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オフィス研究の変遷 AI共創オフィス ④

  • 2025年11月5日
  • 読了時間: 4分

【内容】

第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の時代(1900〜1950年代)

第2章:人間中心のオフィス ― 働きがいと組織文化の時代(1960〜1980年代)

第3章:知識と多様性の時代 ― IT革命と新しい働き方(1990〜2010年代)

 

 

ここでオフィスの進化を先導してきた「オフィス研究」の変遷について、お整理しておきます。


第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の時代(1900〜1950年代)

オフィスの研究は、20世紀初頭の産業革命以降に始まりました。

この時代のオフィスは、工場と同様に「作業の効率化」を目的とする空間として設計されていました。

デスクが規則正しく並ぶ“オープンオフィス”が登場し、多くの事務作業者が一堂に会して書類処理やタイピング業務に取り組む光景が広がりました。

理論面では、米国の経営学者であるフレデリック・テイラーによる「科学的管理法」が注目を集め、作業工程を分解・標準化することによって業務のスピードと正確さを向上させる手法が導入されました。

また、独国・社会学者のマックス・ウェーバーの「官僚論」では、階層的で秩序立った組織構造が理想とされ、オフィスもその枠組みに沿って整備されました。

この時代のオフィスは、主に管理・統制のための空間であり、働く人の創造性や快適性よりも、生産性や処理能力が重視されていたのが特徴です。

  

第2章:人間中心のオフィス ― 働きがいと組織文化の時代(1960〜1980年代)

戦後の経済成長とともに、オフィス研究は「人間らしさ」に着目する方向へと進化していきました。

労働者のモチベーションや心理的な満足度、働きがいといった“ヒューマンファクター”が研究対象に加わります。

特にマズローの欲求段階説やハーズバーグのモチベーション理論は、オフィスの設計やマネジメント手法に大きな影響を与えました。

空間デザインにおいては、「オフィスランドスケープ方式」が革新をもたらしました。

これは、部門間の壁を取り払って自由度の高い配置を可能にし、職場にコミュニケーションや柔軟性を取り戻すことを目的としたものです。

こうした空間は、従業員の交流や創発的なアイデアを促進するとされました。

またこの時期、企業文化や組織風土という概念も注目されはじめます。

オフィスの空間配置が、チームの関係性や意思疎通のスタイルに影響を与えるという視点が共有され、職場設計は単なる家具配置から、組織戦略の一部へと進化していきました。

 

第3章:知識と多様性の時代 ― IT革命と新しい働き方(1990〜2010年代)

1990年代以降は、パーソナルコンピュータとインターネットの普及により、オフィス研究も大きな転換期を迎えます。

業務が「情報処理」から「知識創造」へとシフトする中で、空間設計や働き方にも柔軟性が求められるようになりました。

日本では野中郁次郎氏らが「知識創造企業(ナレッジクリエイティングカンパニー)」の概念を提唱し、企業内の暗黙知を共有・形式知化するプロセスが組織競争力の鍵であるとされました。

これにより、情報を共有する仕組みとしてのオフィス空間が重視され、固定席からフリーアドレス、さらにはABW(活動に応じた空間選択)へと進化します。

同時に、在宅勤務やサテライトオフィスといった「分散型オフィス」も注目されはじめ、職場は一つの建物の中に収まるものではなくなりました。

多様な人材が多様な働き方を選択できるよう、企業はオフィスの役割を「成果を出す場」から「自律と共創を支えるプラットフォーム」へと再定義していく必要に迫られました。

このように、技術の進化と多様化する労働者の価値観は、オフィスを単なる物理空間から、企業の知と文化を媒介する装置へと押し上げたと言えます。

AIが登場する以前のオフィス研究は、「効率性」→「人間性」→「知識と柔軟性」という三段階の変遷を辿ってきました。

空間・組織・技術の観点から絶えず見直され続けてきたオフィスは、社会や価値観の変化を映す“鏡”でもありました。

今後、AIやロボティクスの導入が進む中で、オフィスは再びその本質を問われようとしているのではないでしょうか。

 
 
 

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