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なぜ今「お祭り」が大変なのか? お祭りミライ ①

【内容】

1.お祭り大国:日本

2.お祭りの減少加速

3.本来は「したたかな」神社やお寺




1.お祭り大国:日本

全国に約30万あると言われる日本のお祭りですが、「消滅の危機に瀕しているお祭りが多数ある」と言われます。

2016年には「秩父祭りの屋台行事と神楽」「高山祭の屋台行事」など33件の「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。(「京都祇園祭の山鉾行事」と「日立風流物」は2009年登録)

そして2021年には、「男鹿のナマハゲ」を含む、全国の来訪神行事10件が、「来訪神:仮面・仮装の神々」として、登録されています。

地域社会の安泰や災厄防除を願い、地域の人々が一体となって執り行う日本の祭りが、国際的に認められた訳です。


2.お祭りの減少加速

お祭りの数は、正確な統計が取られていないため、その減少数を統計的に比較することはできませんが、お祭りの母体となる神社・お寺の数、それを支える氏子や檀家の数が、減少していることから明らかです。

その原因としては、人口減少と都会への流出による地域コミュニティの崩壊が、従来から指摘されてきました。

それに加えて、コロナ禍に伴う中止からの消滅が挙げられます。

都会では、コロナ禍によるリモートワークの浸透に伴い、「飲み会」が減少し、居酒屋業界が大打撃を受けました。

コロナ禍が開けてもこの傾向は続き、飲み会の回数は、V字回復には至っていません。「亡くなっても特に不都合がない」という印象です。

結局「何となく続けていた慣習」が、見直しを迫られていると言うことではないでしょうか。

単純な比較はできませんが、地域の付き合いやお祭りもこれに似た、社会慣習と言えます。

「参加を断る口実」「中止を決断する理由」が見つからないまま、惰性で続いてきた慣習が、会社における「飲み会」、地域における「お祭り」だったということが証明されたのだと考えます。。

もちろん全ての「お祭り」が、消滅して良い訳ではありませんが、地域における「お祭りの目的と効用」が問い直されているのだと考えます。


3.本来は「したたかな」神社やお寺

民俗文化財というのは、生活の推移に沿うと言うことなので、昔のものがそのまま良い訳ではありません。

以前、「社寺再生」のシリーズで、「初詣」が川崎大師と京急電鉄の発案であったことや、「合格絵馬」の発祥が湯島天神で有ったことなどに触れましたが、本来神社やお寺は、マーケティングセンターと言える存在でした。

現在はお神輿が有名な神田明神の「神田祭」ですが、町中に堀が張り巡らされていた江戸時代には、「船渡御」として船に乗せられ、堀が埋められ道路になると「山車」で運行され、電線や歩道橋で山車が通れなくなると「神輿」に変化していったといいます。

神社・お寺そしてお祭りは、時代のニーズに対応しながら、したたかにサバイブしてきた DNA を賦活・活性化させるべきです。

アニメとのコラボやプロレス興行など、様々なトライアルと続ける神田明神の禰宜は、「人々の共有認識が変わるにはヒト世代必要だけれど、神社などは変化させながら1000年以上存続してきた」とコメントしています。


このような認識をもとに、これからの時代に対応した、「お祭りのあり方、未来の切り開き方」を、検討したいと考えます。

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