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コンセプト再考 ⑧ アクティビティと MD・施設レイヤー

街ぎわプレイスを検討する際の基本になるのが、「第1レイヤー:ユーザー・アクティビティ」です。住宅街や商業地など目指すべき街のイメージに対応して、求めるアクティビティも変わります。私たちが検討する「都心部の複合都市開発」で多いのが、クリエイティビティです。具体化するために【クリエイティブ=脳の活性化】と定義すると、【混在、交流、刺激】を促すアクティビティが有効だと推察されます。例示すると、ネクタイを締めた男性だけでなく、女性はもちろん、子供やお年寄りなどの「異世代」や、アーティストや独立店主など「異業種」に至る多様な人たちの【混在】が挙げられます。【交流】ではランチやお茶を介したカジュアルな語らいや、肩書きを外しお酒や音楽に酔いしれるなどが例示できます。さらに【刺激】としてはトレンド発信や文化活動などの「非日常的刺激」もありますし、オフィスワークとは関係のない子連れの買い物客などの「日常的刺激」も有効なアクティビティとして想定されます。

そして何よりも街ぎわプレイスで、【滞留】するアクティビティが求められるのです。都市計画家のヤン・ゲールが「良い街には、歩く人以外の人たちが多い」と指摘しています。日本ではなかなか見られませんが、欧州の広場や街路に屯し、語らい、人々が歌い踊る情景ではないでしょうか。

第1レイヤーの方向性が定まると、それを実現・支援していくための、「第2レイヤーM D・施設サービス」が明らかになってきます。日常的情景を生み出すための食品スーパーをはじめとした各種商業施設の整備や、異世代の混在を促すための子育て・シニア施設、異業種混在のための工房やスタジオなどの創作スペース、様々な交流を生み出すためのカフェテラス・ダイニングやクラブ、ライブハウスなどが想定されます。もちろん一箇所で全てを揃える必要はなく、エリアで分担して整備することも可能です。

このように設定していくと、街ぎわプレイスのイメージはかなり明確になってくるのではないでしょうか?公開空地の活用の仕方や街路沿いの店舗区画のあり方が、非常に重要になってくることが理解できると思います。これらを建築設計の与件として提示するのです。

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