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施策2:要支援者との繋がりづくり 防災まちづくり ⑧

【内容】

  1. ご近所「共助」

  2. 要支援者への対応

  3. 要支援者との繋がりづくり



1.ご近所「共助」

シン防災まちづくりで最も重視すべきが、「共助」になります。

特に、災害時には徒歩5分程度、半径400m圏の「ご近所共助」が重要ですが、具体的には、下記のような行為になります

「災害時」

①救助・応急処置

②初期消火

③情報収集・伝達

④避難誘導・避難所支援

⑤配慮者・要支援者の避難支援

災害時に迅速に対応するため「平常時」には下記の準備が必要になります。

勉強会などによる危機意識の啓発

②危険箇所の調査・共有※国土地理院などが発行しているハザード情報は、専門的かつ騒乱的なため、危険性を実感しにくく、地域での防災まちあるき&マップづくりが必要です。

③配慮・要支援住民の把握

④防災資材の整備

⑤防災訓練の実施


2.要支援者への対応

自分で避難できる人達の「自助」を前提にすると、「共助」の重心は、要支援者への対応という事になります。

東日本大震災では、15,000人超の死亡者の、66%は60歳以上の方でした。

少子高齢化の一層の進展を踏まえると、ますます要支援者の増加に対応する必要があります。

平常時の避難訓練においても、壮年健常者を想定した訓練だけでは、十分とは言えません。

京都大学防災研究所教授の矢守克也氏の調査によると、70歳以上の人たちが、避難訓練に不参加になる理由として「避難場所が遠い」を挙げていると指摘します。

高齢者を対象にした避難訓練では、「玄関まで避難」や「二階に避難」など、きめ細かなプログラムによって、防災活動のハードルを下げることで、避難支援と連動し実効性を高め事も重要です。

さらに厚労省の推計で936万人(人口の7.4%:12人に一人の割合)と言われる障害者への対応も重要です。

障害の種類によって災害時に必要な対応も様々で、聴覚障害者は、アナウンスが聞こえない恐れがあるため、筆談やスマホを活用した個別コミュニケーションが必要です。

視覚障害者には、個別の避難誘導が必要で、肢体障害者は、複数の人数で、背負い、車椅子を運ぶなどの対応が必要になってきます。


3.要支援者との繋がりづくり

同じく矢守教授が提唱する防災活動に「押しかけ家具固定活動」というものがあります。

これは、高齢者では難しい家具の固定作業について、小中学生達が高齢者に呼びかけ、応じた高齢者宅に、作業が得意な大人達で家具の固定器具を取り付けると言う仕組みです。

高齢者宅の家内の安全性を高めると同時に、要支援者との関係づくりや状況把握もできるという一石二鳥の防災活動です。

街のお祭りやイベントの機会を活用して、普段は外に出にくい高齢者や障害者などの要支援者との交流の場として、生かせるプログラムにする事も有効です。

私が関わる神宮前の商店街イベントでは、「誰でもが混ざり合って楽しむ」をコンセプトにしています。

歩行者天国化して飲食店が出店するだけでなく、子供たちの「路上落書き大会」や、電動車椅子の「体験会」、お年寄りが楽しむ「青空マージャン」など、さまざまな人達が、交流できる機会の提供を目指しています。

「まごチャンネルwith SECOM」は、離れて暮らす家族(孫)の写真をメールで送り、それを(テレビなど大きな画面で)見ると、無事が確認できると言う仕組みです。

単なる見守りではなく、「孫の様子を見たい」と言うお年寄りの気持ちを汲み取った仕組みが評価され、「2020年日経優秀製品・サービス賞」を受賞しています。


「共助」行為を有効にするには、要支援者を外に引き出す機会、要支援者の中に入り込む機会、すなわち街と要支援者とが繋がる機会づくりが重要だということです。

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