top of page
検索

共感人口 ⑦ 多拠点との繋がりが提供する「安心感」

住む場所が通勤の呪縛から解放されると、より創造的な刺激を求めて移動していく暮らしも想定され、二拠点居住も現実的になりそうです。従来は都心に住むお金持ちが、リゾート地に別荘を持つ感覚でしたが、これからは拠点を田園エリアに持ち、週日の都心ワーク用に二泊程度するシェアルームを持つというスタイルが有力になりそうです。多拠点居住を考えるときにWWOOFという仕組みが参考になります。WWOOFとは、World Wide Opportunities on Organic Farm の略称で,週末だけ農家に行って手伝うことから始まった活動です。1970年代にイギリスで生まれ、オーストラリアや、ニュージーランドで発展し、現在は世界60ヵ国以上で WWOOF事務局が設置されています。日本では1994年に事務局が誕生し約400カ所のホストがあります。 WWOOFメンバーは年会費2000円で、有機農家であるホストと、日本全国、世界各国の人と人との交流し、オーガニック生活を知り、新しい知見を得て、価値観の多様性を感じ、自分を向上させていくものです。「食事・宿泊場所」と「力」そして「知識・経験」とを交換します。自分が持っているものを提供し、持っていないものを受け取るというシンプルな仕組みで、お金のやり取りは発生しません。家族のような気持ちで、何をしたら相手が喜んでくれるのかをお互いに念頭におきながら、一緒に短い間生活します。一日6時間の作業は、鶏や豚の餌やりを中心とした基本的なものと、季節ごとの農作業補助からなり、残飯を豚に与えたり、鶏糞を畑に入れることで、リサイクルを実感できると言います。夜のおしゃべりでは、農業や料理の事から、環境や平和の事まで話題が広がります。家族の一員として手伝いをするだけで、住む場所も、ご飯も、ローカル文化も全て手に入ります。

WWOOF 的なライフスタイルは、視野を広げると共に、都会以外に、いざという時に「帰れる場所がある」という精神的な安心感を獲得できます。あらゆる意味で自分が最も創造的になれる環境に身を置く、場合によっては一箇所ではなく、多拠点を移動し関係を楽しみながら活動できる状況を作り出せる時代になっているのです。



最新記事

すべて表示

【内容】 個人にとっての効用 街と社会にとっての効用 サードプレイスがある効用とは何でしょうか? ここでは、「個人」と「街と社会」にとっての効用を整理します。 1.個人にとっての効用 1.新しいコミュニティへの所属 サードプレイスでは、新しいコミュニティを構築でき、ファーストプレイスやセカンドプレイスにはない関係性が生まれます。新たな所属が、日常における待避場所となり、生活の満足度が高まります。

【内容】 A:交流型サードプレイス B:マイプレイス型サードプレイス C:価値共有型サードプレイス サードプレイスの分類では、本来オルデンバーグが示した「A:交流型」と、日本での主流となっている、一人または数人で静かに自分の時間を過ごすために、活用される居場所タイプ 「B:マイ・スペース型」の2種類への分類が一般的です。 ここでは、より現代の日本社会に対応させるため、特定の目的や意味を共有する「C

【内容】 日本にも有ったサードプレイス的空間 日本的なサードプレイスの特徴 1.日本にも有ったサードプレイス的空間 日本にも「家でも会社でもない居場所」という意味での、サードプレイス的な空間はありました。いくつかを例示します。 居酒屋:日本文化研究者のマイク・モラスキーが、日本におけるサードプレイスの代表例として「赤提灯や大衆酒場のような庶民的な居酒屋」を挙げているように、カウンターが一種の共有空

bottom of page