top of page

都市とは何か? 都市暮らし ②

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2024年3月25日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. 都市の定義

  2. 都市化する世界

  3. 新興メガシティの特徴

 

 

1.都市の定義

私たちが普段暮らしている「都市」について、「建築学用語辞典」では、下記のように定義されています。

「地域の社会的・経済的・政治的な中心となり、第二次・第三次産業を基盤として成立した人口・施設の集中地域。」

また、横国大准教授の野原先生は、「都・市」の二文字の意味から説明してくれました。

  1. 都「みやこ:宮城」政治・行政の中心地。

  2. 市「いち:市場」経済・交易、文化の中心地。

 

一般的に都市が生まれた主な要因として説明されるのが、「農耕のおける共同作業」です。

移動型で不安定な狩猟採集生活から、農耕技術の闊達によって、安定して食料が得られるようになり、定住して共同作業をするようになります。

さらに余剰食料が生まれると、それを交換する経済が生まれ、富を蓄える非農業従事者が生まれます。

この非農業従事者たちが集まる場所、物々交換の場すなわち「市場」が都市の原型だと言えます。

さらに非農業従事者の中でも貧富の差と権力とが生まれ、この権力に継続性を持たせるために、政治の中心を象徴化した「宮城」が生まれます。

こうして考えると都市には、「市場」としての「合理性」と、「宮城」としての「象徴性」との「2面性」が求められるのではないでしょうか。

 

 2.都市化する世界

20世紀後半は、世界人口が急激に増加した時代です。

1802年に10億人だった人口は、1927年に20億人、1960年に30億人、1974年に40億人、1987年に50億人、1998年に60億人になり、2011年に80億人と、人口増加ペースが早まっています。

さらに世界人口に占める都市人口の割合は、1950年代には30%足らずでしたが、

現在その割合は50%に上昇し、2030年には60%(約49億人)が都市で暮らすようになると予想されています。

国連の予測によると、人口1000万人を超える「メガシティ」は、2018年が33都市(途上国27)でしたが、2030年には43都市(途上国36)と予想されています。

新興メガシティは、アジア・アフリカを中心にどんどん増えています。

 

3.新興メガシティの特徴

欧米の都市化は、数百年の時間をかけて、都市部に雇用だけでなく、娯楽や情報、医療、教育の機会を蓄積させてきたことで、「都市のエコシステム」を作り出しました。

農村部から都市に移動した人たちは、都市のエコシステムに吸収されて、活発な経済活動の人材不足を補い、さらなる経済の発展をもたらしてきました。

日本の場合は、戦後の数十年の間に急速に都市化しました。

エコシステムとして循環が成立せず、副産物として生まれた「ニュータウン」は、高齢化に苦しんでいます。

そして現在の新興メガシティや発展途上国の都市化は、経済成長を伴わない場合も多く、荒れた農地を放棄して、職を求めて流入してくる場合が多く、高層ビルやマンションと同時に、巨大なスラム街も形成しています。

 

日本の都市の成熟化を考えることは、新興国の急速な都市化に対する「課題先進モデル」を提示することになるのではないでしょうか。

 
 
 

最新記事

すべて表示
基本的な視点と三つの戦略 AI共創オフィス ⑥

【内容】 第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 第2章 AI時代の競争力を支える「企業文化」という内的OS 第3章 AI×文化の共創拠点としての企業オフィスとサテライトオフィスの連携     第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 生成AIの進化とリモートワークの定着により、私たちの「働く場所」の概念は大きく変わりました。 業務の多くはオンラインで完結でき、駅ナカや自宅、

 
 
 
AI時代における企業オフィスの課題と方向性 AI共創オフィス ⑤

【内容】 第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 第2章 意思決定の“軽さ”がもたらす成長の喪失 第3章 “唯一無二”の判断軸を生むのは、企業文化である     第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 現代は、AIの進化とリモートワークの普及によって、私たちの意思決定のあり方が大きく変化しています。 とりわけAIは、「優秀な常識人の標準答案」とも言うべき、整合的で倫理的かつ網羅

 
 
 
オフィス研究の変遷 AI共創オフィス ④

【内容】 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の時代(1900〜1950年代) 第2章:人間中心のオフィス ― 働きがいと組織文化の時代(1960〜1980年代) 第3章:知識と多様性の時代 ― IT革命と新しい働き方(1990〜2010年代)     ここでオフィスの進化を先導してきた「オフィス研究」の変遷について、お整理しておきます。 第1章:管理のためのオフィス ― 生産性と効率の

 
 
 

Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page