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戦略1:「関わりしろ」を用意する 「関わり資本」による都市再生 ⑥

  • 2025年6月30日
  • 読了時間: 3分

【内容】

第1章:まちづくりに「関わる」ハードルを下げるという視点

第2章:三層構造で捉える「民の役割」

第3章:関わりしろが都市に循環を生む

 


第1章:まちづくりに「関わる」ハードルを下げるという視点

人口減少や高齢化が進む地方都市において、まちづくりを行政や専門家だけに任せていては持続的な変化は生まれません。

その鍵を握るのが、市民一人ひとりが関心やスキルに応じて自由に関われる「関わりしろ」の存在です。これは制度的なゆとり、物理的な余白、心理的な安心感のすべてを含んでおり、誰でも「自分も関わっていい」と思える環境を意味します。

しかし現実には、公共空間の使用許可の煩雑さや、行政手続きの硬直性、空間情報の非公開などが、市民の関わりを阻んでいます。

これに対し、自治体がまず果たすべき役割は、制度・資源の「開放」です。

たとえば、空き家や公園、遊休地などをまちづくり活動に活用できるよう、簡易な申請手続きや使用料の減免制度を整えることが求められます。さらに、空き物件のデータベース化や、公共施設の空き状況をオンラインで見える化することも効果的です。

また、すべてを「完璧に整えてから貸す」のではなく、「まずは試してみよう」という柔軟な姿勢も重要です。イベントや店舗、展示などの小さな活動が始めやすいよう、期間限定の実証実験や、暫定利用を許容するソフトなルールの整備が、創造的なまちの第一歩となります。

 

第2章:三層構造で捉える「民の役割」

こうした「関わりしろ」が用意されたとき、関わる市民側も一枚岩ではなく、関心の深さや時間的余裕に応じて三層に分けて考える必要があります。

まず、①主体的に動く人たちは、地域課題に対して自らアクションを起こす「まちの編集者」です。彼らは空き家を改修してカフェを開いたり、広場でマーケットを企画したりと、実行力と情熱を持ちます。

こうした人々には、公共資産への優先利用権や、活動資金としての補助金、制度上の裁量を渡すことで、より大きな変化を担うことが可能となります。

次に、②協力する人たちは、主体者ほどの継続性はないものの、スキルや時間を活かして特定のプロジェクトに貢献したい層です。イベント当日の装飾や運営スタッフ、広報物の作成などを担います。

この層には、気軽な参加依頼と、柔軟な報酬設計が重要です。金銭報酬に限らず、地域通貨やクーポン、SNSでの紹介といった“感謝の見える化”が有効です。

そして、③参加する人たちは、まちの活動に“観客”として参加するライト層です。

地域イベントに足を運び、SNSで発信し、雰囲気を味わうことで、「関わった気持ち」を持ちます。

彼らに対しては、無料あるいは低価格で参加できる体験設計、ノベルティや記念撮影の演出といった、軽やかな関与の場づくりが大切です。

 

第3章:関わりしろが都市に循環を生む

このように、「関わりしろ」を制度的・空間的に整備し、それに多様な市民がそれぞれの層で応じることで、まちは徐々に“動き始める場”へと変化していきます。

さらに重要なのは、各層の人々が固定化されず、段階的に移行できる仕組みを設けることです。

例えば、③のライト層がイベントの楽しさを通じて「次は何か手伝ってみよう」と思えば、②の協力層へ。さらには「自分でやってみたい」と感じたときに、①の主体層へと成長する循環が生まれます。

この循環を促すためにも、行政は関わる人の変化を見守り、民間プレイヤー同士の接点を繋げる“舞台監督”としての機能が求められます。

また、地域外からの参加や移住者に対しても、「あなたが何か始められる場所ですよ」という開かれた都市の姿勢が鍵となります。

地域の課題を、住民だけで背負うのではなく、関係人口や越境的プレイヤーとともに育てていく時代においては、この「関わりしろ」が最も強いまちの資産になるのです。

 
 
 

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