「街づくり」というフワッとした言葉に、違和感はありませんか?
誰のために?何を?どうするのか?が今一つハッキリしない「街づくり」という言葉。
肌触りが良くて、使いやすい「街づくり」を見直して行きたいと思います。
【内容】
エリアマネジメントの限界
そもそも「街づくり」って何なの?
十人十色のまちづくり観
街づくりの前提シフト
街づくりゴールとしての「ファン・タウン」づくり
1.エリアマネジメントの限界
エリアマネジメント(以下、エリマネ)は、現代都市における「街づくり」活動の中心的な役割を担っています。
日本においては、そのエリマネ活動が、転機(=限界)を迎えています。
エリマネ活動として「繋がって」、「イベントで盛り上げて」、「それで次はどうするの???」という壁にぶち当たっているのです。
エリマネ活動は、良く欧米の BID制度と比較されますが、欧米BID制度には、「公共空間の指定管理者」という明確な位置づけと機能があります。防犯や清掃という課題もあります。
ところが日本のエリマネの場合、街なかでの防犯、清掃について、課題感も乏しく、公共空間の管理機能も別の組織にあります。
だから情報発信と賑わいづくりに偏り、「イベント屋さん」と揶揄されてしまうのです。
2.そもそも「街づくり」って何なの?
根本的には「街づくりのゴール」が不明確なところに問題があります。街づくりという「フワッ」とした言葉は、何を目指しているのか?甚だ曖昧です。
「街づくり」という言葉は、1952年に「都市問題」という雑誌に初出しています。
「生活の質を高めるために、身近な居住環境に対して、働きかける持続的な活動」と定義されます。
交通戦争や公害など都市化・人口過密化に伴う問題に対して、行政による都市計画的なトップダウン視点ではなく、住民を中心としたボトムアップで、ハードだけでなく、ルール作りやイベント・生業整備などのソフト分野を含めた対応を図ろうというものでした。
3.十人十色のまちづくり観
まちづくりの概念は、前述の通り都市問題への公民連携での対応策であり、交通問題や公害など、対象が明確な段階は、一定の効果がありました。
しかし一通り課題が落ち着き、高齢化や子育て、人口減少に伴う商店街や観光振興など、新たに多様な課題が生まれると、「街づくりは方向性」を失います。
それぞれが、独自のまちづくり観を抱いているのです。
十人十色のまちづくり観を持っているのです。
その延長線上に生まれたエリアマネジメントも、ゴールも見出せない状況です。
4.街づくりの前提シフト
迷走する街づくりに追い討ちを掛けているのが、人口減少とコロナ禍です。
人口減少に伴い、街づくりのステイクホルダーが住民だけで良いのか?居住人口の増大がゴールで良いのか?が問われています。
コロナ禍に伴い「どこでも働け、どこでも住める時代」になり、都市の大きな機能である「働く」機能に疑問符がつくようになりました。
超・成熟社会化に伴う企業オフィスの誘致合戦に、コロナ禍が拍車をかけたのです。
都市再生プロジェクトの柱である就業人口の増大がゴールなのか?も問われています。
街づくりの前提そのものがシフトしたのです。
5.街づくりゴールとしてのファン・タウン
このような状況を踏まえ、私たちは居住人口でも就業人口でもなく、「ワザワザ繰り返し訪ずれる人(=街のファン=共感人口)が多い街が、魅力ある街」という定義を提案します。
その上で、共感人口を増やすこと(=街のファン作り)を街づくりのゴールにしてはどうでしょうか?
Beyondコロナの街づくりでは、街のファンづくりをゴールにした、「ファン・タウン」の創造を目指すべきだと考えます。
以降の回では、ファンマーケティングを参考にして、「ファン・タウン」の構造や作り方などについて検討したいと思います。
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