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食品流通の仕組みと動向 築地アップデート ②

【内容】

  1. 食品卸業とは

  2. 食品卸業の役割

  3. 卸売市場の転換期

 

 

観光客で賑わう「築地」が、なぜ危機的状況なのか?

「築地」の複雑な特徴を明らかにするために、食品流通の仕組みと動向を整理します。

1.食品卸業とは

食品卸業とは、生産者から食品を仕入れて、小売業者に卸す(販売する)取次事業者をさします。

小売業との違いでいうと、商品を小売業者に売るのが「卸業」で、消費者に売るのが「小売業」になります。

「仲卸業者」とは、水産物や食肉などの生鮮食品(生花)を売買する「卸売市場」で卸を営む事業者を指します。

「卸売市場」では、生産者から委託を受けた「卸売業者」が商材をセリに掛けて販売します。

卸売市場でセリに参加できるのは、「売買参加権(買参権)を取得した仲卸業者」などの買参人のみで、買参権のない小売業者は卸売市場で商品を買う事はできません。

そこで卸売市場の一角に、「仲卸市場」を作り、さまざまな商材を専門とする仲卸業者が店を構えて、各自が選んだ商品を小売業者が買いやすい量に、小分け販売しています。

築地場外市場は、「仲卸市場」の性格も持っている商店街なのです。

 

2.食品卸業の役割

食品卸業は、「食の安全と品質」を守るために重要な役割を担ってきました。

  1. 全国の生産者から商品を仕入れて、小売業に販売すること

小売業者の多くは事業規模が小さく、消費者の需要に応じた商品を宣告の生産者から直接買い付ける流通経路を持ちません。また生産者にとっても卸業者に販売を委託できれば、自力で販売先を探したり売掛金を回収する手間が省けて、生産に集中できるメリットがあります。

  1. 商材の仕入れコストを下げること

生産者は大量生産と大量販売によって利益の最大化を図ろうとします。その為、小売店の需要に合わせて少量販売を行うと手間やコストが余分にかかります。

そこで卸業が仲介して、生産者からの商品を安く大量に仕入れて、小売店に小分け販売することで、小売店の需要に合った適量が安価に提供できます。

  1. 流通在庫を確保すること

小売店の多くは、店舗が狭く店頭在庫以外の保管スペースがありません。

そこで卸業者の専用倉庫保管しておくことで、小売店が品切れになっても、卸業者からすぐに取り寄せることが可能になります。

  1. 有益な情報を提供すること

卸業者は全国を網羅する流通ネットワークを通じて収集したマーケティング情報を、生産者と小売業者に提供することで、現代社会に求められる「多品種少量高回転」の売買に対応します。

 

3.卸売市場の転換期

2020年に施行された「改正卸売市場法」では、卸売業者の販売先の実質的な自由化や、仲卸業者が産地の生産者からの直接の荷引き(直荷)取引の自由化などが各市場の裁量に委ねられるようになりました。

面倒な一連の申請手続きの手間が取り払われ、今はまだ既存の取引先に配慮して、表向きは自粛している事業者も、今後は生き残りをかけて一気に自由取引が加速する可能性があります。

東京都でも2022年に策定された「東京都中央卸売市場経営計画」で、市場活性化策の長期的な方向性を示した上で、経営強靱化のための補助事業として、取扱数量増と金額増のためのソフト支援を実施しています。

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