top of page

ニッポン・シアター⑤ 日本独自の観劇スタイル

  • 2022年3月11日
  • 読了時間: 2分

相撲や歌舞伎に代表されるように、客席で飲んだり食べたりしながらの観劇は日本独特のスタイルです。また海外では上演中は静かに見る事が原則ですから、歌舞伎の大向こうのように「成田屋―!」「よっ音羽や!」などの掛け声はご法度になります。日本における伝統芸能の興行方式では、大御所と新人とが同じ場所に名を連ねる仕組みが多いと思います。出演時間や設えなどの格差はありますが、大抵は3~4時間と長時間の興行の中に前座や端役として、組み込み盛り込まれています。この長い公演時間の中で、日本人独特の「ながら交流」が生まれます。日本人は対面での交流よりも、農耕民族ならではの、畑作業をしながら、道具の手入れをしながら、共同作業をしながら語らい交流していくスタイルを好むといわれます。現代でもその特性は、映像を見ながら打ち込むニコニコ動画などの弾幕文化に引き継がれているのです。

寄席であれば昼・夜それぞれ4時間程度の公演時間に、落語や漫才、コントを交えながら15〜16組が出演します。そのうち落語では前座・二つ目・真打の三段階が存在し、真打がトリを務める構成になっています。相撲は幕内・十両・幕下・三枚目・序二段・序ノ口の6階級があり、さらに幕内には横綱・大関・関脇・小結・前頭の5つの格付けに分けられます。

歌舞伎の場合も昼の部・夜の部に別れ、平均4時間の公演時間の中で、市川海老蔵や中村勘九郎などが主役を務めるトリの演目の前に、多彩な役者が出演する短い演目が並びます。

いずれもお弁当などの食事や休憩の時間を交えながら、半日から丸一日楽しめるような構成になっています。忙しい現代社会の生活リズムの中では、長時間の公演はズレているかも知れませんが、歌舞伎の一幕見席のようにクイック鑑賞できる仕組みも用意されています。

「祭り」を起源にもつ日本の伝統芸能の特性は、行楽的寛容な空気感にあり、世知辛い現代における貴重な価値観ではないでしょうか。これを基盤に現代の忙しいライフスタイルやインバウンド対応のナイトタイムエコノミーの要素などを盛り込んでいくことが有効だと考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
今なぜ ご近所資本主義なのか? ご近所資本主義 ①

【内容】 第1章 画一化する都市と地域経済の空洞化という課題 第2章 「よき商い」と関係性が支えるご近所資本主義 第3章 多様性とレジリエンスを生む新しい資本のかたち   知人の小野裕之さんたちが「BUY LOCAL」という活動を展開し始めました。 鉄道会社の方など様々な人たちを紹介しながら、彼らが提唱する「ご近所資本主義」について勉強させていただきました。 本シリーズでは、次世代の地域活性化策と

 
 
 
都市の未来 マインド・メイキング ⑩ -共感と持続性を生む都市の新しいかたち-

【内容】 第1章 「建てる」から「意味をつくる」都市開発へ 第2章 共感を軸にした新しい経済モデル 第3章 「共感でつながる都市」がもたらす未来     第1章 「建てる」から「意味をつくる」都市開発へ これまでの都市開発は、土地の有効活用や機能配置、商業性の最適化など、目に見える成果を中心に進められてきました。 しかし成熟社会では、人々の評価軸が大きく変化しています。 利便性や効率性だけでは選ば

 
 
 
事業価値 マインド・メイキング ⑨ -「共感」を経済のエンジンに変える都市開発モデル-

【内容】 第1章 共感を中心に据えた新しい経済構造へ 第2章 3つの収益ドライバー:会員・推し活・ブランド価値 第3章 共感が循環する持続型都市経済モデルへ   第1章 共感を中心に据えた新しい経済構造へ これまでの都市開発は、テナント収益や物販売上など、従来型の商業収益を基盤としてきました。しかし、成熟社会において人々の消費行動は大きく変化しています。 物やサービスを「便利だから」「安いから」で

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page