top of page
検索

都市クオリア指標の高め方⑧ 街路アクティビティによる交流拡張

「歩いて楽しい街づくり」は以前から提唱されてきましたが、近年見直されているネイバーフッドやウォークスコアの例でも明らかなように、街の交流舞台として「街路」は極めて重要な役割を担っています。2025年のパリ五輪に向けて変貌しようとしているパリを筆頭に、欧州の都市は「15分都市」と言う考え方で、15分の徒歩圏で生活の基本機能が充足できる都市機能配置を推進しています。さらに一歩進めて都市計画家のヤン・ゲールの言葉のように「良い街ほど、歩いている以外の人が多い」街路環境をめざせないでしょうか。「歩いている以外の人」とはカフェでお茶しながら駄弁ったり、ベンチで本を読んだり寛いでいたり、通りに佇んだり階段に腰掛けて通りを眺めていたりする人を指し、その数の多さが良い街の指標だと言う訳です。「歩く以外の人」を増やす為にはきめ細かな街路環境の工夫が必要です。まず街路の基本機能として「安全」である必要があります。自動車からの安全性はもちろん、人の眼が有って見守られている防犯面での安心感も重要です。さらに夏の日差しや突風からも守られている必要があります。その上で変化があって「面白い」ことが望まれます。一番変化を作り見ていて面白いのは「街の人」で、人の行動や生活を垣間見ながら歩けたり、佇めたりする街路が最高なのです。「街にとって大切なのは地上30フィートの世界観だ」魅力的な街づくりで有名な米ポートランドの都市計画責任者が言うように、街路沿いの建物一階は出来る限る路面店になって、カフェテラスのように滲み出している事が望ましい訳です。せっかく低層部に商業施設が入っていても、インナーモールになってしまい街路側が裏になっていては台無しです。歩く以外にも色々なアクティビティが想定できます。一人でランニングすることは気恥ずかしくても、チームでのランニングやラジオ体操であれば抵抗ありませんし、子供と一緒だったり犬を散歩させていると、声を掛けられ会話が始まる例も多く見られます。

都市の街ぎわ環境での人と人との交流・化学反応が、異なる視点や価値観を融合させ、文化を洗練・成熟させていく事につながると考えます。


【街路アクティビティによる交流拡張:歩いている以外の人を増やす設えづくり】

最新記事

すべて表示

道の駅とは シン・道の駅 ②

【内容】 道の駅とは 道の駅の整備状況 道の駅の方向性     1.道の駅とは 道の駅とは、一般道路におけるサービスエリア的機能を備えた公設民営施設です。 市町村もしくはそれに変わる公的な団体が設置する施設で、道路を利用する人が気軽に立ち寄れ、快適で安全な道路交通を提供する...

今 なぜ「道の駅」なのか? シン道の駅 ①

【内容】 登録件数1200ヵ所を突破したヒット施策 進化する道の駅 「道の駅」のあり方検討     1.登録件数1200ヵ所を突破したヒット施策 郊外の幹線道路をいくと、よく見かけるようになったのが「道の駅」です。 「道の駅」とは一般道路に整備された「高速道路のサービスエリ...

プロジェクト推進の未来 ベクトル・メイク ⑩

【内容】 都市開発プロジェクトの手順 未来に踏み出す 都市開発の成功とは       1.都市開発プロジェクトの手順 都市開発関係の仕事に就いて30年余りになりますが、以前から疑問に思っていたことがあります。 それは「どうして何度も、何度も、計画を作り直す手戻りが起こるのか...

Kommentarer


bottom of page