top of page

PayPayドームの工夫:文化施設のtoB戦略 ③

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2023年6月21日
  • 読了時間: 2分

【内容】

1.福岡ソフトバンクホークスの収益力

2.マーケティング+αの価値



1.福岡ソフトバンクホークスの収益力

福岡ソフトバンクホークスは、2019年度に324億円を売り上げて、日本で最も稼げるプロスポーツチームになっています。

これは、スポーツビジネスのメッカである欧州サッカークラブと比べても16位に位置する売り上げ規模です。(因みに2022年の1位はマンチェスター・シティ:約1014億円)

売り上げの内訳は、下記の通りです。

①マッチデー収入:47%(約152億円)。年間265万人を動員し、チケット、グッズ、飲食収入など、平均客単価は5,700円になります。

②コマーシャル収入:44%(約142億円)。スポンサーシップやライセンシング収入など

③放映権:9%(約29億円)

142億円に上るコマーシャル収入は、ビジョン収入はもちろん、様々な特定客席ネーミングやファウルポール(地元のマルタイラーメンがスポンサーになっています)などのネーミングライツ、さらに各種PRイベントなど250種類以上の協賛・広告・看板を商品化した成果と言えます。

スポンサーには、単なるロゴ掲出だけでは無い特典も用意されています。

ビジネス利用に対応したスーパーボックス、専用エントランスやラウンジが整備され、スポンサープランによっては、試合開始2時間前から利用でき、会議後に食事会やバルコニーからの試合観戦が可能になっています。

このようにPayPayドームは、ビジネスでの接待や親睦会、企業の福利厚生に活用できるtoB対応の特典を用意し、収益化を図っているのです。


2.マーケティング+αの価値

一試合平均の観客動員数(2012年〜2019年)では、1位巨人:41,756人、2位阪神:40,078人、3位ソフトバンク:35,025人となっています。

SNSフォロワー数では、1位阪神:156.1万人、2位ソフトバンク:106.4万人、3位日本ハム:100.7万人です。

観客動員数では巨人や阪神に及ばず、頻繁にテレビ中継がある訳でもないのに、142億円ものコマーシャル収入を得ているPayPayドームは、年間265万人を価値化して、稼いでいるということになります。

ファンの「好感度」が及ぼすマーケティング価値が、一般広告とスポンサー広告との違い、であることは前に触れました。

PayPayドームでは、さら接待や福利厚生に及ぶ、多彩なtoB対応メニューを用意することによって、高価値化を実現していると言えます

文化系集客施設の事業構造を考える上で、非常に参考になるのでは無いでしょうか。



 
 
 

最新記事

すべて表示
都市の拡大と分断 「関わり資本」による都市再生 ②

【内容】 第1章 歴史と生活が息づく「旧市街」の誇り 第2章 新市街の台頭と「都市の分断」 第3章 郊外化と「三重の分断」     第1章 歴史と生活が息づく「旧市街」の誇り 日本の多くの地方都市は、城や寺社を核として発展してきた旧市街を起点としています。...

 
 
 
人口減少時代の都市再生 「関わり資本」よる都市再生 ①

【内容】 第1章 新潟市における都市再生の挑戦:「にいがた2km」構想とは 第2章 展望:経済・文化・市民参加による都市の再構築 第3章 人口減少時代の都市再生     第1章 新潟市における都市再生の挑戦:「にいがた2km」構想とは...

 
 
 
Jカルチャーコンプレクスの未来 Jカルチャーコンプレクス ⑩

【内容】 ファッションビルの限界と未来型への進化方向 未来型ファッションビルの施設構成と運営体制 Jカルチャーコンプレクスがもたらす日本社会の未来     1.ファッションビルの限界と未来型への進化方向 近年、従来型ファッションビルは、大きな曲がり角を迎えているといえます。...

 
 
 

Comments


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page