top of page

都市公園の未来 ① 時代が求める都市公園

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年8月19日
  • 読了時間: 2分

都市づくりの重点施策として「公園の利活用」が注目されています。さまざまな地方自治体でPark-PFI (以下 P-PFI )事業が起案・実施されていますが、その意義や事業構造には課題も多そうです。

豊島区の「南池袋公園」が、成功事例として取り上げられますが、鬱蒼とした樹木を整理し、明るい芝生広場とカフェを整備すれば成功できるわけではありません。南池袋公園は、池袋というターミナル駅から300メートルという立地に、約8000㎡の大部分を占める芝生広場と、地元の人気店「ラシーヌ」の誘致、そして何より地元の「としま会議」を母体としたコミュニティ型運営主体などの好条件が重なった結果といえます。[集住立地]×[整備規模]×[魅力収益施設]×[コミュニティ運営]の四拍子が揃った事例は稀ではないでしょうか?

従来の「公物管理」のスタンスから、指定管理者制度やP- PFI制度などの導入を経て、確実に利用しやすくなりましたが、この傾向がエスカレートすると「ショッピングセンターの中庭」のようになってしまうのではないか?と危惧してしまいます。運営手法の工夫だけでなく、コロナ禍を経た「都市公園の意味と価値」をもう一度見直す必要があるのでは無いでしょうか?

公園の定義は「公衆のために設けられた庭園や遊園地」とされます。またその価値についても自然景観の保全育成、環境、防災的な「存在価値」と、公衆の休憩、レクリエーション、教養・文化活動機会の提供などの「利用価値」とに整理されていますが、極めて曖昧です。

コロナ禍でオンライン1stの感覚が定着し、従来のように都心通勤を前提にした商業・業務機能が見直しを迫られています。都市そのものの存在理由が問われる時代になり、都市の求心力の重心は「働・生産」から「遊・文化」に移行しつつあるのでは無いでしょうか?都市公園は劇場など都市型エンタテイメント施設などと共に、都市の魅力の中核を担うようになると考えます。従来の「緑化・憩い」だけでなく、未来の都市公園の価値やあり方について根本的な見直しが必要ではないでしょうか?

コロナ禍を経てオープンエア・ニーズは高まり、グランピングの流行に見られるように、上質な屋外アクティビティ環境が求められていることは確かですが、P-PFI方式の導入だけでは、解決しそうにありません。

このシリーズでは都市公園の現状と歴史的変遷を振り返った上で、次世代の都市ニーズを踏まえた都市公園の未来イメージを考察します。



 
 
 

最新記事

すべて表示
方策2:共体験アーカイブ&データ還元 共体験デザイン ⑦

【内容】 第1章 共体験アーカイブ & データ還元の基本発想 第2章 共体験アーカイブの具体的要素 第3章 効果測定と都市開発への意義   第1章 共体験アーカイブ & データ還元の基本発想 都市は単なる建築物や交通の集積ではなく、人々が日常やイベントを通じて共に体験し、その記憶を積み重ねていく舞台です。 近年の都市開発では、この「共体験」をどのように記録し、再提示していくかが重要なテーマとなって

 
 
 
方策1:共体験広場 共体験デザイン ⑥

【内容】 第1章 共体験広場プログラム化の基本発想 第2章 共体験広場の具体的なデザイン要素 第3章 効果測定と広場の価値創出   第1章 共体験広場プログラム化の基本発想 これまで広場や駅前空間、商業施設の共用部は「人が集まる場所」として位置づけられてきました。しかし近年の都市開発においては、単なる集客空間ではなく「人が共に過ごし、体験を分かち合う場」への転換が求められています。 言い換えれば、

 
 
 
基本方針 共体験デザイン ⑤

【内容】 第1章 「共体験デザイン」の視点 第2章 「共体験デザイン」の基本方針 第3章 「共体験デザイン」の具体化方策     第1章 「共体験デザイン」の視点 都市開発において「共体験」を軸にした計画を進めるためには、空間・社会・時間・経済という四つの視点から捉えることが重要です。 ⑴空間の視点 都市の価値は「建物」そのものではなく、「建物と建物の間に生まれる生活」に宿ります。ベンチや段差、可

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page