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その他のスポンサー事例:文化施設のtoB戦略 ④

【内容】

1.東京ディズニーリゾート

2.キッザニア

3.複合都市開発におけるスポンサードとの違い



PayPayドームの他にも、toB戦略の参考になる集客施設があります。

1.東京ディズニーリゾート

集客施設のスポンサードで最も有名なのは、「東京ディズニーリゾート」では無いでしょうか。

現在ランドで27社、シーで26社のオフィシャルスポンサーが導入されています。

正確な金額は明らかにされていませんが、年間数億円と言われるスポンサー料を元にして、様々なアトラクションやショーが随時導入されているのです。

事業報告書によると、ディズニーランドとディズニーシーとを合わせて、年間3200万人(客単価11,800円:2018年)を集め、4370億円の売り上げと報告されています。

金融アナリストの試算では、その報告書の客単価と売り上げとの差異分、約520億円程度がスポンサー収入ではないか、と推測されています。


オフィシャルスポンサーは、パーク内での企業ロゴの掲出のほか、パークのロゴ・ビジュアルを使用した広告の制作や、パークチケット・商品による宣伝・販促活動が可能になります。

またスポンサーは、各社が提供するアトラクション内に、専用ラウンジを持ち、関係者だけが予約制で利用できます。

専用ラウンジ利用者は、待ち時間なしでアトラクションを優先利用できる他、飲食サービス、限定アイテム販売を受けることができ、ビジネスの商談や顧客特典、福利厚生などに利用されています。


2.キッザニア

子ども達に「本物に限りなく近い職業・社会体験」の機会を提供するエディテイメント施設「キッザニア」も、スポンサー制度を活用しています。

現在国内3箇所に展開するキッザニアは、予約制のため各施設とも、年間80万人30億円程度を上限に運営されていますが、そのコンセプトの秀逸さと一業種一社の占有型協賛で、東京47社、甲子園では49社、福岡は34社のスポンサーを集めています。

当初想定された収益構造は、入場料50%、スポンサー収入30%、グッズ収入20%でした。

スポンサー企業はパビリオンの初期投資(2,000万円〜1億円)や維持コスト(毎年初期投資の60%程度)などを負担しています。

想定通りであれば、18億円程度のスポンサー収入になります。

体験シナリオや設備・ユニフォームなどは、スポンサー企業の方針を踏まえて制作し、企業ロゴを冠したファサードやユニフォームを着用してフランド訴求しています。

企業にとっては、CSRや SDGsなどによる企業価値に向上はもちろん、ブランドロイヤリティの確立や企業メッセージの訴求につながるようになっています。


3.複合都市開発におけるスポンサードとの違い

複合都市開発では東京スカイツリーが、年間数千万円で10数社のオフィシャルスポンサーを集めるなど、10億円を超える多彩な賃料外収入を確保しています。

その他六本木ヒルズも同様の仕組みを導入していますが、スポンサードの対価は、施設内でのメディア掲出の年間枠の提供などに、限定されています。

東京スカイツリーや六本木ヒルズが、いずれも年間数千万人の来街者が有ることを考えると、先にあげたPayPayドームの約300万人、東京ディズニーリゾートの約3000万人、キッザニア80万人、などの「集客数とスポンサー料の関係」には大きな開きがあります。


文化系集客施設のtoB戦略を考える際に、メディア掲出はもちろん、様々な特典を用意できるのかが、価値化の差になるのでは無いでしょうか。

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