top of page

今 なぜミュージアム@シアターなのか?ライヴ・ミュージアム①

2024年8月9日
読了時間: 4分

【内容】

  1. 街のサードプレイスとしての文化施設

  2. ミュージアム系施設における先行事例

  3. シアター系施設ではハードル高い

 

 

1.街のサードプレイスとしての文化施設

昨年度 文化庁の協力で進めた「文化施設のコンセッション研究」における結論は、「文化施設は街の文化サードプレイスになる必要がある」という事でした。

文化施設とは、博物館・美術館などのミュージアム系施設と、劇場・ホールなどのシアター系施設を指します。

これらの文化施設は、繁華街ではなく公園などで孤立した立地に建設される事が多く、作品鑑賞という特定目的に対応するため、「ワザワザ&目的」施設となってしまい、利用性の低さが問題になっています。

そこで提案されたのが、複合目的で気軽に立ち寄り利用できるような「街の文化サードプレイス」というコンセプトでした。

 

2.ミュージアム系施設における先行事例

これまでのミュージアム系施設は、入り口で展覧会や公演のチケットを購入しないと入場できない、閉鎖的なイメージがありました。

このイメージを覆したのが「金沢21世紀美術館」です。

世界的建築家妹島和世氏のユニットが設計したこの美術館は、金沢城や兼六園など観光施設が集まるエリアに位置し、透明感溢れる開放的な建築で、見る人を館内に自然に引き寄せます。

もちろん展示エリアは有料ですが、カフェやショップなどの無料開放ゾーンを自由に回遊できるようになっています。

また京都市京セラ美術館も建築家青木淳氏によるリニューアル計画によって、無料開放ゾーンが館内の主要動線になっており、日本庭園やカフェ、ショップ、ギャラリーなどを自由に回遊できる構成に改良されました。

ミュージアムが、「展覧会目的にわざわざ行く施設」から「日常的に公園と一緒に回遊を楽しめる施設」になる必要があると思います。

日常的な利用性を高めるためには、展示室以外のカフェやミュージアムショップ、ギャラリーさらにはワークショップやライブラリーが重要になります。

しかもワザワザ上る必要のある上層階ではなく、エントランス周辺の気軽に立ち寄れる場所に配置されていることが大切になります。

金沢21世紀美術館や京都市京セラ美術館の例に見るように、ミュージアムの場合は展示室以外のライブラリーやカフェ部分を充実させ、さらにパブリックアートなどを屋外まで滲み出させることによって、日常生活との接点が増え、散歩や外出のついでに気軽に立ち寄れる存在になっています。

ミュージアム系施設では、街の文化サードプレイスになる事例が増えてきたのです。

 

3.シアター系施設ではハードルが高い

日常的に通い利用していれば、ちょっとしたイベントやプログラムを開催しても、自然と人が集まるようになります。

一方 ホール・劇場などのシアター系文化施設では、公演時はたくさんの観客がいますし、カフェやショップも賑わいますが、公演がない時は、ひっそりとしてしまいます。

これではカフェなどの商業施設は継続できず、ますます人が寄り付かなくなってしまいます。

伊東豊雄氏設計の水戸文化会館などは、水戸市の中心立地であることを生かして、大架構木造建築の屋内広場を設けることで、居心地の良いサードプレイス化を図っていますが、カフェやライブラリーなどの複合機能の運営まで至らず、十分に活用されているとは言えません。

シアター系文化施設では、繁閑格差を解消している事例は少ないですが、ベンチマーク事例として、プロ野球のスタジアムが挙げられます。

従来は野球観戦に特化した施設でしたが、北海道日本ハムファイターズや横浜ベイスターズの「ボールパーク構想」のように、「野球観戦」以外の「ライトなファン層」とどれだけ接点を持てるのかを重視した施設に進化しています。

カフェやショップの雰囲気や品揃えも、「ライト層アピール」を念頭に置いた店舗&商品計画を行い、ファイターズの Fビレッジに至っては、ギャラリーはもちろんサウナやホテルなどの複合機能化することによって、年間集客に成功しています。

今後は周辺で住宅、大学、オフィスが開発される予定です。

シアター系文化施設の複合目的化に向けた常設施設づくりが重要だと考えます。

今回のシリーズでは、このような視点で、シアター系文化施設のサードプレイス化に資するライブミュージアムの可能性を検討します。

 
 
 

最新記事

すべて表示
第4章 オフィスの行動OSという発想:オフィスの行動 OS ④

【内容】 1.オフィスは「空間」ではなく「行動」をデザインする 2.行動OSとは何か 3.空間・制度・運営をつなぐ新しいオフィスづくり 1.オフィスは「空間」ではなく「行動」をデザインする 皆さんは、スマートフォンのOSを意識したことがあるでしょうか。 OSとは、アプリを動かすための土台となる仕組みです。普段は目に見えませんが、OSがあるからこそ、さまざまなアプリが快適に動いています。 私

 
 
 
第3章 なぜ創造性は生まれないのか:オフィスの行動OS ③

【内容】 1.創造性は大切だと分かっている 2.効率を追い求めたオフィスの限界 3.本当の課題は「行動」にある 1.創造性は大切だと分かっている 「もっと新しいアイデアを出そう。」 「失敗を恐れず挑戦しよう。」 最近、このような言葉を耳にする機会が増えました。 多くの企業が、創造性の大切さを理解しています。 しかし実際には、「創造的な会社になった」と実感している企業は、それほど多くありま

 
 
 
第2章 これからのオフィスに求められる創造性:オフィスの行動OS ②

【内容】 1.創造性とは「ひらめき」ではない 2.AI時代だからこそ人に求められること 3.オフィスが育てるべき創造性 1.創造性とは「ひらめき」ではない 「創造性」と聞くと、多くの人は芸術家や発明家を思い浮かべるかもしれません。 一瞬のひらめきで、今までにないものを生み出す力。それが創造性だと思われがちです。 もちろん、そのような創造性もあります。しかし、企業が毎日の仕事の中で必要として

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page