top of page

今どうして「ファン」が大切なのか?ファンマーケティングに見る「ファン」の定義と価値を考える:ファン・タウン ②

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年10月31日
  • 読了時間: 3分

更新日:2022年11月4日

ファン・タウンを検討する前に、成熟市場におけるマーケティング手法として、注目される「ファン・マーケティング」について、整理しておくことが、有効だと思います。


【内容】

  1. ファンとは

  2. なぜ ファンを重視すべきなのか

  3. ファンマーケティングの従来のマーケティングとの違い

  4. ファンの価値



1. ファンとは


まず、「ファン」とは何か?についての定義から進めます。

ファンマーケティングのベンチマークとされるクラフトビールメーカーの「ヤッホーブルーイング」は、客を五段階に区分しています。

上から


①熱狂的ファン

②ロイヤルカスタマー

③継続顧客

④日和見顧客

⑤トライアル顧客

になります。

このうち①②をファンと定義づけています。「ファンとは「購入」に留まらず、リピートし、更には他者に推奨してくれる人の事」ということになります。



2. なぜ ファンを重視すべきなのか


ファンマーケティングおいてファンを重視する理由として、2つ挙げられます。

① 1:5の法則

② パレートの法則


① 1:5の法則:マーケティングにおいて新規客の販売コストは、リピーターに比べて、約5倍掛かるというモノです。

リピーターの維持は新規客の開拓よりも、遥かにコスパが良いという事になります。

② パレートの法則:マーケティングの様々な場面で活用される法則ですが、ここでは、「上位20%の顧客(=ファン)が売上の80%をしめる」という法則を提示します。

限られたリソースの有効利用になります。



3. ファンマーケティングと従来のマーケティングとの違い


次に従来のマーケティングとの比較で違いを整理すると、認知度の向上や新規顧客の獲得においては、従来ではマスメディアなどの広告を中心としたアプローチになります。

これに対してファンマーケティングでは、ファンによる口コミや情報発信が中心になります。

さらに利用継続に向けては、企業主導のクーポン発行などの値引き施策に対して、ファン同士による商品活用方法のシェアなどが挙げられます。



4. ファンの価値


ファンマーケティングにおけるファンの価値として、次の4つが挙げられます。


①経済価値:ファンは値引きなどしなくても、買い続けてくれるため、継続的な利益貢献に繋がります。

②顧客理解価値:ファンの行動や意向を把握することで、商品開発やサービス改善について示唆を得ることができます。

③共創価値:ファンとのディスカッションや協働は、これまで予想もしなかった新しい価値の発見につながります。その延長としてプロモーション活動にもつながります。

④影響価値:ファンは口頭で家族や友人への推奨活動を行います。

また SNSのコンテンツとしてファンの存在や声を取り上げることが、見込み客の信用を得る事につながります。


このようにマーケティングにおける、「ファン」の定義と価値が整理されました。次回は、ファンマーケティングの計画ポイントについて、検討します。


 
 
 

最新記事

すべて表示
関連研究の変遷 日本バリュー都市 ④

【内容】 第1章 国家ブランドとクールジャパンの萌芽(2000年代前半) 第2章 政策実装と事業化の進展(2010年代) 第3章 体験価値と定性的解像の時代(2020年代)   第1章 国家ブランドとクールジャパンの萌芽(2000年代前半) 2000年代前半、日本のブランド価値研究は「国家ブランド」という国際的な概念と連動して広まりました。 当時はグローバル競争が激化し、モノづくりだけでなく文化・

 
 
 
日本ブランドの価値 日本バリュー都市 ③

【内容】 第1章 日本ブランド価値の4象限と精神的基盤 第2章 エンゲージメント階層と「恋に落ちる」瞬間 第3章 都市に求められる役割とブランド価値の可視化     第1章 日本ブランド価値の4象限と精神的基盤 前述の報告書において日本のブランド価値は、海外ユーザーの調査において大きく4つの象限に整理されています。 第一に 「心が落ち着く体験(Calming)」 であり、自然や静けさ、余白を大切に

 
 
 
元研究の整理と確認 日本バリュー都市 ②

【内容】 第1章 調査内容とアプローチ 第2章 主な知見と発見 第3章 提言と政策的な示唆   今回の検討の元になっているのは「Japan Brand Image Research」(令和4年度 海外需要拡大事業/国際競争力強化に向けた日本ブランド力に関する調査研究事業)で、経済産業省(METI)が事業主体であり、 クールジャパン政策課 のもとで企画・実施されたものです。以下に要点を整理します。

 
 
 

コメント


Copyright © FIACS, All Rights Reserved.

bottom of page