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「テーマパーク」に見立てる:文化施設PPP ⑦

  • 2023年5月15日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. 大阪城公園の奇跡

  2. 「テーマパーク」化

  3. ディスティネーションとしてのミュージアム




1.大阪城公園の奇跡

大阪市は、大阪城公園全体の運営を、公募・選定した民間事業者に任せるPMO(Park Management Organization)事業方式で、公園管理費用を賄った上で、3億円前後の納付金(借地料)を受け取っています。

PMO事業は、一般的な PFI事業よりも、さらに運営自由度が高く、民間事業者は、ジョーテラス大阪(飲食施設)やクールジャパン・パーク(ライブホール)などの新規施設を開発・運営するほか、様々な有料イベントを開催し、集客力と収益力を高めています。

大阪城公園全体の集客力の向上に伴い、大阪城天守閣への来場者も、PMO事業導入前から大幅に増え(2012年:150万人→2018年:255万人)、大阪城公園は、すっかり大阪観光の目玉の一つになっています。

この運営方式は、ミュージアム変革を検討する上で、非常に参考になるのではないでしょうか。


2.「テーマパーク」化

ミュージアムは、都市公園内に孤立して建設される場合が、多いようです。

前述したように、生活者は「複合ワンストップ体験」ニーズが高く、ワザワザ来場するのであれば、展覧会だけでなく、飲食・休憩、ショッピングが楽しめ、数時間滞在できる体験パッケージを求めています。

ミュージアムの周辺を含めて、「テーマパーク」に見立ててはどうでしょうか。

ミュージアム本体の「歴史」や「自然」のテーマに因んで、PMO事業方式で、多彩な施設やアトラクションを整備・運営するのです。

テーマに沿った飲食メニューを提供する飲食施設に加えて、魅力的なグッズショップも重要です。

メニューやグッズも、「片手間」ではなく、「本気」で開発する必要があります。

知らない社会人達の上手な野球の試合よりも、近所の子どもが出場する下手な少年野球の試合を応援したくなるように、「興味・関心」=「コンテンツの質」×「親密度」だと言えます。

如何に「歴史」「自然」を噛み砕いて、面白く伝えるのかが重要です

新日本プロレスが、「悪役レスラーのスイーツ好き」を発掘・強化して、ファンを増やしたように、「本気」でキャラクターを企画し、「テーマパーク」として開発していく必要があります。


3.ディスティネーションとしてのミュージアム

大阪城公園の事例のように、「テーマパーク」全体の集客力が高まれば、ミュージアム本体の入場者数の増加も可能です。

要は「総合力」なのです。

「テーマパーク」は極端でも、「神社」の構造がベンチマークになります。

神社には、御神体・ディスティネーションとしての「お社」単体ではありません。

参拝前の期待感と緊張感を高め、参拝後の開放感と娯楽性を提供する縁日・茶店などを含む、「境内」があり、複合ワンストップ体験が可能な構造になっています。

そして日常的に利用する人たちだけでなく、より広域から集客するプログラムとして、定期的な「お祭り」があります。

このように神社見立てにすると、ミュージアムの研究活動にも工夫が必要になります。

「御神体の縁起」にあたるディスティネーションとしてのミュージアムの魅力強化です。

従来の博物学的な視点での研究だけでなく、天地人的な文脈とストーリーを伴った研究・発信が、ミュージアムとしての求心力を高めるのだと考えます。

 
 
 

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