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方策1:都市の共創空間づくり シン都市経営 ⑦

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 8月27日
  • 読了時間: 4分

【内容】

  1. 都市における共創空間

  2. 共創空間が求められる理由

  3. 都市経営的視点からの処方箋と具体例

 

 

1.都市における共創空間

東京では近年、コワーキングスペースやパブリックな施設が着実に増加してきました。

しかし、それらの多くは利用者が料金を支払って働く・学ぶ場や、企業活動を前提としたビジネス寄りの場にとどまりがちです。

そのため、行政や企業、住民といった立場や属性の違いを超えて、新たな価値やアイデアを生み出そうとする「共創」のための空間は、まだ十分に育っているとはいえません。こうした現状において、地域や都市の課題に対して「傍観者」として過ごすのではなく、だれもが当事者意識をもって関わり、共に考え、行動し、プロジェクトを育てる機会を得られる場はきわめて重要です。

もし共創の場が整備されなければ、都市が持つ多様な人材やアイデアが交わるチャンスが限られてしまい、都市開発の方向性が行政や一部の企業に任されるだけになりかねません。

さらに、すでに「こんなことをやってみたい」という意欲をもつ人々がいても、その実験や試みを行う場がなければ、芽吹きそうな創造性が十分に伸びることはないと考えます。

 

2.共創空間が求められる理由

共創の場が不足している一因としては、まず空間の設計が一方向的であることが挙げられます。

利用者は「使う側」、スペースを提供する組織は「使われる側」という構図では、相互に学び合う対話や協働のプロセスが生まれにくくなります。

さらに、そうした場を運営・ファシリテートする人材の不足も大きな課題です。

多様な人々の議論を促進し、行動へ導くためには、進行役や企画を担う人材が不可欠ですが、専門的な知識や経験をもつ人がまだ限られています。

また、既存の都市制度が柔軟な場づくりを阻害している側面も見逃せません。

空間の所有権や利用制限などのルールが厳格であるほど、仮設的な拠点や市民参加型の実験を行うハードルが上がってしまいます。

こうした制約を乗り越え、都市がもつ潜在力を最大限に引き出すためにも、実験や試行錯誤を積極的に受け入れる空間づくりが求められていると考えます。

 

3.都市経営的視点からの処方箋と具体例

このような状況を打開するために、まず重要なのは「共創のリテラシー教育」です。

ローカルで暮らす人々が自身の想いや経験をもとに地域課題をプロジェクト化し、学びと実践を循環させるプログラムが重要になると思います。

都市でも「まち経営塾」や「自分ごと化スクール」といった形で、住民が経営視点をもって地域に関わる方法を学び、対話し、行動につなげられる場をつくることが望ましいのではないでしょうか。

次に、「実験可能な空間」の拡張も有効です。

谷中の「HAGISO」のように、仮設的なスペースや小規模な拠点を活用して、アートや地域イベント、アイデアの検証などを自由に試せる場をつくることが鍵となります。

東京でも高架下や空き店舗、公園などを活用し、仮設利用を許可する制度を整備することで、週末に市民実験やプロトタイプ展示を行える「まちの実験場」を増やすことができます。

さらに、「職住混合型の拠点」に議論・試行・発信の機能を組み込むのも大きな可能性があります。

東京・芝浦の「SHIBAURA HOUSE」は、働く・暮らす・学ぶ・つながるが共存する複合空間で、市民が企画を立ち上げて場を借りるなど、共創のハブとして機能しています。

再開発ビルや集合住宅の1階部分に、公共性の高い実験スペースを設け、誰もが企画や発信を行える運営方針を取り入れれば、都市における共創のプラットフォームが一層充実するでしょう。

これらの取り組みは、行政や企業が主導するだけでなく、住民自身が「やりたいこと」をプロジェクト化し、他者と連携して実現できる場を増やすという点で、都市の未来にとって欠かせない視点といえます。

多様なプレイヤーが立場や枠を超えて関わり合い、都市に新たな価値を創出していくために、共創空間づくりは今後ますます求められていくと考えます。

 
 
 

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