top of page

次世代の都市評価指標10  City Qualia Index (都市クオリア指標)へ

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2021年10月29日
  • 読了時間: 2分

クオリアとは「主観的に体験される様々な感覚」を表する哲学用語です。「〇〇らしさ」や感覚質を意味します。City Qualia Index(都市クオリア指標)は、都市の多様な主体による感性や質感を反映する FIACS が目指す次世代の都市評価指標の名称です。

1855年のパリ万博の際に皇帝ナポレオン3世は、世界中から集まる訪問客に向けて、フランスのボルドーワインの展示に格付けが必要だと考えました。そしてワイン仲買人によってシャトーの評判や市場価格に従って、51のシャトーが第1級から第5級までランク付けされ、ボルドーワインの公式格付けとなったのです。実際はボルドー全体の生産地のうち5%程度しか対象になっていませんでしたが、「格付け」は誰にでも分かりやすい評価として定着したのです。

また LEED認証は世界で広く利用されているグリーンビルディングの認証プログラムです。建築物を4段階に格付けする認証制度で、コストや資源の削減を進めながら、人々に健康に良い影響を与え得ることを配慮し、再生可能なクリーンエネルギーを促進しています。

これらの事例を踏まえてF IACSでは、毎年入れ替わり順位ばかりが話題になる相対評価の「ランキング」ではなく、当該地の着実な改善・努力を促す絶対評価としての「格付け」を志向します。「評価」ではなく「改善」を目的とし、評価対象や指標を明確にする事によって、評価向上に向けた継続的な工夫・活動を促していくことを目指します。

そして利便性や規模などの「ハードによる初期設定」だけでなく、様々なステイクホルダーを巻き込みながら実施されるイベントやコミュニティ・プログラムなどのソフト展開の効果が「幸せ実感」として計測・見える化できるように配慮します。現状ではカフェ・レストラン数やライブハウス数などが想定されていますが、もちろん幸せ実感を支える要素として、より的確な指標を模索し常に更新していく必要があります。その結果として当該地で活動する企業の生産性が高まり、商業施設の口コミ発信力も向上し、公共的なコストが低減するという「社会的な経済インパクト」になるのです。

FIACSのCity Qualia Index(都市クオリア指標)では、ソフトや文化、熱量と誇りが街づくり推進者の企業価値として反映できる仕組みを目指していきたいと考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
方策2:共体験アーカイブ&データ還元 共体験デザイン ⑦

【内容】 第1章 共体験アーカイブ & データ還元の基本発想 第2章 共体験アーカイブの具体的要素 第3章 効果測定と都市開発への意義   第1章 共体験アーカイブ & データ還元の基本発想 都市は単なる建築物や交通の集積ではなく、人々が日常やイベントを通じて共に体験し、その記憶を積み重ねていく舞台です。 近年の都市開発では、この「共体験」をどのように記録し、再提示していくかが重要なテーマとなって

 
 
 
方策1:共体験広場 共体験デザイン ⑥

【内容】 第1章 共体験広場プログラム化の基本発想 第2章 共体験広場の具体的なデザイン要素 第3章 効果測定と広場の価値創出   第1章 共体験広場プログラム化の基本発想 これまで広場や駅前空間、商業施設の共用部は「人が集まる場所」として位置づけられてきました。しかし近年の都市開発においては、単なる集客空間ではなく「人が共に過ごし、体験を分かち合う場」への転換が求められています。 言い換えれば、

 
 
 
基本方針 共体験デザイン ⑤

【内容】 第1章 「共体験デザイン」の視点 第2章 「共体験デザイン」の基本方針 第3章 「共体験デザイン」の具体化方策     第1章 「共体験デザイン」の視点 都市開発において「共体験」を軸にした計画を進めるためには、空間・社会・時間・経済という四つの視点から捉えることが重要です。 ⑴空間の視点 都市の価値は「建物」そのものではなく、「建物と建物の間に生まれる生活」に宿ります。ベンチや段差、可

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page