top of page

推し旅 「推し活」文化 ⑨

  • 2024年1月12日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. 「推し旅」というモチベーション

  2. JR東海の「推し旅」企画

  3. 「おてつたび」の可能性

1.「推し旅」というモチベーション

「推し旅{=推し×旅行}」は、狭義にはいわゆる「聖地巡礼」が挙げられます。

元々は宗教において、重要な意味を持つ「聖地」赴く行為(=巡礼)から転じて、ドラマや映画・小説の舞台になった土地、スポーツなどの名勝負が行われた競技場など、ファンにとって思い入れのある場所を「聖地」として訪れる旅行形態を指します。

事例としては、NHKの大河ドラマや連続テレビ小説の舞台になる街や、1980年代の大林宣彦監督の「尾道三部作」のロケ地巡りや、「北の国から」の舞台になった北海道富良野市に、聖地巡礼の萌芽が見られます。

アニメでは、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」あたりから注目されるようになりますが、実際の風景や建物を精密にトレースしてアニメを作る手法の、映画「君の名は」の大ヒットによって、「聖地巡礼」が浸透します。

2016年には、「アニメツーリズム協会」が設立され、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」を公表する様になりました。

2.JR東海の「推し旅」企画

コロナ禍で、定番の観光地に大量の観光客を送り込むキャンペーンが、難しくなった事をきっかけにして、JR東海は2021年に「推し旅アップデート」という企画を展開します。具体的には、

  1. 「象主」企画:愛知県豊橋市の動植物園「のんほいパーク」で飼育している

6頭のゾウの「象主」になるプランで、象主認定や飼育体験などが得られます。一人30万円と高額にも関わらず、46人の応募がありました。

  1. 「江川酒」企画:渋岡県伊豆の国市の「幻の酒・江川酒」について、酒米の田植え、稲刈り、醸造に参加してもらう企画です。

  2. 「真夜中の京都駅バックヤードツアー」:京都駅で最終列車の後、保線作業車を間近で見たり、警護対象者が利用する秘密の待合室を見学したりするツアーで、20人の募集に対して10倍の応募がありました。

このように、観光企画部門だけでなく、現場の社員も巻き込む取り組みによって、普段では得られない体験を提供しています。

3.「おてつたび」の可能性

「おてつたび」とは、「お手伝い」と「旅」とを掛け合わせた造語で、収穫期の農家やハイシーズンの旅館など、短期的・季節的に人手不足で困っている事業者と、「知らない地域へ行きたい」と思うような旅人とを、マッチングするサービスです。

お手伝いする事によって、最低賃金以上の報酬を得られ、旅行費用を節減する事が可能になります。

また、「お手伝い」という新しい目的を地方に作る事によって、観光名所がない地域にも、人が訪れる仕組みを作る事ができます。

地元の人との交流を通じて、地域のファンになって貰えるという特長があります。

おてつたびの登録者数は約4.3万人(2023年7月)と、コロナ禍前の5.3倍に増えたといいます。

「推し旅」は、もともとインドア派だった人たちが、外出するきっかけにもなっています。

コロナ禍を通じて「リアルな体験」の大切さに改めて気づいた今、観光市場は、インバウンドを含め、日本の数少ない成長市場として、非常に期待されています。

 
 
 

最新記事

すべて表示
今なぜ ご近所資本主義なのか? ご近所資本主義 ①

【内容】 第1章 画一化する都市と地域経済の空洞化という課題 第2章 「よき商い」と関係性が支えるご近所資本主義 第3章 多様性とレジリエンスを生む新しい資本のかたち   知人の小野裕之さんたちが「BUY LOCAL」という活動を展開し始めました。 鉄道会社の方など様々な人たちを紹介しながら、彼らが提唱する「ご近所資本主義」について勉強させていただきました。 本シリーズでは、次世代の地域活性化策と

 
 
 
都市の未来 マインド・メイキング ⑩ -共感と持続性を生む都市の新しいかたち-

【内容】 第1章 「建てる」から「意味をつくる」都市開発へ 第2章 共感を軸にした新しい経済モデル 第3章 「共感でつながる都市」がもたらす未来     第1章 「建てる」から「意味をつくる」都市開発へ これまでの都市開発は、土地の有効活用や機能配置、商業性の最適化など、目に見える成果を中心に進められてきました。 しかし成熟社会では、人々の評価軸が大きく変化しています。 利便性や効率性だけでは選ば

 
 
 
事業価値 マインド・メイキング ⑨ -「共感」を経済のエンジンに変える都市開発モデル-

【内容】 第1章 共感を中心に据えた新しい経済構造へ 第2章 3つの収益ドライバー:会員・推し活・ブランド価値 第3章 共感が循環する持続型都市経済モデルへ   第1章 共感を中心に据えた新しい経済構造へ これまでの都市開発は、テナント収益や物販売上など、従来型の商業収益を基盤としてきました。しかし、成熟社会において人々の消費行動は大きく変化しています。 物やサービスを「便利だから」「安いから」で

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page