top of page

都市クオリア指標の高め方⑦ 祭り(ハレとケ)による変化拡張

  • 2021年11月15日
  • 読了時間: 3分

都会の祝祭感溢れるライティングと喧騒の中では、季節の祭りの「設えや賑わい」はかき消されがちですが、鑑賞・消費に終始する生活においては、祭りによる「特別な関係機会」が非常に重要だと考えます。盆踊りの輪の中に入りみんなで踊る事や神輿を担ぐ一員に加わる事は、私心を脱ぎ去り一つの事に尽くす達成感をもたらしてくれます。お祭りを見に行くだけならイベントと変わりませんが、一歩進んで参画する関係になった時には、日常のヒエラルキーや役割と関係なく一体感を味わう機会になります。近年ハロウィンが急速に盛り上がり、市場規模は約1200億円(2019年日本記念日協会)とバレンタインを抜き、7000億円市場のクリスマスに次ぐ規模に成長しています。ハロウィンの魅力は何と言っても「仮装」出来る事で、一種の変身と言えます。 東京渋谷や大阪道頓堀は仮装した若者たちで溢れ街丸ごと仮装パーティ状態です。普段の自分ではない非日常感を楽しみ、SNS 受けも含めて仲間と一緒に騒げるところが、好評な要因のようです。

日本人は普段は恥ずかしがり屋で控え目で礼儀正しいという印象がありますが、新橋で酔っ払ったサラリーマンの変節ぶりがよくニュースになるように、抑圧され鬱積したストレスが、酒の力を借りて一遍に噴出させることがあります。ハロウィンもこれに似た現象と感じるのは私だけでしょうか。ただし、これは何も現代に限ったことではなく、日本では伝統的に「ガス抜き」の仕組みがあったのです。昔の村祭りの仕切り役は、毎年持ち回りになっていました。20軒あれば20年に一度順番が回ってくるわけです。これは収入に関係なく、その祭りについては責任者として、上座につけるということです。普段は庄屋さんに頭が上がらなくても、その祭りに関しては仕切って指図ができるわけです。また祭りの夜に限っては自由な男女交際も認められたといいます。閉鎖的なコミュニティの村社会に設けられた巧みなガス抜きの仕組みだと考えます。

一方 日本橋エリアでコミュニティ形成の方策として「ネオ師弟制度」が検討されると聞きました。日本橋周辺のタワーマンションに入居する新住民と、古くから日本橋で商売をしてきた人たちを「師弟」という関係で繋ごうというものです。街に新しい兄弟子やお馴染みができるかも知れません。もちろん時には煩わしさを感じる事もあると思いますが、通り一遍で希薄になりがちな人間関係を再編成する機会になると期待しています。

日常的なヒエラルキーや社会関係を組み替える仕組みづくり機会づくりは、変化を通じて視野と思考を広げる方策として非常に有効だと考えます。


【祭り(ハレとケ)による変化拡張:祭りの活用による期間限定の関係組み替え機会】


 
 
 

最新記事

すべて表示
今なぜ ご近所資本主義なのか? ご近所資本主義 ①

【内容】 第1章 画一化する都市と地域経済の空洞化という課題 第2章 「よき商い」と関係性が支えるご近所資本主義 第3章 多様性とレジリエンスを生む新しい資本のかたち   知人の小野裕之さんたちが「BUY LOCAL」という活動を展開し始めました。 鉄道会社の方など様々な人たちを紹介しながら、彼らが提唱する「ご近所資本主義」について勉強させていただきました。 本シリーズでは、次世代の地域活性化策と

 
 
 
都市の未来 マインド・メイキング ⑩ -共感と持続性を生む都市の新しいかたち-

【内容】 第1章 「建てる」から「意味をつくる」都市開発へ 第2章 共感を軸にした新しい経済モデル 第3章 「共感でつながる都市」がもたらす未来     第1章 「建てる」から「意味をつくる」都市開発へ これまでの都市開発は、土地の有効活用や機能配置、商業性の最適化など、目に見える成果を中心に進められてきました。 しかし成熟社会では、人々の評価軸が大きく変化しています。 利便性や効率性だけでは選ば

 
 
 
事業価値 マインド・メイキング ⑨ -「共感」を経済のエンジンに変える都市開発モデル-

【内容】 第1章 共感を中心に据えた新しい経済構造へ 第2章 3つの収益ドライバー:会員・推し活・ブランド価値 第3章 共感が循環する持続型都市経済モデルへ   第1章 共感を中心に据えた新しい経済構造へ これまでの都市開発は、テナント収益や物販売上など、従来型の商業収益を基盤としてきました。しかし、成熟社会において人々の消費行動は大きく変化しています。 物やサービスを「便利だから」「安いから」で

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page