top of page

目指すべき街のイメージ エリアクオリア指標の可能性と課題 ④

2024年11月6日
読了時間: 4分

【内容】

  1. 十人十色の街づくりイメージ

  2. 街の本来的な価値

  3. サードプレイスの視点

  4. ファンが多い街が魅力ある街

 

 

街を計測・評価するためには、目指すべき街イメージを明確にする必要があります。

ここでは、その方向性について検討します。

 

1.十人十色の街づくりイメージ

我が国で「まちづくり」と言う言葉が使われたのは1952年の「都市問題」に初出したとされています。

「生活の質を高めるために身近な居住環境に対して働きかける持続的な活動」と定義され、トップダウン的な「都市計画」に対するアンチテーゼとして、コミュニティづくりを中心としたソフト活動とセットにして使用されています。

このように幅広い概念ですから、街づくりに関わる人たちの数だけ、街づくりイメージも異なります。

子育て観点、地場産業観点、観光観点、新規事業観点、土地活用観点など、それぞれの立場から「まちづくり」を考えます

「街の機能や役割」に着目してしまうと、まさに「十人十色の街づくり」をイメージしてしまう訳です。

従来のまちづくりに関わる二大主体として、「町内会」と「商店会」がありますが、話が噛み合わないことが多いと言います。

「町内会」を構成する住民は、「静かに安心して暮らせる街」を施工するのに対し、「商店会」を構成する商店主たちは、「人通りが多く賑わいある街」を求めるといった具合です。

両者に対して「一緒にまちづくりを進めていきましょう」といっても噛み合うはずがありません。

まちづくりの難しさは、まずこの「街づくりイメージのすり合わせ」から始めなければいけないところにあります。

 

2.街の本来的な価値

技術革新に加えて、コロナ禍による大転換を経て、リモートワークで仕事をこなし Eコマースで買い物をすませる日常が一般化してきました。

「利便性」という面だけで考えれば、集まって住む必要は無くなったかもしれません。

それでは、街の本来的な価値とは何なのでしょうか?

街を「人が生きる舞台」と定義するところまで遡って検討してみたいと思います。

脳科学的には「生きる目的は(高みに向かって進んでいく努力のプロセス=)成長にある」(理化学研究所 故 松本元氏)と言われます。

成長には日常的な情報の受発信を通じて「分かる=変わる」プロセスが大切で、受発信できる情報の量と質では、「可視/不可視」&「頭脳的/身体的」な領域を網羅できるリアル環境が優位になります。

リアルの価値は情報交流にあり、その集積場である街の価値は【多様な情報の交流機会】にあると言うことになります。

単に「便利」だからではなく、「人が生きる舞台」として街の価値を見直してみると、セレンディピティを含む出会い・発見から成長につながる【多様な情報の交流機会】、と言う価値が浮かび上がってくるのではないでしょうか。

 

3.サードプレイスの視点

【多様な情報の交流機会】として思い浮かぶのが、「サードプレイス」です。

「サードプレイス」と言うキーワードは、スターバックスコーヒーのコンセプトとして認識されていますが、アメリカの社会学者のレイ・オルデンバーグが、都市の魅力を高める要素として下記のように提唱しています。

「都市には、都市居住者にとって、生活する上で欠かせないファーストプレイス(家)、セカンドプレイス(職場)に加えて、居心地のよい第三の居場所「サードプレイス」が必要で、そのあり方が、都市の魅力を左右する」

会社と自宅との往復こそが、「勤勉の証」と考えられていた日本では、街は通勤途中に通過するだけの場所で、憩いと交流の場として楽しむ「サードプレイス」は、必要性が低かったのかもしれません。

「居酒屋」や「カラオケボックス」は、会社の飲み会で利用され、息抜きの場の役割を果たしている、「会社の延長」として機能してきました。

そこには「会社」が移動してきただけで、独自のコミュニティがある訳ではありません。

コロナ禍で定着したリモートワークで、出社しなくなると、飲み会の機会が激減し、社用中心だった居酒屋業態は、苦境に喘いでいます。

会社の延長ではなく、(日本型の)サードプレイスが、これから必要になるのではないでしょうか。

 

4.ファンが多い街が魅力ある街

これまでの検討をもとに、街づくりの指標として最も目安となる数値を検討してみます。

もちろん様々な魅力の総合評価が必要なのですが、「それで結局どうなるの?」と言う問いに答えられる直感的な数値があると有効です。

従来は居住人口や就業人口がこの役割を担っていた事もありました。

自分が働く場所を中心にして、住む場所を考えてきたからです。

ところがコロナ禍を経てリモートワークが定着し、どこでも働ける(=どこでも住める)時代になりました。

これからは住む場所にも働く場所にも関係なく、「ワザワザ繰り返し訪れたくなる街」が自分にとって魅力ある街と言えるのではないでしょうか。

街のサードプレイス力が問われているのです。

このような認識を元に、居住人口でも就業人口でもなく、「ワザワザ繰り返し訪れる人(=ファン)が多い街が、魅力ある街である」と定義したいと考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
第2章 従来型集客ビジネスの限界 参加デザイン②

【内容】 1.イベントは成功した。しかし、その後が続かない 2.「来場者数」だけでは、本当の価値は測れない 3.施設を競う時代から、関係性を育てる時代へ 1.イベントは成功した。しかし、その後が続かない 「大勢のお客様に来場していただき、大盛況のうちに終了しました。」 イベント終了後、このような報告を耳にすることは少なくありません。 確かに、多くの来場者が集まり、会場が賑わえば、そのイベン

 
 
 
第1章 今なぜ「参加デザイン」が必要なのか:参加デザイン論①

【内容】 1.集客の時代が変わった 2.「集める」だけでは続かない 3.これからは「参加」を設計する時代へ 1.集客の時代が変わった 「どうすれば、もっと多くのお客様に来てもらえるだろうか。」 これは、商業施設や文化施設、スポーツ施設、観光地など、多くの集客施設が長年考え続けてきたテーマです。 これまでは、新しいイベントを開催したり、有名人を呼んだり、広告を増やしたりすることで集客を図って

 
 
 
第10章 Stayable TownからLovable Townへ

― 成熟社会が目指す新しい街づくり ― 【内容】 1.Walkableだけでは街の魅力は生まれません 2.Stayableが街への愛着を育てます 3.街づくりは「文化を育てる仕事」になります 1.Walkableだけでは街の魅力は生まれません 近年、日本でも「ウォーカブル(Walkable)」という言葉を耳にする機会が増えました。 歩きやすい歩道を整備し、自動車中心だった街を、人が安心して歩ける街

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page