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コロナが見せてくれた未来  伏谷博之

2021年4月29日
読了時間: 4分

コロナ禍によって様々な変化がもたらされました。ここでは弊社が運営するタイムアウト東京がタイムアウトのグローバルネットワークから取り上げてきた記事を参考に、主なものを3つあげてみたいと思います。


まずは、『密の回避』。

これまで最も価値が高かった「人が集まる」ということが180度翻って、「密はリスク」となりました。これによって疎を価値に変える、あるいは分散が価値ということになったのです。地方分散や分散型観光などが注目されましたが、世界的な動きとなったのはオープンスペース(道路/公園/屋上)の役割の再評価でしょう。ニューヨーク、ロンドン、モントリオール、シカゴなどで道路利用の規制緩和が行われ、飲食スペースへの利用や歩行者専用化などが広がったという記事がタイムアウトでも多く取り上げられました。日本でも国土交通省により「道路占用許可基準」の緩和がスピード感を持って進められ、各地で道路を活用した取組が行われ、話題となりました。コロナがあっという間にウォーカブルな街を実現してみせたように思います。


2つ目は『時間と空間からの解放』です。リモートワークの広がりで毎日の出勤という行為からオフィスワーカーは解放されました。これにより空間と時間に縛られないワークスタイルが手に入りましたが、同時にオンとオフの境界線は曖昧となりライフスタイルの選択肢が増えました。地方移住やワーケーションなどが話題となりましたが、自分の働く場所の選択肢が増えただけでなく、生活時間の融通が効くようになったことで働きたい時間帯に働くという時間の選択肢も広がったと言えるでしょう。海外では、グローバルシティの条件として24時間都市の実現がこれまでも言われてきましたが、まさにコロナが24時間都市へむけて背中を押してくれたようです。シドニーでは、コロナ禍の2020年11月に『飲酒法改正(24時間経済)2020』という法案が可決され、24時間都市実現へむけて大きな前進となりました。


最後に『デジタルとリアルの融合』です。コロナ禍が外出を制限したこともあり、デジタルツインやデジタルで繋がるコミュニティに注目が集まりました。地域コミュニティに根ざす飲食店は支援を受けたり、コミュニティ内での役割を果たすことで生き残り、オフィス街や観光地の飲食店は厳しいと言った状況が起きました。日本でもインバウンドは壊滅的な状況となりましたが、世界でも国際的な観光地は大きなダメージを受けました。

印象的だったのは、オランダのアムステルダムです。同市には2019年に1900万人ほどの観光客が訪れ、人気の旧市街はオーバーツーリズム状態であったものがコロナで一転、全く観光客のいない状況となりました。これをみた市長のフェムケ・ハルセマは、中心部を地元の人のために再構築する計画を打ち出しました。提案には、旧市街でコーヒーショップや土産店、高価なワッフルスタンド以外の店も出店できるようにするため、土地の購入や許認可の設定についての対策が含まれました。このようにコロナは地域コミュニティの大切さを再認識させてくれたとともにコミュニティが地域のレジリエンスであることも教えてくれました。コロナ禍にはクラウドファンディングを含む様々な地域外からの支援も広がりましたが、これは、地域にとっては、リアルなコミュニティだけでなく、デジタルの世界でもコミュニティと繋がることで大きな力を得ることになることの証左となったと思います。


未曾有の災禍を世界にもたらした新型コロナウイルスですが、以上みてきたように、コロナ以前から見え隠れしていた人々の価値観の変化をぐんと加速し、見える化をしてくれた功績もあったと考えます。巷では危機を機会にということも言われますが、コロナが見せてくれた変化、特に私たちの生活に新しい選択肢をもたらしてくれるようなポジティブな変化をしっかりと捕まえることで、私たちが主役となって先導するニューノーマル。新しいまちづくり、そして新しくて、より豊かな生活のある未来を実現したいと願っています。

 
 
 

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