top of page

「築地」の課題 築地アップデート ④

  • 2024年9月11日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年9月13日

【内容】

  1. オーバーツーリズムに伴う「老舗専門店の疲弊改善」

  2. 午後3時以降の「賑わい時間の延長」

  3. そして築地再開発との連携

 

 

 

 

「インバウンド客でごった返す『築地』に課題なんてあるの?」と、私も最初はそう思っていました。

観光庁関連の助成事業に応募しても、「『築地』は全然困っていないでしょう」と、採用されないことが多いと担当者がこぼしていました。

しかし、解像度を上げて「築地」を見てみると、かなり危機的な状況が浮かび上がってきます。

1.オーバーツーリズムに伴う「老舗専門店の疲弊改善」

インバウンドの回復に伴い「築地」は、朝から大勢の観光客で溢れるオーバーツーリズム状態になっています。

ただ現状では、観光客向けの飲食店が爆売れしている反面で、築地を支えてきた老舗専門物販店の営業には、大きな弊害が出ているのです。

まず観光客向けの飲食店の前の行列が伸びてしまい、老舗専門物販店に買出し人など常連客達が近寄れません。

また歩行者が歩道だけでなく車道にまで溢れ出しているため、車が通れず食材の配送が遅延してしまっています。

さらに物販店の前や波除神社前に、無関係な人達が屯するため、商売や活動の邪魔になっています。

「築地」は前述したように「観光地」である前に、日本橋・銀座・新橋をはじめとする都心東部の飲食店の、買出し人に仲卸する「流通業務地」なのです。

「築地」の根幹機能であり、特徴でもある「老舗専門物販店」が、商売できず苦境に立たされているのです。

「築地」の未来を語るには、まず「築地」を支えてきた「老舗専門物販店の疲弊改善」が不可欠といえます。

 

2.午後3時以降の「賑わい時間の延長」

仲卸業を本来業務とする「築地」の主要業務時間は、午前5時〜午後2時になっています。

ですから早朝からお昼にかけては大変賑わう反面、午後3時には大半の物販店は閉まってしまい、一般的な観光・集客施設が賑わう夕方から夜にかけては、シャッターが閉じた街並みになってしまいます。

また日曜・休日の営業もありません。

観光客に人気の他の有名市場と比較すると、

  1. 上野アメ横:午前10時〜午後8時

  2. 大阪黒門市場:午前8時〜午後5時30分

  3. 京都錦市場:午前9時〜午後5時

  4. 金沢近江町市場:午前9時〜午後5時 ※いずれも例外店舗あり

「築地(場外市場)」の午前5時〜午後2時という営業時間が、一般的な(消費者向け)市場とは大きく異なることがわかります。

さらに営業時間が午前11時〜午後10時という通常の飲食店とはほとんど重なりがありません。※飲食店の買出し先としての役割を踏まえると当然です。

「築地」で働く人たちは、業務終了後に別のスーパーマーケットに行って、夕食の食材を調達して帰るという「寂しい」状況です。

後述する「築地再開発」との連携を図るためにも、「賑わい時間の延長」を検討する必要があります。

 

3.そして築地再開発との連携

築地市場跡地の再開発は、都心最後の巨大開発と言われています。

2024年3月に事業者も決定し、2032年には大部分の施設を完成させる予定になっています。

敷地面積約19haと、六本木ヒルズの2倍以上の敷地に、野球、サッカーなどのスポーツから、コンサートまで多彩な大規模イベントに対応する5万人規模の多機能スタジアムを中心に117万m2のオフィス、商業、ホテル、住宅などの複合施設が計画されています。

六本木ヒルズの年間来街者数が約4000万人と言われますので、それを凌ぐ集客力になります。

銀座方面からのメインアプローチには「築地」があり、無関係ではいられません。

1日あたり10万人を超え、現状の「築地」の来街者数が2万人程度と言われますから、新たに強烈な人流が生まれることになります。

また、40〜50階建ての超高層ビル群やスタジアムなどの「巨大建造物」が、場外市場の雑然とした街並みに隣接して開発されるのです。

この「築地再開発」と、どのように補完・連携していくのかは、非常に大きな課題です。

 
 
 

最新記事

すべて表示
人生観都市の定義 人生観都市 ②

【内容】 第1章 人生観都市とは何か 第2章 人生観都市を構成する考え方 第3章 人生観都市が目指す社会と都市の姿 第1章 人生観都市とは何か 人生観都市とは、人が「どう生きるか」「どう老いるか」「何を残すか」といった人生そのものを支えることを目的とした都市の考え方です。 これまでの都市は、便利さや効率、経済成長を重視して発展してきました。働く、買う、移動する、消費するといった機能を高めることで、

 
 
 
今なぜ 人生観都市なのか? 人生観都市 ①

【内容】 第1章 成長社会型都市の限界 第2章 人生観の喪失と成熟社会の課題 第3章 人生観都市という新たな都市モデル 第1章 成長社会型都市の限界 これまでの日本の都市は、高度経済成長を背景に、「便利で効率的な都市」を目指して発展してきました。都市には、生産、消費、移動、情報、商業などの機能が集積し、生活を豊かにするためのインフラが整備されてきました。その結果、日本は世界でも有数の便利で安全な都

 
 
 
ディベロッパーのアップデート メタディベロップメント 23

【内容】 第一章 床貸し商業の限界と構造転換の必然 第二章 覚悟と主体性が生む新しい収益構造 第三章 都市ブランド戦略への拡張 第一章 床貸し商業の限界と構造転換の必然 本章では、従来型商業を中心とした都市開発の限界と、その構造的課題について整理します。 これまでの商業施設は、テナント面積を最大化し、賃料収入を積み上げる「床貸しモデル」を基本としてきました。しかし現在、このモデルは増収余地

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page