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今なぜ「築地」なのか?築地アップデート ①

【内容】

  1. SOS「築地」

  2. 築地の歴史

  3. 築地の現在地

 

 

 

1.SOS「築地」

 築地場外市場(以下「築地」)は、「美食の街:東京の台所」としてインバウンド客に大人気で、連日朝早くから観光客であふれています。

一見、大繁盛で皆が羨む光景ですが、その裏で「築地」の本業の疲弊が進行しています。 SOS「築地」の危機的な状況なのです。

今テコ入れしなければ、築地再開発が開業する2032年には、「築地」は解体していると言っても大袈裟ではありません。

「築地」は、東京都中央区築地四丁目と六丁目にまたがる縦400メートル、横120メートルのエリアで、ここに約400店がひしめいています。

「築地」は、元々築地市場で買い付けた「仲卸業」の人たちで構成された業務用の食品市場で、鮮魚や青果、精肉、乾物、干物、調味料、調理器具や器など、さまざまな「食の専門店」が集まるエリアです

その「築地」が、オーバーツーリズムの波の中で、「Change or Die」の選択を迫られているわけです。

 

2.築地の歴史

現在は豊洲に移転しましたが築地(場内)市場は、1923年の関東大震災によって消失した「日本橋魚河岸」が移転してきたものです。

魚河岸は民間市場であり、大多数が問屋兼仲買として、浜から魚を集荷して販売していました。また公道や桟橋の使用権などの既得権と、古くからの商慣習がありました。

その魚河岸が移転とともに、中央卸売市場に生まれ変わる過程では、既得権の保障をめぐる騒ぎや、卸会社の統合可否での対立など様々な混乱があり、第二次世界大戦による事業停止を含めて、正常に機能するまで約30年余りかかったと言われます。

中央卸売市場では、集荷を行う「卸業者」と、卸会社からセリによって仕入れた魚を販売店へ下ろす、「仲卸業者」への分業が進みました。

 

高度経済成長とともに、大消費地:東京の中央卸売市場として、築地市場には日本、さらには世界各地から多様な食材が集まりました。

取扱い品目は水産物約480種、青果物約270種という圧倒的な品揃えを誇り、特に水産物の取り扱い規模は年間40万トン以上で、「世界一の魚市場」と言われました。

「築地(場外市場)」は築地市場に隣接した商店街で、買出し人(小口の小売店、飲食店、食品加工業者などで、自分の店で扱う品物を仕入れるために卸売市場へ出向いて仲卸業者から購入する人)を相手に商売している問屋街として、栄えてきました。

 

しかし、水産物や青果物の総消費量の減少や、大手小売業による直接買い付けなどにより、2000年頃のピーク時から3割程度売り上げを落とすようになります。

そして、設備の老朽化などの問題から、2018年に中央卸売市場は豊洲に移転されます。

 

 

3.築地の現在地

「築地」は2018年の豊洲移転後も、「場外は移転しません」と PRしながら営業を続けてきました。

中央区も賑わいを維持する目的で、約60店の仲卸業者が軒を連ねる「築地魚河岸」を開業させています。

世界的なパンデミックも乗り越え、連日多くの来場者がおり、賑わいを見せています。

しかしながら、近年の急速な国際化や情報化の中で、自治体や観光業者、SNS等の誤った情報発信のために、食の流通拠点として根幹部分が脅かされている状況です。

「築地」は「観光地」ではなく、「仲卸業の事業地」なのです。

その「築地」を支えてきた「老舗専門店」が、危機に瀕しているのです。

また2024年4月には、旧中央卸売市場跡地の再開発事業予定者も発表され、より一層、「築地」を取り巻く環境が急速に変化をすることが予想されます。

 

「築地」には、いまアップデートが不可欠なのです。

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