ファン・タウンを検討する前に、成熟市場におけるマーケティング手法として、注目される「ファン・マーケティング」について、整理しておくことが、有効だと思います。
【内容】
ファンとは
なぜ ファンを重視すべきなのか
ファンマーケティングの従来のマーケティングとの違い
ファンの価値
1. ファンとは
まず、「ファン」とは何か?についての定義から進めます。
ファンマーケティングのベンチマークとされるクラフトビールメーカーの「ヤッホーブルーイング」は、客を五段階に区分しています。
上から
①熱狂的ファン
②ロイヤルカスタマー
③継続顧客
④日和見顧客
⑤トライアル顧客
になります。
このうち①②をファンと定義づけています。「ファンとは「購入」に留まらず、リピートし、更には他者に推奨してくれる人の事」ということになります。
2. なぜ ファンを重視すべきなのか
ファンマーケティングおいてファンを重視する理由として、2つ挙げられます。
① 1:5の法則
② パレートの法則
① 1:5の法則:マーケティングにおいて新規客の販売コストは、リピーターに比べて、約5倍掛かるというモノです。
リピーターの維持は新規客の開拓よりも、遥かにコスパが良いという事になります。
② パレートの法則:マーケティングの様々な場面で活用される法則ですが、ここでは、「上位20%の顧客(=ファン)が売上の80%をしめる」という法則を提示します。
限られたリソースの有効利用になります。
3. ファンマーケティングと従来のマーケティングとの違い
次に従来のマーケティングとの比較で違いを整理すると、認知度の向上や新規顧客の獲得においては、従来ではマスメディアなどの広告を中心としたアプローチになります。
これに対してファンマーケティングでは、ファンによる口コミや情報発信が中心になります。
さらに利用継続に向けては、企業主導のクーポン発行などの値引き施策に対して、ファン同士による商品活用方法のシェアなどが挙げられます。
4. ファンの価値
ファンマーケティングにおけるファンの価値として、次の4つが挙げられます。
①経済価値:ファンは値引きなどしなくても、買い続けてくれるため、継続的な利益貢献に繋がります。
②顧客理解価値:ファンの行動や意向を把握することで、商品開発やサービス改善について示唆を得ることができます。
③共創価値:ファンとのディスカッションや協働は、これまで予想もしなかった新しい価値の発見につながります。その延長としてプロモーション活動にもつながります。
④影響価値:ファンは口頭で家族や友人への推奨活動を行います。
また SNSのコンテンツとしてファンの存在や声を取り上げることが、見込み客の信用を得る事につながります。
このようにマーケティングにおける、「ファン」の定義と価値が整理されました。次回は、ファンマーケティングの計画ポイントについて、検討します。
Comments