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ホール@池袋のケーススタディ 文化都心マネジメント ⑨

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 3月3日
  • 読了時間: 4分

【内容】

  1. ハレザ池袋とブリリアホールの特性と課題

  2. 目指すべきビジネス拠点イメージ

  3. 文化都心マネジメントの方向性

 

 

第5回文化都心マネジメントは「ホール」におけるケーススタディです。

東京建物の協力を得て、「ハレザ池袋とブリリアホール」を具体事例として検討します。


1.ハレザ池袋とブリリアホールの特性と課題

「ハレザ池袋」は、東京建物が豊島区庁舎跡地に開発した複合都市開発で、豊島区立芸術文化劇場(東京建物ブリリアホール)、TOHOシネマズ、豊島区民センター、オフィス・商業施設及び中池袋公園で構成されています。

多彩なホールやパブリックスペースを「8つの劇場」というコンセプトに、さまざまな表現機会を提供しています。

アニメイトを含む周辺事業者や豊島区とともに、エリアマネジメントを推進する協議会を立ち上げ、中池袋公園を中心にアニソン盆踊りや池袋ハロウィン・コスプレフェスなどの活動を展開しています。

ネーミングライツで命名されたブリリアホールは、豊島区の財団が運営しており、宝塚公演やミュージカルをはじめ、コンサートや伝統芸能が開催されています。

エリマネ活動については、アニメイトなどの地域事業者の協力により、中池袋公園での賑わいづくりには成功しているものの、オフィステナントへの価値提供に還元できず、エリマネ運営コストの位置付けに苦労しているのが現状です。

またホールとの連携についても、演劇公演の特性上、2年先まで公演予定が定まっている上に、チケットもほぼ予約完売してしまうため、販促活動として公園を利用するモチベーションも高くないようです。

 

2.目指すべきビジネス拠点イメージ

池袋は一日230万人以上が乗降し、新宿・渋谷に次ぐ日本第3位のターミナルになっています。

商業・サービス業が中心でビジネス拠点のイメージに乏しい池袋ですが、近年の渋谷が「IT産業のメッカ」として大変貌を遂げていることを勘案すると、池袋の潜在力は十分にあると考えられます。

池袋は海外の人たちにも秋葉原と共に「アニメの聖地」として認知されており、中池袋公園をはじめとする池袋駅周辺の4つの公園やグリーン大通りなどの、パブリックスペースマネジメント成功などから、健全・安全な街イメージを獲得しつつあります。

また年間を通してコスプレが市民権を得ており、他では規制が強まるハロウィンイベントが開催される池袋の「寛容性」も特筆できると思います。

このようなリソースを活かせば「アニメ文化を起点にしたビジネス拠点」づくりが可能ではないでしょうか?

LINEが京都オフィスを開設すると、海外エンジニアからの応募が殺到したという事例が示すように、「ユニークな日本文化を体験しながら働きたい」というニーズは高いと言えるのではないでしょうか。

 

3.文化都心マネジメントの方向性

池袋での活動に、 FIACS監事の山内康弘さん達が展開する「IMART:国際マンガ・アニメ祭・令和豊島」があります。

今年で5年目を迎えますが、単なるマンガ・アニメ好きの集会ではなく、ビジネスカンファレンスや国際商談会を併設したビジネスフェアです。

ブリリアホール(あるいはシネコン)でのエキジビションや、中池袋公園での公開イベントを交えることで、話題性を作りより幅広い人たちを巻き込むことで、この IMARTを拡充させて行ってはどうでしょうか?

世界中が注目する有名なカンヌ映画祭は、華やかなエキジビションと並行して、映画の制作会社とバイヤーとが集い、商談を行うフィルムマーケットとして機能しています。

毎年秋に開催される東京国際映画祭のアニメ部門を分担しても良いと思います。

また「アニメの聖地」としての格を高めるためにも、アニメの歴史・文化を辿れる常設施設も重要ではないでしょうか。

「ゲンガノミカタ展」などの展示パッケージの活用も効果的です。

池袋で「アニメ文化」を活かしてtoCとtoBを引き寄せるビジネスフェアが開催されることは、街のビジネス・ブランディングに非常に有効だと考えます。

 
 
 

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