top of page

そもそも「サードプレイス」って何なの?:日本型サードプレイスの提案 ②

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2023年3月24日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. サードプレイスとは

  2. サードプレイスの8条件

  3. 日本型サードプレイスの再定義の必要性



1.サードプレイスとは

「サードプレイス」は、アメリカの社会学者のレイ・オルデンバーグが、都市の魅力を高める要素として提唱した概念です。

オルデンバーグは、

「都市には、都市居住者にとって、生活する上で欠かせないファーストプレイス(家)、セカンドプレイス(職場)に加えて、居心地のよい第三の居場所「サードプレイス」が必要で、そのあり方が、都市の魅力を左右する」

と提唱しました。

ファストフードに代表される、当時のアメリカに定着していた飲食スタイルに対して、フランスのカフェやイギリスのパブを引き合いにして、「ゆとり、活気、コミュニティ」の必要性を指摘したのです。


2.サードプレイスの8条件

サードプレイスとは、パブリック空間でありながら、インフォーマルな雰囲気を、備えた場所がイメージされます。

一般的には、飲食を伴うことで、気楽な雰囲気と適度にリラックスした気分とを醸成した施設や業態になっている事が多いようです。


オルデンバーグは、著書「The Great Good Place」において、サードプレイスを提唱しましたが、その後も研究を続け、サードプレイスの条件として、次の8つを挙げています。

  1. 中立地帯:「個人が想いのままに出入りでき、もてなすことを要求されず、全員が心地よく寛ぐことができる」と有り、肩書など関係なく、個人として気兼ねなく利用できることが重要です。

  2. 平等:「会員などのアクセスに制限がなく、あまねく人々が入ることができる」つまり、会員制でないことは当然ですが、ターゲットをあまり絞り込まない場づくりが必要だと言うことです。

  3. 会話中心:「会話が楽しく、活気に満ちている」日常的に会話され、話しかけやすい雰囲気が求められています。

  4. アクセス性:「アクセスしやすく、中にいる人々が協調的である」 建物の上層階ではなく、人目に付く一階にあることが必要なようです。

  5. 常連:「常に[新参者]を快く受け容れる[常連]がいて、いつも心地よい空気をつくる」コミュニティ運営で最も難しい「開かれたコミュニティ」を意識できる優しい常連が必要とされています。

  6. 控えめな外観:「日常に溶け込む簡素な外観デザイン」 オシャレな外観ではなく、気軽に立ち寄れるデザインが求められています。

  7. 遊び心:「明るく遊び場的な雰囲気を持っている」 禁欲的ではなく、遊び心に溢れ、変化して行くことにも寛容な雰囲気が大切ではないでしょうか。

  8. 居心地:「もう一つの家、リビング、家族的な存在である」 人、サービス、空間がローカライズ&カスタマイズされた結果の居心地の良さだと考えます。


3.日本型サードプレイスの再定義の必要性

この条件を、現代の日本に当てはめていく事は、かなり無理があると思います。

スターバックス・コーヒーが、「サードプレイス」というコンセプトを日本風にアレンジしたように、「会話中心」「常連」「遊び心」などは、日本の現状を踏まえて、再定義していく必要があるかもしれません。

 
 
 

最新記事

すべて表示
方策2:共体験アーカイブ&データ還元 共体験デザイン ⑦

【内容】 第1章 共体験アーカイブ & データ還元の基本発想 第2章 共体験アーカイブの具体的要素 第3章 効果測定と都市開発への意義   第1章 共体験アーカイブ & データ還元の基本発想 都市は単なる建築物や交通の集積ではなく、人々が日常やイベントを通じて共に体験し、その記憶を積み重ねていく舞台です。 近年の都市開発では、この「共体験」をどのように記録し、再提示していくかが重要なテーマとなって

 
 
 
方策1:共体験広場 共体験デザイン ⑥

【内容】 第1章 共体験広場プログラム化の基本発想 第2章 共体験広場の具体的なデザイン要素 第3章 効果測定と広場の価値創出   第1章 共体験広場プログラム化の基本発想 これまで広場や駅前空間、商業施設の共用部は「人が集まる場所」として位置づけられてきました。しかし近年の都市開発においては、単なる集客空間ではなく「人が共に過ごし、体験を分かち合う場」への転換が求められています。 言い換えれば、

 
 
 
基本方針 共体験デザイン ⑤

【内容】 第1章 「共体験デザイン」の視点 第2章 「共体験デザイン」の基本方針 第3章 「共体験デザイン」の具体化方策     第1章 「共体験デザイン」の視点 都市開発において「共体験」を軸にした計画を進めるためには、空間・社会・時間・経済という四つの視点から捉えることが重要です。 ⑴空間の視点 都市の価値は「建物」そのものではなく、「建物と建物の間に生まれる生活」に宿ります。ベンチや段差、可

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page