方策3:“モノより体験”の事業モデル化+データ循環 日本バリュー都市 ⑨
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【内容】
第1章 都市開発における「体験価値」へのシフト
第2章 事業モデルと具体施策
第3章 KPIとデータ循環による持続性
第1章 都市開発における「体験価値」へのシフト
近年の都市開発や観光戦略においては、「モノ」中心の消費から「体験」中心の価値提供へと大きく軸足が移りつつあります。
背景には、内閣官房が示した「New Cool Japan Strategy 2024」が掲げる「モノより体験」という政策方針があります。
都市における購買行動もまた、単に商品を売買するだけでは持続的な成長につながらず、そこで得られる体験や学び、そしてそれを誰かと共有する価値こそが、リピーターやファンを育てる力となります。
この潮流を踏まえると、都市を単なる「モノの消費の場」として設計するのではなく、「体験に対して課金が生まれる場」「体験を通じて人がつながる場」として再定義することが求められます。
そのためには、街区単位で体験課金モデルを実装し、持続可能な収益源を確保すると同時に、政策が掲げる高付加価値化の循環へとつなげていくことが必要です。
こうした取り組みが進めば、都市は「訪れる理由」と「滞在し続ける理由」を兼ね備え、来訪者・居住者・事業者のすべてに利益をもたらす新しいエコシステムとなるのです。
第2章 事業モデルと具体施策
体験価値を事業として定着させるためには、複数の仕組みを組み合わせ、街全体を「体験プラットフォーム」として構築することが重要です。
⑴体験会員制(現地+越境)都市の体験を単発で終わらせず、継続的な関与につなげるために会員制を導入します。
現地で参加する人だけでなく、海外からオンラインで参加する人も対象に含め、体験を共有する「越境型の会員制度」とすることで、都市のブランドはグローバルに拡張されます。
(2)スポンサー×行動データ還元
スポンサーにとって都市は単なる広告掲出の場ではなく、参加者の行動データを得られる「実証の場」となります。
例えば、イベント参加の反復率やSNS投稿量(UGC量)を可視化し、スポンサーに還元することで、協賛の価値を定量的に証明することが可能となります。
これによりスポンサー料の単価向上と安定的な獲得が実現します。
(3)越境EC・配送・ファンクラブの統合従来は分断されがちであった商品購入、配送、ファンクラブ参加などの仕組みを「街ゲート」で統合します。
来街者のIDと紐づけ、多言語で一気通貫の体験を提供することで、海外ファンのアクセス障壁を取り除き、都市を国際的に開かれたハブとして位置づけることができます。
これらの施策が一体化することで、都市は単なるイベントや店舗の集合体ではなく、「体験を基盤とした事業モデル」として機能することができるのです。
第3章 KPIとデータ循環による持続性
体験価値を都市に定着させるためには、実装後の効果を可視化し、改善につなげるデータ循環が不可欠です。
そのために、以下のようなKPI設計が有効です。
4価値体験量:Calming/Playful/Healthy/Carefulといった各価値が、どれだけの面積やイベント数で提供され、どの属性の人々に届いたかを計測します。
共体験エンゲージメント:リピート率やSNS投稿量(UGC)を通じて、人々がどの程度街に愛着を持ち、再訪や発信につながったかを把握します。
越境取引・会員化率:越境ECの利用状況や会員制度への参加率を計測し、国際的な関与の深さを可視化します。
インクルーシブ指標:多言語対応の顧客満足度、女性や家族の滞在時間を指標化し、誰もが安心して楽しめる都市であるかを確認します。
経済波及:売上や賃料の成長、スポンサー価値などを追跡し、都市全体の経済的インパクトを測定します。
こうしたデータを都市のCRMや研究調査と連動させることで、政策的な知見と事業的な成果が循環します。
すなわち「政策が示す方向性 → 都市での実装 → データに基づく評価 → 政策や事業への還元」というループが成立し、都市は持続的に改善と進化を遂げることができるのです。
結論として、“モノより体験”を基盤に据えた事業モデル化とデータ循環の確立は、都市を「持続的に愛される場」へと変える最も実効的な方策です。
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