目指したいのは、「人が育つ街」をつくることです。
街を歩く。
少し立ち寄る。
何度も訪れる。
誰かを誘う。
応援する。
そして、自ら新しい活動を生み出していく。
このような参加の積み重ねが、施設を育て、地域を育て、文化を育てていきます。
これまで私たちは、「どれだけ多くの人を集められるか」という視点で集客を考えてきました。
しかし、これからは「どれだけ多くの人との関係を育てられるか」という視点が重要になります。
参加デザインとは、その関係を設計するための思想です。
そして、その思想が広がることで、スポーツ施設は地域の誇りとなり、文化施設は文化を育む拠点となり、商業施設は街の居場所となり、街そのものが人々の挑戦や交流を支える舞台へと進化していくでしょう。
集客とは、人を集めることではありません。
参加を育てることです。
参加を育てることは、関係を育てることです。
そして、関係を育てることは、未来を育てることです。
私は、参加デザインが、これからの集客ビジネスだけでなく、人と街、人と文化、人と地域との新しい関係を築くための設計思想として、多くの分野で活用されることを期待しています。
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