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「コロナ禍を経たリアルな街の強みと可能性」  株式会社KADOKAWA・2021年室エグゼクティブプロデューサー 一般社団法人メタ観光推進機構理事玉置泰紀

  • 2021年5月10日
  • 読了時間: 3分

ところざわサクラタウンの強運と必然性


 昨年7月にオープン予定だった、埼玉県所沢市にKADOKAWAが作った新本社、ところざわサクラタウンは、新型コロナ感染症が直撃し、グランドオープンは11月6日にずれこんだ。本来はロジスティック・物流の拠点であり、印刷工場だったのが、いつしか、新本社になり、美術館と博物館、図書館をハイブリッドした角川武蔵野ミュージアム、大小のホールであるジャパンパビリオン、EJアニメホテル、角川食堂、ラーメンウォーカーズ・キッチン、ダヴィンチストア、更には武蔵野坐令和神社までをも擁する極めてユニークな複合施設に拡大していった。中でもジャパンパビリオンはコロナ禍の中、強運と必然を集約した施設になった。


 そう、ジャパンパビリオンは、建設の過程で、eスポーツ対応型に生まれ変わったのだ。

元々、KADOKAWA自体がファミ通という代表的なゲーム・メディアを持ち、そのもっとも有名な編集長であり、そのファミ通でアスキーから独立したエンターブレインの社長であり、KADOKAWAの幹部も歴任した浜村弘一氏が日本eスポーツ連合の副会長として伝道師となり、KADOKAWAとしてファブゲーミングというプロチームも持つなど、eスポーツに傾斜していく中、ジャパンパビリオンは通信、中継設備を大きく強化され、本格的なeスポーツ対応型に整備されたのだ。また、オタクコンテンツに強いKADOKAWAのファン対応で、コミケなどの混雑などを意識して、通常あり得ないほど強力な換気設備も整えられた。


 この結果、リアルとバーチャル両面に対応し、対ウィルスの換気も最高レベルという、理想的なポストコロナ型のホールになったのだ。


 また、新オフィスである「所沢キャンパス」。飯田橋エリアのオフィスと合わせ、都心と近郊外の「本社2拠点体制」となる新本社として作られた。

この地理的な新しい体制を成り立たせるために、KADOKAWAは、場所にとらわれずに働く「ABW」(Activity Based Working)を旗印に働き方改革を強力に推し進めてきた。フリーアドレスやサテライトオフィス、在宅勤務の可能性を2018年10月から詰めてきて、いよいよ新体制に移行しようとしたときに、コロナに見舞われた。結果、元々オリパライヤーで政府の強い勧奨もあって、テレワークに強く進める流れだったのが一気に加速することになった。結果的に現在に至るもリモートワーク率が7割を維持している。ワンフロアのオフィスエリアは山や谷が作られ、多くの大小の会議室を備え、リモートもしやすくなっている。

様々な最先端のオフィスを調べ上げて作られた最新型のオフィスと言える。


この動きはデジタルトランスフォーメーション(DX)と両輪で進められていて、このためにKADOKAWA Connectedという会社も作られた。目覚ましい成果を上げることに成功し、Slack Technologies社がグローバルで主催する初のカスタマーアワード「The Slack Spotlight Awards」にて、「Slack Spotlight Awards 国別部門賞」の日本部門賞を受賞した。


 また、2020年大晦日の紅白歌合戦では、施設全体の設計者、隈研吾氏の作品でも異彩を放つ石の塊、角川武蔵野ミュージアムの中で、館長でもある松岡正剛氏のコンセプトのもとに作られた書籍の街、エディットタウンの目玉、本棚劇場で、YOASOBIが「夜に駆ける」を披露した。帰省した実家で見ていたが、情報統制で全く知らず、うれしい驚きだった。


コンテンツ・オリエンテッドな類を見ない“ミニ・テーマパーク”である、ところざわサクラタウンは、コロナ後のエンタテインメントを予期していたかのような施設となったが、コロナが世界を変えたのではなく、変化を加速したという見方をすれば、「強運」であったかもしれないが、訪れるはずだった新しい姿を先取りしていたという意味では、「必然」であったとも言える。

 
 
 

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