都市が人類の最大多数の価値観を反映し、「幸福最大化のための最適社会システム」度とすると、今回のコロナショックにおける「3つの価値シフト」が前提条件になると考えます。
1:移動・交流価値のシフト
テレワークの体験を経て「オンラインでも仕事がこなせる」という認識がレジェンド企業を含めて浸透しました。その結果「移動に伴うストレスと無駄」が見直される契機になり、さらに「オンラインが基本で、リアル対面が特別」という認識が共有されるようになると、これまでの都市の基盤にあった「移動・交流の結節点としての価値」が崩壊することになるのではないでしょうか。
交通利便性だけではないマグネットが求められる時代になります。より多くの人が、より早く、より遠くへ移動し、様々な異文化(人間)と交流すれば、新しい価値を生み出せるという指標からの転換が必要です。
2:集積・賑わい価値のシフト
コロナショックを経て「大量集積=不特定多数との密接」に対する違和感が残ると考えます。これまでのより多くの人・モノ・情報を集積させることによる規模の合理性・効率化を都市の価値としてきた都市開発の論理へのアンチテーゼといえます。人が人を呼ぶ、賑わい志向の商業施設が不安の対象になるかもしれません。Beyondコロナの時代には顔の見える適度な規模のコミュニティに対する評価が高まると共に、その構成メンバーとしてコミュニティを支える自覚が重視されるようになると考えます。
3:一斉・一律価値のシフト
コロナショックを経て朝夕の通勤ラッシュや一斉ランチを始め、盆暮れの一斉帰省などの一斉行動に対するリスクと非合理性を痛感してい流のではないでしょうか。
独自の指針による行動の快適性と優位性を認識した Beyond コロナ時代には自己裁量の増大とピークの平準化が進行すると考えます。
平準化による繁閑格差の縮小は、最大値で施設設計することなく、機会損失を吸収していくことを可能にしてくれると考えます。
いずれの価値シフトにも共通しているのが「量」ではなく「質」へのアップデートが求めれられているという事です。
3つの価値シフトのキッカケはコロナショックですが、その継続・定着を可能にしているのは技術革新です。
従来は一括・集積による「量の経済性」しか成立しなかったものが、技術革新により個別・分散しても高単価・ムダ削減を通じて「質の経済性」を確立させているのです。
オンライン活用により距離の問題と時間のムダを解消し、これまでに無いマッチングやネットワークで高質なサービスを提供し、より広範囲かつ予備軍を含む拡大マーケットに時間制約なくアプローチが可能になります。
このマーケットはフラットな「量」ではなく「様々な関係性・コンテクストを纏った質」を伴うマーケットを指します。
この「質」をもとにオンラインでは薄く広く繋がりながら、洗練・成長させていくことによって、より上質な実感を得るために「リアル」が必要とされるという世界観・事業観が形成されると考えます。
事業者としては従来の「売上拡大思考」だけでなく、単価向上とコスト低減を両立させた「最適事業思考」の指標設定が可能になります。
コロナは間違いなく外圧になります。
しかも日本全国だけでなく、全世界に平等に与えられた外圧になります。
外圧はこれまでのことを見直すきっかけになり、外圧で大きくシフトすることができるのか?外圧で潰れるのか?外圧を生かせるのか?は私達次第だと言うことです。
人間は基本的には変化を嫌います。日本人は特に変化を嫌う傾向にあるのですが、これまで先送りにしてきた様々な課題をこの外圧を生かしてシフトさせる覚悟が必要だと考えます。
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