都市の価値はオンラインにはない「多様で濃密なコミュニケーションの場」にあります。その意味で不特定多数の人たちが集い交流する機会がある広場や駅が重要になってきます。多摩大学の学長であった野田一夫氏が「これからは異文化を交流させる場が重要になってくる。異文化と言っても外国人とは限らない。同じ日本人であっても60歳以上と30〜50代と20歳代以下では全く価値観が異なる。親と子、上司と部下、先生と生徒が異文化という事になる。米国には元々異文化を交流させる社会的仕組みがあるが、日本には無い。家におけるリビング、会社や学校におけるサロン、都市では広場がその役割を担う必要がある。」と言われた事を思い出します。都市空間において広場(や駅構内)は交流を拡張する貴重なノード環境なのです。今こそ広場が必要なのですが、駅前の「交通ロータリー」や高層ビル前に「空地」はありますが、人が集い交流できる「広場」の設えにはなっていません。交流を促す為には細心の注意を払ったデザインが必要なのです。
人が安心できる「入り隅レイアウト」や植栽帯や噴水などの修景物による「拠り所&潤いデザイン」、さらには直列・固定的なベンチよりも、状況に合わせて自由にレイアウトできるテーブル&椅子による「居心地演出」など、工夫すべきポイントが沢山あります。最近の事例では、街路灯の小さなテーブルや手すりにカウンターが設置され、ちょっと荷物を置いて携帯メールを返信したり、テイクアウトの飲み物を置いたり出来るだけで、そこが居場所になるデザインも施されます。雨の多い日本の風土に適した「長岡アオーレ」や「富山グランドプラザ」などの屋根付き広場も現れています。さらに温もりのある場所に人は集まります。ですから広場の外周部が賑わいある店舗に囲われたり、日常的に子供達がハシャぐ風景が見られる工夫が必要です。「亀戸サンストリート」では子供用に手づくりの輪投げや表彰台・水遊び台などが置かれ、それで遊ぶ子ども達をたくさんの人が笑いながら眺めていました。
都市には出会いの場として細心のデザインが施された広場や駅が必要なのです。
【ノードによる交流拡張:広場や駅は出会いの場としてデザインする】
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