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アート街づくり ⑧ 方策⑴ アート・イン施策

  • 2023年1月4日
  • 読了時間: 3分

アート・イン施策は、「アーティスト・イン・レジデンス(以下 AIR)」などの手法を通じて、地域の人たちが、自分語りを基点に、他人、街への「心の基礎体力づくり」を広げていく施策です。


【内容】

  1. AIRの意義と効用

  2. AIRの精神的な付加価値

  3. 多様な人生の活動舞台としての街づくり



1.AIR の意義と効用

廃校などを活用し、街なかにアーティストの拠点を提供するAIRが盛んで、2022年には全国85カ所で実施されています。

AIR とは、滞在するアーティストが、街をリサーチ・解釈するプロセスを踏まえて、アート作品として、カタチにして貰う活動です。

別府市では、「別府現代芸術フェスティバル」を2009年に開催して以降、 継続的なAIR活動を通じて、100人を超えるアーティストやクリエイターが移住しました。これまで関わりのなかった施設や分野にもつながりができ、自治体の情報発信や中小企業の課題解決に関わる事例が増えてきていると言います。


2.AIRの精神的な付加価値

移住促進や発信支援などの物理的な付加価値に加えて、アーティストという「異質を孕む」ことで、その生き様に刺激を受け、感化・覚醒した精神で、生きる意味などを考える機会、も重要です。

そしてそれ以上に、アーティストによるリサーチやヒヤリングを通じて、地域の人たちが「自分を語る」ことが重要なのでは無いでしょうか。

自分の生い立ち、人生の山や谷、出逢った人々、この街との関わりなどを、自分の言葉で語ることは、自分の人生と価値観を一覧し、様々な気づきを得る機会になります。

これは自分自身の内省を通じて「心の基礎体力」を高める手法と言えます。

そしてこの「心の基礎体力」によって、様々な人たちの人生を昇華させた、統合体となるアート作品から、他の人の人生と価値観も一覧し、共有する事になると考えます。

このプロセスを経て、多彩な人生に対する感情移入・共感と、多様性をメタ認知できる視点を持つことが、AIRの精神的な付加価値なのです。


3.多様な人生の活動舞台としての街づくり

AIRに伴う内省によって「心の基礎体力」が高まり、日常的・表層的ではない視点が、自分の周辺や街に向けられると、様々な人生が複層的に寄り合う舞台としての「街」を実感できるようになります。

このプロセスを経て、自分の人生に自信を持ち、自分の街・コミュニティに対しても、愛着と誇らしさを実感する事になると考えます。

AIR の他には、北海道の東川町で開催される「写真甲子園」なども、同様の効用が想定されます。

アート・イン施策は、アーティストなど異質な存在との対話を通じて、内省機会を持った地域の人たちが覚醒し、周囲の人たちやコミュニティに関心を寄せ、活性化していく街づくり活動と言えます。


 
 
 

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