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基本スタンスと方針 シン・文化観光 ⑥

  • 2024年6月10日
  • 読了時間: 4分

【内容】

  1. これまでの論点整理

  2. 観光における提供価値

  3. 文化観光の三層構造

 

 

1.これまでの論点整理

  1. インバウンドも復活する中で、日本の観光振興を考える際に、「物足りなさ」を補う工夫が必要ではないか?政府が力を入れる「文化観光」では、なおさら「文脈」を含めて理解を促す仕組みが必要。

  2. ツーリズムの変遷を振り返ると、日本人の「旅好き」が浮かび上がるとともに、「マスツーリズム」から「ニューツーリズム」と経て、「着地型観光」への進化を見て取れる。

  3. 「文化」を地域の生活様式全般にまで拡げて考えるという傾向があり、日本の文化についても多様な分野での独自性が見られる。また文化体験のレベルをマーケティング的に五段階に整理できる。

  4. 文化観光推進法に基づき、「文化資源の高付加価値化」について、各地でモデル事業が選定され、さまざまな複合プログラムが試行されているが、まだまだ単発イベントの段階に止まっている。

  5. 日本文化を相対価値について解説する視点の必要性と、体験プログラムが単体での収益性に限界があり、これらを踏まえた総合的な推進主体の不在が課題になっている。

 

2.観光における価値提供

観光の要は日常とは異なる場所での、新しい発見や共感を伴う体験、人との出会い・交流という「リアル体験」と言えます。

教育人間学において「出会い・発見」とは、「予期せず訪れ、その人の生き方を突然変える様な出来事」と定義されています。

単に「あう」だけではなく、その人の生き方を変えるような出来事になるには、まず「予期せず訪れる」必要があるとされています。

人は予期・予想してしまうと、そのインパクトを和らげるための防御体制を取ってしまいます。

それは身体も脳も、外部からの刺激を軽減・排除することで、自身の変化を最小限に止めようと言う防衛体制になるからです。

現代はあらゆる事を予め検索して調べ、口コミで確認し、「失敗の最小化」に努めようとします。

ある意味で「出会い・発見」の機会を減少させていると言えるのではないでしょうか。

「いつでも」「どこでも」「誰とでも」を志向する現代社会では、意識的に作っていく必要があるかも知れません

観光産業の関係者は、観光において、ネット情報では得られない「出会い・発見」づくりを軸に、考える必要があるのではないでしょうか。

「出会い・発見」の深掘り・仕組み化をしていくべきだと考えます。

観光産業は、観光行動を支援する「個別サービスの質を競う」スタンスから、観光行動を通して得られる「価値や意味の向上」を目指す段階にあると考えます。


3.文化観光の三層構造

これまでの検討で、日本の文化観光を推進するには、観光資源の「文脈を補足する体験サービス」が必要であることが確認されました。

そしてこの「体験サービス」は、観光行動において「出会い・発見」という価値提供を行う、次世代の観光産業の目標になるものだと考えます。

この体験サービスを単発イベントではなく、持続的な産業にしていくためには、より幅広い間口でマーケットを拡げ、より深い奥行きに至る複層的な構造化が必要だと考えます。

マーケティングにおいて、体験価値が、「①商品確認②対話③世界観④コミュニティ⑤共創」の五段階で、深度化されていくことは、前述しました。

このような認識をもとに、三層構造による文化観光の体験アップデートを提案します。

第一段階「情報による体験のアップデート」:日本文化の体験価値を高めるための情報提供を行います。公的な提供主体を想定します。

第二段階「世界観による体験のアップデート」:日本文化の多彩な側面を体験するため、食やアートなど、さまざまな要素で、世界観の体験を促します。交通事業者と連携した提供主体を想定します。

第三段階「コミュニティによる体験のアップデート」:さらに一歩進めて、日本文化の担い手との関係づくりを通じて、コミュニティへの参画意識を高めます。宿泊事業者と連携した提供主体が相応しいと考えます。

 

上記の三層構造を備えることによって、日本各地に点在する多彩な観光資源を生かし、持続的な文化観光に関する体験サービスを提供する産業化が可能になると考えます。

次回以降で各方策の詳細を検討します。

 
 
 

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