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オフィスの定義と変遷 AI 共創オフィス ②

  • 2025年10月29日
  • 読了時間: 4分

【内容】

第1章:オフィスとは何か──機能と構造の基本

第2章:高度成長から情報化まで──オフィス構造の変化と背景

第3章:2000年代以降の再編──アウトソーシングとオフィスの選択と集中

 

 

AI共創オフィスを検討するにあたって、まずオフィスの定義とその進化とを整理しておきたいと思います。


第1章:オフィスとは何か──機能と構造の基本

オフィスとは、主にホワイトカラー職が業務を行うための空間であり、企業の中枢として情報の処理・共有・意思決定を担う場と定義されます。

机・椅子・電話・書庫といった物理設備に加え、近年ではIT機器やネットワークが不可欠な要素となっています。

オフィスの空間構成には、業務の効率性や階層構造の可視化といった目的がありました。

たとえば「島型」と呼ばれる配置では、部課単位で机が固まり、部門の一体感や業務指示の伝達をスムーズにする効果がありました。

さらに、上司の机が島の端にある「見える管理」も、昭和から平成初期にかけて一般的な設計思想でした。

つまりオフィスとは、単に働く場所というだけでなく、組織構造や文化が可視化される場であり、企業の「働き方の器」として社会的な役割を果たしてきたと言えます。

 

第2章:高度成長から情報化まで──オフィス構造の変化と背景

日本のオフィスは、高度経済成長期(1960〜70年代)にかけて急速に拡大しました。当時は書類中心の定型業務が大半を占め、大量の人員が手作業で伝票処理・集計・ファイリングなどを行っていました。

このため、都心部には大規模な事務スペースが必要とされ、「事務の都・東京」と称されるほどに床需要が高まりました。

1980年代になると、OA化(オフィス・オートメーション)が進展し、ワープロ・コピー機・FAXが導入されるようになります。

これにより、物理的な紙の流通が減少し、徐々に「効率性の高い事務空間」への関心が高まりました。

ただし、この段階では、あくまで“人による入力・処理”が基本であり、デスクワーク自体の構造は大きく変わりませんでした。

1990年代に入ると、Windows型PCとLAN(社内ネットワーク)の導入が本格化し、情報の処理方法が大きく変わります。

紙の資料はデジタルデータに置き換えられ、共有フォルダや電子メールが日常業務の中心となっていきました。

この時期から、机上にPCが置かれることを前提としたオフィス家具の設計が主流となり、ケーブルマネジメントやモニター設置を考慮した空間づくりが始まります。

 

第3章:2000年代以降の再編──アウトソーシングとオフィスの選択と集中

2000年代に入ると、企業のコスト意識の高まりとともに、定型的な間接業務(経理、人事、庶務など)を社内で抱えることに対する見直しが進むようになります。

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の登場により、これらの業務を地方や海外のセンターに委託する流れが本格化し、都心の本社オフィスでは“戦略的業務”を担う部署に限ってスペースを集中させるようになります。

これにより、従来オフィスの大半を占めていた定型業務型のフロアが削減され、代わりに、会議室・プロジェクトルーム・来客対応スペースなどの「コミュニケーション機能」が強化されました。

特に東京では、丸の内や六本木などで再開発が進み、オフィスは「効率的に作業する場」から「ブランド価値や企業文化を表現する場」へと再定義され始めました。

さらに2010年代に入ると、クラウドサービスやスマートフォンの普及により、「どこでも働ける環境」が整備され、フリーアドレスやサテライトオフィスの導入が増加しました。

この頃には、オフィスは「固定された執務場所」ではなく、「業務に応じて選べる働く場」の一つとして位置づけられるようになります。

このようにオフィスの役割は、時代の変化に連動して大きく変化してきました。

定型業務から創造・対話・共創へと働き方の重心が移る中で、空間の設計思想も「集約と集中」から「選択と多様性」へと進化してきたのです。

 
 
 

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