top of page
検索

CAMPUS2.0 ⑧大学の6次産業化

リアルな大学が「①共に学ぶ場②人間関係形成の場③トライアルの場」の3つの要素を検討していく為のベンチマークとして「次世代の飲食施設」のあり方が参考になると思います。ご存知のように飲食業界はコロナ禍で大打撃を受け、生き残りに向けて様々な工夫を模索しています。テイクアウトやデリバリーの充実といった手法もありますが、カフェ・カンパニー代表の楠本修二郎さんが提唱するのは「飲食業の6次産業化」です。6次産業とは元々は農業活性化のコンセプトでした。1次[農業]×2次[加工]×3次[飲食サービス]の掛け合わせによる総合的な体験提供を意味します。これまでのように会社帰りの「立ち寄り利用」を期待できなくなり、「わざわざ都心」に足を運んで飲食してもらう為には、単に「美味しい料理を提供する」だけではない総合的な体験提供が必要だということです。

例えば屋上には農場、三階には加工場、二階には調理場、そして一階にダイニングといった「食のイノベーションビル」なども提案されていました。創作におけるストーリー価値を語れる「都市型6次産業としての飲食業」が必要だということです。同様に大学も単に知識の伝達ではなく、「創造の6次産業化」という視点が有効ではないでしょうか。そのためには他分野と連携した創造体験の一部として位置付けた活動も有効です。スペインのグルメ都市サン・セバスチャンの美食クラブのように、レシピをオープンにしながら料理人だけでなく研究者やアーティストを含む様々な人が「食文化づくり」に参画できるように「創造文化づくり」を推進するのです。

これまで大学の研究室はそれぞれ細分化された分野毎に一匹狼的なスタンスで運営され、横断・交流もなかったことが、イノベーションを産まない主因だと言われます。周辺他分野はもちろんアートや音楽・カルチャーも含め次の創作に生かし、進化させる事ができる仕組みが重要です。大学が「創造の6次産業」の総合的な体験価値で成立していることを前提に、より高い視座で関係者を巻き込む研究マネジメント姿勢も有効になると考えます。



最新記事

すべて表示

【内容】 街歩きの「テーマ」づくり 見立てアート視点 メタ思考で街を楽しむ 1.街歩きの「テーマ」づくり 街を歩くといっても、ただ歩くだけでは、直ぐに飽きてしまいます。 体力づくりのために歩くのなら別ですが、街歩きを楽しむための「工夫」を持った方が、継続・習慣化できるのではないでしょうか。 簡単にできる街歩きの「工夫」として、「テーマ」づくりが考えられます。 「坂のある街歩き」「アニメの聖地巡礼」

【内容】 これまでの論点整理 「歩ける街」から「歩くことを楽しめる街」へ 「歩く事+αの仕掛け」が、歩いて楽しい街をつくる 1.これまでの論点整理 注目を浴びる「街歩き」ですが、誰でもが気軽に参加できる「実施率の高さ」が重要です。 健康だけでなく、コミュニティ形成や街への愛着、防災まちづくりからイノベーションまで、様々な「街づくり」の促進役として、期待されます。 街あるきの効用については、生活習慣

【内容】 回遊性に関する研究の沿革 回遊性の定義 回遊性の工夫 1.回遊性に関する研究の沿革 「回遊性」という言葉は、1990年代以降、街づくりにおいて、頻出するようになります。 デジタル大辞泉によると、元の意味は、「魚や鯨が、産卵などのために、定期的に移送する性質」ですが、これが転じて、「買い物客が、店内や商店街を歩き回る事」となっています。 「滞留時間と買い物単価とは、比例する」という研究報告

bottom of page