top of page

ストーリー化 ベクトル・メイク ⑨

  • 2025年1月10日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. ワークショップの熱狂と限界

  2. ストーリーとして組み立てる

  3. 企業連携で外圧を活用する

 

 

1.ワークショップの熱狂と限界

前述した通り、ワークショップは、適切なファシリテーションによって、心理的安全性が確保された「前向きな場」が醸成されると、一種の熱気を帯びてきます。

他人のアイディアに上乗せしていくことで、普段は思いつかないようなアイディアが飛び出していくのを何度も見てきました。

普段は、サポート業務をしている女性スタッフのリアルなアイディアに、上司が驚く場面も多々あります。

このように「前向きな場」が出来上がると、そこで生み出されるアイディアは、「非常に積極的なプラン」に仕上がる事が多いのです。

ところが、ワークショップの場では盛り上がって、前提や認識が共有されていても、その成果を部外者に説明して共感してもらえるかと言うと、結構難しいのです。

前提やプロセスをすっ飛ばして「非常の積極的なプラン」を提示されても、部外者にとってはチンプンカンプンです。

部外者は「前向きな場」など知りませんから、冷静に、寧ろ慎重(ネガティブ)に成果を受け取ってしまい、「非常に積極的なプラン」は了承されないという結果になってしまうことが多いのです。

 

2.ストーリーとしての組み立てる

部外者にワークショップでのアイディアなどを提示するときには、アイディア単体ではなく、ストーリー化が必要になります。

起承転結でも良いですが、私たちは「WHY→WHAT→HOW→FUTERE」の流れでストーリー化を行います。

WHY:なぜ今それが必要なのか? 危機認識と行動の必要性の提示

WHAT:そのためには何が必要なのか? 具体的な行動・施設の提示

HOW:どのようにすれば可能なのか? 方策と手順の提示

FUTERE:それによって、どのような未来が開けるのか? 結果として得られる果実

 

都市開発をプロジェクトのゴールにするのではなく、その都市開発を舞台にして、未来のゴールに向けてどのような活動を展開していけるのかを 提示していく事が重要だと考えます。

単にワークショップを開催して、ワイワイ議論して盛り上がって終わりではなく、その先に周囲を巻き込んで、どのような行動を起こしていけるのかが大切なのです。

 

3.企業連携で外圧を活用する

社内の論理だけではなく、外部社会のスタンスとの協調を促すために、企業連携などの「外圧」を利用することも有効です。

私の知人が1990年代にトヨタを中心に仕掛けた「WILLプロジェクト」は、期間限定の実験プロジェクトで、単独では動きが鈍くなりがちな大手企業同士が、お互いに「WILLプロジェクトとして、〇〇社でもやっているから、やってみよう」という外圧を掛け合う仕組みだったと、当時の狙いを明かしてくれました。

ワークショップとして個人がアイディアを出し合うだけでなく、「共同研究」として企業同士でプロジェクトを検討するわけです。

ある複合都市開発プロジェクトでは、IT、交通、放送、観光などの企業と連携して、未来の都市インフラについて想定し、実装を検討しました。

2030年程度を目標にした場合、交通系企業から

「個人データに直結できる自動運転モビリティの実装が想定される」

と言う予想が提示されると、 IT 企業を交えて

「その前提であれば、自分の好みのお店やイベントに、自動で連れて行ってくれるモビリティが走り回っている街ができる」

と言う都市イメージが想定されました。

単なるブレスト会議のアイデアでは、実現に向けて社内の了承は難しいですが、企業連携による「共同研究の成果」として、このような「都市イメージ」が得られると、自信を持って戦略的な未来の複合都市開発が推進できるのでは無いでしょうか。

 
 
 

最新記事

すべて表示
都市の未来 マインド・メイキング ⑩ -共感と持続性を生む都市の新しいかたち-

【内容】 第1章 「建てる」から「意味をつくる」都市開発へ 第2章 共感を軸にした新しい経済モデル 第3章 「共感でつながる都市」がもたらす未来     第1章 「建てる」から「意味をつくる」都市開発へ これまでの都市開発は、土地の有効活用や機能配置、商業性の最適化など、目に見える成果を中心に進められてきました。 しかし成熟社会では、人々の評価軸が大きく変化しています。 利便性や効率性だけでは選ば

 
 
 
事業価値 マインド・メイキング ⑨ -「共感」を経済のエンジンに変える都市開発モデル-

【内容】 第1章 共感を中心に据えた新しい経済構造へ 第2章 3つの収益ドライバー:会員・推し活・ブランド価値 第3章 共感が循環する持続型都市経済モデルへ   第1章 共感を中心に据えた新しい経済構造へ これまでの都市開発は、テナント収益や物販売上など、従来型の商業収益を基盤としてきました。しかし、成熟社会において人々の消費行動は大きく変化しています。 物やサービスを「便利だから」「安いから」で

 
 
 
方策3:時間プログラムの設計思想:マインド・メイキング ⑧ - 季節とともに生きる都市のリズム -

【内容】 第1章 時間の流れをデザインするという発想 第2章 季節と共に育つプログラムの仕組み 第3章 「再来訪」が生み出す都市の持続可能性     第1章 時間の流れをデザインするという発想 マインド・メイキングの考え方では、建物や空間の形だけでなく、「時間の流れ」そのものをデザインすることが大切だと考えます。 都市や施設は、一度完成したら終わりではなく、人々が訪れ、過ごし、また戻ってくることで

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page