自分の想念ばかりで思いを巡らせていると、脳のDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)の働きによって、知らず知らずのうちに視野が狭くなり、考えが堂々巡りに陥っていることがよくあります。思考の緩急や振幅を促すにはリアルな環境を変える事が有効です。ちょっと外を歩いてみると、思わぬ発見から解決策やアイディアを思いつくモノですが、超高層オフィスや巨大ショッピングセンターの中ばかりにいると、時間や天候の変化にさえ気づく機会がありません。その意味で昼と夜とで別の顔を見せることが、街の魅力になるのではないでしょうか。昼間は何という事のない通りでも、夜市に変貌し無数の電飾に彩られると、歩くだけでワクワクしてきます。「夜は昼間には、とても得られない柔らかい人間味のある時が流れる。刺々しい昼の持つ一切の仲違いと競争と過度な忙しさに幕を下ろし、本来の人懐こい心に戻る時間である」と都市計画家の蓑原敬氏は述べています。そんな精神感覚の中で出会うヒト・モノ・情報は、全てが瑞々しく興味を唆るのではないでしょうか。台湾をはじめ東南アジアで開催される夜市は、ナイト・エンタテイメントの重要な要素になっています。逆に「キャンドル・ナイト」のように、電気を消してスローな夜を楽しむ事も有効です。普段とは異なる静かな時間の流れを感じる事ができるはずです。一方で函館朝市が有名ですが、各地で開催される観光朝市も、競合のない時間帯を独占し、朝の新鮮な精神感覚の人たちを集める事ができる手段になっています。昼間はカフェ&夜はクラブになるラウンジを備えたホテルがコミュニティの中心になる例がありますが、海外では昼間はコワーキングスペースで夜にはクラブに変わる二毛作の活用事例もあるようで、まだまだ様々な工夫が考えられそうです。朝時間と夜時間の活用は昼間とは全く異なる精神感覚と人間関係とを育むのに有効な機会だと考えます。
【朝・夜の活用による変化拡張:朝時間と夜時間を活用した昼とは異なる状況づくり】
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