top of page

文化芸術政策の歴史:アート街づくり ③ 

2022年12月19日
読了時間: 2分

アート街づくりを検討する上で、これまでの文化政策を整理しておくことが有効だと思います。

【内容】

  1. 時代で変わる「文化」の定義

  2. (東京都の)文化施策の変遷



1.時代で変わる「文化」の定義

まず其々の時代の「大辞典」を起点にして、「文化」の意味の変遷について整理します。

  1. 明治〜大正:「文化とは文学・教化の進歩にして世の開明に赴くこと」とされ、文化振興は欧米諸国に追いつくため、国民をまとめ上げるためのツールであり、国威のアピールに利用されました。 

  2. 戦前:「文化とは学問の進歩と市民の教化」を意味し、国家の脅威として危険視され、思想を有すると見なされた芸術作品、出版物は規制の対象になりました。

  3. 戦後:「文化とは技術が進み、生活が豊かになること」とされ、戦時中の規制の反動として、自由化が求められ、経済成長が優先されました。

  4. 平成:「集団に共通の価値観及び物心両面にわたる行動様式とその創造物」と定義されます。文化庁が発足し「文化芸術立国」が提唱され、地域や市民の自主性・主体性が重視されるようになります。


このように「文化」は、国威政策から、住民主体の方向に移行していきます。


2.(東京都の)文化施策の変遷

戦後のもう少し具体的な文化施策を東京都に例に整理します。

  1. 1960年代までは、東京への人口の集中及び住宅地の郊外化が進みました。これに対応するように、各地域の芸術文化の拠点となる美術館・博物館などの「ハコモノ建設」が求められた時代です。

  2. 1970年代以降から、「文化と地域」との関係が政策上で指摘され始め、野外彫刻さらには、パブリックアートの試みが進められます。

  3. 2000年代以降は、より文化芸術の地域性を重視して、地域コミュニティ主体のアートプロジェクトが発達しました。


このように、都市における「文化」は、語義、政策、空間が密接に連携しながら、ハコモノからアートプロジェクトへと、変遷してきたことがわかります。


 
 
 

最新記事

すべて表示
第2章 従来型集客ビジネスの限界 参加デザイン②

【内容】 1.イベントは成功した。しかし、その後が続かない 2.「来場者数」だけでは、本当の価値は測れない 3.施設を競う時代から、関係性を育てる時代へ 1.イベントは成功した。しかし、その後が続かない 「大勢のお客様に来場していただき、大盛況のうちに終了しました。」 イベント終了後、このような報告を耳にすることは少なくありません。 確かに、多くの来場者が集まり、会場が賑わえば、そのイベン

 
 
 
第1章 今なぜ「参加デザイン」が必要なのか:参加デザイン論①

【内容】 1.集客の時代が変わった 2.「集める」だけでは続かない 3.これからは「参加」を設計する時代へ 1.集客の時代が変わった 「どうすれば、もっと多くのお客様に来てもらえるだろうか。」 これは、商業施設や文化施設、スポーツ施設、観光地など、多くの集客施設が長年考え続けてきたテーマです。 これまでは、新しいイベントを開催したり、有名人を呼んだり、広告を増やしたりすることで集客を図って

 
 
 
第10章 Stayable TownからLovable Townへ

― 成熟社会が目指す新しい街づくり ― 【内容】 1.Walkableだけでは街の魅力は生まれません 2.Stayableが街への愛着を育てます 3.街づくりは「文化を育てる仕事」になります 1.Walkableだけでは街の魅力は生まれません 近年、日本でも「ウォーカブル(Walkable)」という言葉を耳にする機会が増えました。 歩きやすい歩道を整備し、自動車中心だった街を、人が安心して歩ける街

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page