【内容】
顧客接点プラットフォームのゴール
ハイブリッド・スパイラルの可能性
商業施設が変わると、街が変わる
1.顧客接点プラットフォームのゴール
コロナ禍を経て変化の激しい流通の最終型について、2030年までに、下記のような状況に行き着くと想定します。
【消費者】は自分にぴったりの小さなブランドを探し、
【メーカー】はリードタイムの短いD2 C対応になり、
【小売】はPB開発するインフラ系店舗とエモーショナル系店舗とに二極化していく。
小売とメーカーとの境界が曖昧になり、個客、個売りを目指すことのではないでしょうか。
そして都市型商業施設が、エモーショナル系店舗を目指すのであれば、売り場としてのハコの大きさでは無く、顧客接点として、体験の質を高める事が、価値につながります。
このゴールを見据えながら(商業)施設事業者は、顧客接点プラットフォームを運営し、 BtoC だけでなくBtoBビジネスの充実を図るべきではないでしょうか。
2.ハイブリッド・スパイラルの可能性
ハイブリッド・スパイラルとは、リアル[人・場・街]と、デジタル[AR・オンライン]とが、掛け合わさることで、コンテンツ[ストーリー、感動]が、拡張していくことで、下記のようなプロセスになります。
まずリアルの場の特徴や文脈を起点にして、 ARコンテンツとして、ストーリーやキャラクターを開発します。
次にARコンテンツを運営して、ファン・コミュニティを育成していきます。
そのファン・コミュニティの拠点として、リアルな交流・発信の場を整備します。
その上で、そこでの活動や派生したコンテンツを AR コンテンツとして、上書きしていくのです。
このようなプロセスを経て、リアルとデジタルとのハイブリッドで、スパイラル状に集客力を強め、価値向上していきます。
ハイブリッド・スパイラルの舞台として日本を見直すと、世界一の風土力、世界一の深掘り気質が大きなアドバンテージになると考えます。
南北3000キロに連なる日本列島は、亜熱帯から温帯・亜寒帯にまたがり、四季の変化が楽しめます。
また世界的にも恵まれた水資源をはじめ、豊かな自然環境と、それを舞台に各地方ごとに培われてきた、食を中心とした生活文化を重ね合わせることで、日本の「風土力」は世界一のバリュエーションを備えていると言えます。
また茶道をはじめとした芸道だけなく、金魚、盆栽からラーメン、マンガまであらゆるコンテンツを、「道」として極めようとする職人的な「深掘り気質」も世界有数だと考えます。
この二つの特性が遺憾無く掛け合わさることにより、日本中の様々なシチュエーションで、無尽蔵のコンテンツが生成されることが、期待できます。
3.商業施設が変わると、街が変わる
これからの商業施設は、交通利便性や高い容積率を追求するだけでなく、良質な顧客接点を提供するための「世界観とストーリー価値」が評価されるようになります。
事例としては赤坂離宮前の「虎屋本店」があります。
10階建ての近代的なビルから、自然素材をふんだんに使用した4階建ての社屋に建て替えられました。
自社のDNAを踏まえ、将来に向けたサスティナビリティを考えた上で、強みに磨きをかける選択だといえます。
東京大学の小泉先生が指摘される「これからの都市は真実性(相応しさ)と歴史性(サスティナビリティ)とが重視されるようになる」の好例で、「世界観とストーリー」を纏ったリアル環境をショールームのように生かしてオンライン上でファン(=経済価値)を獲得していくわけです。
商業施設が、世界観とストーリー価値とを重視した「ハード」を整備するようになると、街の風景が一変します。
ターミナルに、四角いビルばかりが並ぶのではなく、自然や歴史資産を生かせる立地に、その土地の文脈に沿ったデザインが、施されるようになるのではないでしょうか?
商業施設が変われば、街が変わるのです。
ความคิดเห็น