今後の顧客接点プレイスのあるべき姿を考える、ベンチマークの一つの一つとして、コンビニ最大手のセブンイレブンがあると思います。
同社は「売上5兆円のうちの約6割をPB商品が稼ぐ」と言われています。顧客接点から情報を得て、商品を開発して改良を重ね、信頼を築きながら販売を続けた成果だと言えます。生活インフラ型の顧客接点プレイスの最終型と言えるのではないでしょうか。
もう一つのベンチマークがディズニーモデルです。
ディズニーの統合モデルでは、映画によって開発・共感されたキャラクターを、テーマパークのアトラクションやキャラクター・グッズ販売など多方面のキャッシュ・ポイントに活用しています。特定の嗜好のファンに対して、多方面のサービス提供をしていく、エモーショナル型の顧客接点プレイスのヒントがあると考えます。
顧客接点を「太く&強く」していくと、多彩なマーケティング機会が生まれます。従来の商業施設のように、一方的な宣伝・集客して消費して終わりという関係ではありません。
もちろん適正立地は限定的になると考えられますが、次世代の生活文化を共に選び、開発・表現するライブ会場であり、厳選された商品・サービスがアーカイブされたミュージアムにもなるコンテンツの受発信拠点になります。
さまざまなコミュニティが定期的に通い集う次世代の賑わい拠点でもあります。マーケティングの初期段階で想定していた顧客との宣伝・認知接点及び販売・購入接点は、融合して一体化していきます。
流通の最終形は「消費者は自分にぴったりの小さなブランドを探し」「メーカーはリードタイムの短いD2 C対応になり」「小売はPB開発するインフラ系店舗とエモーショナル系店舗とに二極化」という状況に行き着くと想定します。
小売とメーカーとの境界が曖昧になり、個客、個売りを目指すことになるのです。
顧客接点機会に恵まれた場所の代表は、鉄道駅になります。JR東日本の顧客接点数は、実にセブンイレブン全店に匹敵(1日当たり約1600万人:日本マーケティング研究所 調べ)すると言われます。この顧客接点機会は、もっと様々な形で活用できるのではないでしょうか。
従来は混雑するコンコースの乗降客を如何にスムーズに流動・排出させるか?に腐心してきましたが、コロナ禍で混雑が緩和され、ゲートレス化で人流が平準化すれば、乗降客を顧客接点として活用できる可能性が高くなります。
売り場としてのハコでは無く、顧客接点として、ハコ・カベ・ミチ(マチ)として駅及び周辺の活用を図る必要があります。次世代の「店舗」はハコ・カベ・ミチ(マチ)に溶け込んでいくと考えます。
このゴールを見据えながら(商業)施設事業者は、顧客接点プレイスを運営し、 BtoBプラットフォーマーを目指すべきではないでしょうか。
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