top of page
検索

都市クオリア指標の高め方① 「住宅・宿泊機能」による多様性拡張

都市クオリア指標とは、 私たちの研究会「FIACS」 で研究・策定している次世代の都市評価指標です。都市ユーザーの「幸せ実感」を基点にして、都市の多様な感性と質感とを反映するクオリア指標では、「幸せ実感」を拡張する要素として「多様・変化・交流」を重視しています。オフィスと商業機能が中心となる都心において、住宅・宿泊の整備は多様性の拡張に整合しますが、単純な宿泊特化のビジネスホテルや高級タワーマンションに止まらない工夫が必要です。住宅・宿泊機能を孤立させず周辺施設と連携して相乗作用を発揮するには、住宅であれば部分的にでも「ソーシャルレジデンス」を導入してはどうでしょうか。キッチンやリビングの共有から生まれるプチ共同生活スタイルは、様々なイベント活動を通じてコミュニティに発展する可能性を備えています。神田神保町の「ワテラス・学生まちづくりマンション」のように、エリマネの担い手として位置付ける事も有効だと考えます。同じように宿泊施設であれば「セカイホテル」のように、街なかのレストランや温浴施設と連携した街まるごとホテル発想が有効です。星野リゾート「OMO」の OMOレンジャーのように街なかのヒト・場所・情報を積極的に探索・連携する担当者がいると、宿泊者と街とのつながりの仲介役になります。

人間は自由と利便性とを十分に提供してしまうと、面倒な人付き合いを避け自分勝手な方に流れ、バラバラになってしまいがちです。住宅・宿泊機能を計画する上では自立・完結させてしまうのではなく、「街と連携する状況や役割を仕組んでおく」ことが、地域と関わる行動の背中を押す働きになり、結果的に出会い・発見を通じた感動や幸せ実感につながるのだと考えます。


【「住宅・宿泊機能」による多様性拡張:街と連携する状況や役割を仕組んでおく】

最新記事

すべて表示

エリマネの可能性と課題 共創から競創へ ⑤

【内容】 まちづくりとエリアマネジメント エリアマネジメントの課題 エリアマネジメントの進化の必要性 1.まちづくりとエリアマネジメント 2000年頃から街の活性化の切り札としてエリアマネジメント(以下エリマネ)という考え方が積極的に導入されるようになりました。 国交省の「エリアマネジメントのすすめ」によると、「地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者などに

まちづくりとコミュニティ 共創から競創へ ④

【内容】 まちづくりと同義語 コミュニティ参画のメリット まちづくりのゴール 1.まちづくりと同義語 先述したように、日本においては政府報告書「コミュニティ:生活の場における人間性の回復(1969)」において「村落共同体ではなく、新しい地域をまとめるための概念としてのコミュニティ」が記載されることにはじまります。 同じ頃にひらがなの「まちづくり」も提唱されはじめます。 日本屈指の地域政策プランナー

コミュニティの特性・構造 共創から競創へ ③

【内容】 コミュニティづくりのポイント コミュニティの事業構造 継続の仕組み 1.コミュニティづくりのポイント 成熟ニッポンにおいては、ビジネス的にもメリットの多い「コミュニティ」ですが、主体的に運営するにはどのようなポイントがあるのでしょうか。 コミュニティ・マーケティングでは下記のような留意点が挙げられています。 初めは少人数でスタート コミュニティの目的をはっきりさせる。 参加者に当事者意識

bottom of page