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今なぜ 歴史的まちづくりなのか? 歴史まちづくり ①

  • 2024年1月17日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. 歴史まちづくりの機運

  2. 歴史・文化に対する海外との価値観の違い

  3. 検討の視点

 1.歴史まちづくりの機運

「歴史まちづくり法」という法制度があります。

「我が国の街には、城や神社、仏閣などの歴史上価値の高い建造物が、またその周辺には、町屋や武家屋敷などの歴史的な建造物が残され、そこで工芸品の製造・販売や祭礼行事など、歴史と伝統を生かした人々の生活が営まれることにより、それぞれ地域固有の風情、情緒、佇まいを醸し出しています、この良好な環境を維持・向上させ後世に継承するために制定されました」という趣旨です。

近年のインバウンドの増加に対応するためにも、有効だと思いますが、果たしてこんなことが実現可能なのでしょうか?

ヨーロッパを旅行して、いつも関心するのが、主要な都市に残されている「旧市街」の存在です。

「どうしてこのような旧市街が、維持できているのか?」が不思議でした。

もちろん日本とは異なり、木造ではなく石造りで、建造物を保存し易いという事はあるでしょうが、そこ{土地}を持つ人達の「権利」を厳しく制限しなければ、「もっと大きく、便利な建物」に建て替えられてしまうと考えるのが、日本人だからです。

さらに、ドイツのニュルンベルグなどの都市が、第二次世界大戦で灰燼に帰しても、大聖堂だけでなく、路地に至る町並みまでも、丁寧に復元されていることに驚きが禁じ得ません。

この「街」の復興に掛ける「お金」と「時間」は、どのようにして確保し、合意したのか?

同じ敗戦国からの復興で、手っ取り早くビルを建ててしまった日本の街並みと比べて、彼我の差に唖然としてしまいます。

2.歴史・文化に対する海外との価値観の違い

「街」や「歴史・文化」についての根本的な価値観が違うようです。

ヨーロッパでは、自分が住む「家」は、家族の歴史の舞台であり、展示室と考えているのでしょうか?

自分がくらす「街」は、コミュニティで作り上げる彫刻作品とでも考えているとしか思えません。

間違っても「寝に帰るだけの場所」「仮住まい」ではなさそうです。

もしかすると「衣食足りて礼節を知る」の箴言ように、成熟した時代を生きる新しい世代の日本人は、家や街に対する感覚が、「文化的」なのかもしれませんが。。。

これほど「街に対する手間(時間とお金)のかけ方(=価値観)」が異なる日本で、「歴史まちづくり」は、根付くのでしょうか?

お城や神社仏閣などの、公的な建造物では可能かもしれませんが、町屋や武家屋敷などの「私有地」では、どのような「制限と支援」があれば、維持・向上させることができるのか?

「これからは文化の時代だから、歴史を大切にしましょう」ではまるでリアリティがなく、説得力もありません。

「このエリアの歴史的建造物で、工芸を製作している人達は、建て替えも転職も禁止します」という法律で縛ることもできませんし、住民の生活を保証する費用を、行政が負担できるはずもありません。

3.検討の視点

歴史街づくりを推進するには、下記のような課題を解決していく必要があるようです。

  1. 歴史や文化に対するプライオリティが弱い日本の国民意識

  2. 木造建造物が多く、保存・維持が難しい歴史的建造物。

  3. 建造斑というハードだけでなく、そこに息づく文化としてのソフトも継承したいという政策意図。

  4. ただ観光化を進めるだけでなく、高齢化や人口減少に伴う地域課題の解消も必要。

単なるノスタルジックな観点での歴史ブームではなく、歴史の意味の問い直井を元にした、将来の新しい「時間を超えた普遍的な価値」づくりが必要だと考えます。

本シリーズでは、このような視点から「歴史まちづくり」を検討します。

 
 
 

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