第8章 試すことをデザインする:オフィスの行動 OS ⑦
更新日:8 分前
【内容】
1.創造性は「やってみる」ことから始まる
2.「失敗できない」が挑戦を止めている
3.試すことを育てる行動OS
1.創造性は「やってみる」ことから始まる
どんなに良いアイデアでも、頭の中だけでは価値は生まれません。
実際にやってみることで初めて、「ここは良い」「ここは改善した方がよい」ということが見えてきます。
子どもが自転車に乗れるようになるのも、本を読むだけではありません。何度も乗って、転んで、少しずつ上達していきます。
仕事も同じです。
最初から完璧な企画を目指すよりも、まず試してみることの方が、新しい価値につながることが多くあります。
創造性とは、「完璧な答えを考える力」ではなく、「試しながら育てる力」だと言えます。
2.「失敗できない」が挑戦を止めている
ところが、多くの会社では、「試す」ことが簡単ではありません。
企画は十分に完成してから提出する。
失敗しないように何度も確認する。
前例がないことは慎重に進める。
もちろん、品質や安全性が求められる仕事では大切な考え方です。
しかし、それがすべての仕事に当てはまると、新しい挑戦は生まれにくくなります。
「もっと良い方法があるかもしれない。」
そう思っていても、「失敗したらどうしよう」と考えてしまえば、人は最初の一歩を踏み出せません。
実は、創造性を止めているのは失敗そのものではありません。
小さく試せる場がないことなのです。
3.試すことを育てる行動OS
では、どうすれば「試す」ことが日常になるのでしょうか。
私は、まず「どこで試してほしいか」を考えることが大切だと思います。
人は、「もっと挑戦してください」と言われても、なかなか挑戦できません。
失敗を恐れるからではなく、試してみるきっかけがないからです。
そこで最初に、社員の一日を思い浮かべます。
例えば、
朝、仕事を始める前
会議でアイデアを話すとき
新しい企画を考えたとき
プロジェクトの途中
お客様から新しい要望をいただいたとき
一日の仕事を終える前
こうした日常の場面には、小さく試せるチャンスがたくさんあります。
次に考えるのは、
「この場面で、どんな挑戦が生まれると創造性が高まるだろう。」
ということです。
例えば、
企画会議なら「まだ3割のアイデアを見せる」。
プロジェクト中なら「まず一週間だけ試してみる」。
お客様から要望があれば「小さな実証実験をしてみる」。
仕事の終わりには「今日試したことを振り返る」。
このように、挑戦が生まれるシーンを一つずつ考えていきます。
そして、その挑戦が自然に続く仕組みをつくります。
例えば、
プロトタイプカフェ
今月のチャレンジ発表会
小さな実験制度
今週の実験レポート
失敗から学ぶ共有会
などです。
ここで大切なのは、「成功しなければならない」と考えないことです。
人は、「失敗してはいけない」と思うと、新しいことには挑戦できません。
しかし、
「まず一週間だけ試してみよう。」
「小さく始めてみよう。」
「みんなで意見をもらいながら育てよう。」
そんな気軽さがあれば、挑戦への心理的なハードルはぐっと下がります。
最後に、その挑戦を支える環境を整えます。
試作品を展示できるスペースを設ける。
ホワイトボードに実験中のアイデアを書き出す。
毎週デモタイムを開催する。
月に一度、チャレンジを共有する時間を設ける。
このように、行動・空間・運営を一緒に設計することで、「試すこと」は特別なイベントではなく、毎日の習慣になります。
私は、これが「試すことの行動OS」だと考えています。
創造性とは、一度で成功することではありません。
小さく試し、振り返り、改善し、その経験を次の挑戦につなげることです。
オフィスは、完成した成果だけを評価する場所ではありません。
社員が安心して「まずやってみよう」と思える環境を育てる場所です。
そんな小さな挑戦が毎日積み重なることで、「挑戦することが当たり前」の企業文化が生まれます。
そして、その文化こそが、変化の激しいAI時代において、新しい価値を生み出し続ける企業の原動力になるのです。
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