top of page

まちづくりのゴールと対象:まちづくり再考 ②

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2023年9月6日
  • 読了時間: 2分

【内容】

1.まちづくりゴールの再定義

2.まちづくりの計画レイヤーの設定

3.「論語」と「算盤」のバランス思考


1.まちづくりゴールの再定義

①まちづくりには、様々な定義がありますが、事業として進めていくためには、「目指すべき状態」或いは「成果を測る目標」として、定量指標となるゴールを設定する必要があります。

②まちには、オフィス街や商業エリアなど、様々な方向性がありますから、企業数や商業施設面積などの、「構成要素」を指標化する事は、適切ではありません

③私たちは、居住している人でも、働いている人でもなく、「繰り返し訪れる人(=ファン)が多い街が、魅力ある街である」と解釈し、「街のファンを増やす事」をまちづくりのゴールとして提案します。

コロナ禍を経て、「リアルな都市の価値」が問われています。

居住人口や就業人口ではなく、「ファン人口の多い都市」、住宅でもオフィスでもなく、「サードプレイスとしての都市」が求められているのではないでしょうか。


2.まちづくりの計画レイヤーの設定

①まちづくりには、街を支えるインフラ的な計画から、人々の行動の結果となるコミュニティ的な計画まで、様々な計画レイヤーがあります。「街のファンを増やす」ために有効な計画レイヤーを設定する必要があります。

②インフラを整えてビル建設を促す時代ではありませんし、話し合って仲良くなる事が目的でもありません。

私たちは、インフラ・レイヤーとコミュニティ・レイヤーの中間にある「プラットフォームとコンテンツ」を計画レイヤーとして採用し、ファンを増やすための方策を計画していきます。

③コンテンツとは『内容・創作物』を意味しますが、ここでは、『街のアウトプット』と定義します。そしてプラットフォームは、『架台・舞台』の意味ですが、ここでは『コンテンツが自立できる仕組み』を指すことにします。

私たちは、「街が自律的にアウトプットできる仕組みづくり」を計画します。


3.「論語」と「算盤」のバランス思考

①「街のファンを増やす」まちづくりを推進していくためには、人々の共感・協力を得られる「大義」や、人々をワクワクさせる「ビジョン」が、必要だと考えます。

②まちづくりを事業として継続させていくためには、「事業性」や「経済的な枠組み」も不可欠だと考えます。

③まちづくり事業を推進するには、相反する「論語」と「算盤」とをバランスさせる思考が必要です。


私たちは、「街のファン」を増やすために、「コンテンツとプラットフォーム」を対象として、「論語と算盤」をバランスさせて推進していくことが、「まちづくり事業」であると考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
共体験の課題 共体験デザイン ④

【内容】 第1章 都市開発における「共体験」研究の現在地 第2章 都市開発における共体験研究の課題 第3章 展望に向けた問いと今後の方向性   第1章 都市開発における「共体験」研究の現在地 「共体験(Co-experience)」はもともとHCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)の分野で定義された概念ですが、現在では都市デザイン、社会学、文化研究、心理学など幅広い領域で活用されていま

 
 
 
共体験研究の変遷 共体験デザイン ③

【内容】 第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 第2章 共体験の社会的接合と都市研究への展開 第3章 共体験の測定・検証と都市開発への統合   第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 都市開発における「共体験」の研究は、1960年代から80年代にかけて、公共空間における人々の行動観察から始まりました。 ウィリアム・ホワイトの『The Social Life of Small Urban Spaces

 
 
 
共体験の定義 共体験デザイン ②

【内容】 第1章 「共体験」とは何か 第2章 都市開発における共体験の広がり 第3章 都市開発での実践方法   第1章 「共体験」とは何か 「共体験(Co-experience)」とは、複数の人が同じ時間や場所で体験を分かち合い、その中で互いに感情や意味を育てていくことを指します。 例えば、一人で食事をするのと、友人や家族と一緒に食事をするのとでは、同じ料理でも感じ方が違います。 それは、周りの人

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page