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「コミュニティ」への期待 「共創」から「競創」へ ①

【内容】

  1. 「コミュニティ」の現在地

  2. 「コミュニティ」の変遷

  3. 「コミュニティ」ニーズの背景

 

 

1.「コミュニティ」の現在地

「コミュニティ」という言葉が、氾濫しています。

「地域」コミュニティ、「ファン」コミュニティ、「オンライン」コミュニティ、「コミュニティ」マーケティングetc.

本来は「特定地域の住民による相互扶助集団」を表す言葉として使用されていましたが、地域を超え、リアル空間を超えて使用されたり、相互扶助的精神を超えてビジネス用語としても使用されている状況です。

コミュニティとは全く異なる分野が、「コミュニティ」という耳障りの良いキイワードで、纏められているのです。

言葉は時代とともに進化しますし、社会経験が異なる世代によっても、使われ方が変わって当然だとは思います。

それでもこれだけ幅広い分野で、共有して使用されるのは、現代社会の根本ニーズを満たす「何か?」がコミュニティには漂っているのではないでしょうか?



2.「コミュニティ」の変遷

最初に、コミュニティの歴史的な変遷と概念の拡張を振り返ります。

  1. コミュニティ概念の初出は、R.M.マッキーヴァー(米)が1917年に著書「コミュニティ」の中で、「場所や空間を共有する結合の形式で、地縁による自生的な共同生活」と定義しています。

  1. 日本においては政府報告書「コミュニティ:生活の場における人間性の回復(1969)」において「村落共同体ではなく、新しい地域をまとめるための概念としてのコミュニティ」が記載されることに始まります。

同じ頃にひらがなの「まちづくり」も提唱されはじめます。こちらも行政視点ではなく、日常生活感覚で、住民の主体的参加を表しています。

  1. 阪神淡路大震災(1995年)をきっかけに、ボランティア活動とコミュニティビジネス(コミュニティの課題を解決するために、ビジネスの手法を活用する)という和製英語が広がります。

ここでコミュニティとビジネスという、相反する言葉が同居します。

  1. 2000年代、オンラインコミュニティという言葉が生まれます。物理的地域としてのコミュニティと、人間関係としてのコミュニティとが、並立するようになります。

  2. 東日本大震災(2011年)をきっかけに「つながり」や「絆」への注目が集まり、山崎亮氏により「コミュニティデザイン」が提唱されます。コミュニティデザインとは「人の集まりが力を合わせて目の前の課題を乗り越え、さらに多くの仲間を増やしながら活動展開することを支援すること」と定義されます。「箱もの」志向ではなく、ソフト志向で目標達成を目指しています。

 コワーキングスペースにおけるビジネスコミュニティは、目的ではなく、「人間関係としてのコミュニティを、自身の目的達成やビジネスのために活用する手段」であると見なすようになります。

  1. 近年流行しているコミュニティマーケティングでは、特定のコミュニティ「へ」売る手法ではなく、コミュニティ「を」通じて売るマーケティング手法として、注目を浴びるようになります。


このように一定の地域基盤に構築された、人と人との繋がり、地域課題の解決及び生活の充実のための活動主体、自主的に展開する地縁型集団という、「地域コミュニティ」の当初の概念が、時代とともに拡張し、テーマを中心にして土地から離れ、ネット文化やビジネス、マーケティング手法などに、結びついて語られるようになっています。



3.「コミュニティ」ニーズの背景

次に、「コミュニティ」が注目を浴びるようになった背景について整理します。

  1. 生活者のニーズ:戦後の経済成長期には、農村における血縁・地縁などの伝統的な共同体から逃れて、都市に集まった人たちの受け皿として、会社における社縁という一種のコミュニティがありました。

しかし日本型経営が維持できなくなり、転職・副業が定着すると、会社への帰属意識が低下し、都市住民の多くは、「根無し草状態」になりました。

ここで注目されたのが「コミュニティ」ではないでしょうか。

  1. 企業のニーズ:また生活用品など一通り揃ってしまい、特に欲しいものもない成熟消費時代になっています。

ワザワザ都心まで行って買い物する事なんて面倒」という消費環境の中で、「コミュニティ」を活用して、誰かに会える、誰かの為の応援消費、参画消費がフックになる、というマーケティング手法が提唱されるようになります。

  1. 行政のニーズ:もとより行政は、地域自治と財政負担軽減の拠り所として、そして地元合意の受け皿としてコミュニティ形成に熱心でした。

この三者の思惑とニーズとを基に、少しずつ異なるニュアンスで「コミュニティ」が使われているのだと考えます。

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